薔薇の夜会と背伸び令嬢 ─ 幼馴染の騎士と恋に落ちて

だって、これも愛なの。

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第1話 再会と約束

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クラリッサは、大きな鏡の前でドレスの裾をつまみ上げた。
淡いクリーム色に薔薇の刺繍が散らされたドレス。胸元には、母から譲られた真珠のネックレス。

(……これなら、少しは大人っぽく見えるかしら)

今夜は年に一度の「薔薇の夜会」。
王都中の令嬢と騎士、貴族たちが集う社交の場。
クラリッサにとっては初めての舞踏会だった。

「……クラリッサ?」
低く落ち着いた声が背後から聞こえた。

振り返れば、そこに立っていたのは幼馴染のユリウス。
漆黒の礼服に身を包み、背はすらりと高い。
幼い頃は一緒に木登りをしてくれたお兄さんのような存在。
けれど今は──どこか遠く、大人びて見える。

「ユリウス!」
思わず駆け寄ったクラリッサに、彼は少しだけ目を細めて微笑んだ。
「久しぶりだな。……ずいぶん、背も伸びたじゃないか」

「わたし、もう子どもじゃないのよ?」
クラリッサは胸を張り、ネックレスを指でそっと押さえた。
「今夜は舞踏会。大人の女性として、ちゃんと見てちょうだい」

ユリウスは少し困ったように眉を下げ、視線を逸らした。
「……子どもの頃から変わらないな。
 無理に背伸びしなくても、クラリッサはクラリッサのままでいい」

その言葉に、クラリッサの胸がちくりと痛む。
(やっぱり、まだ“妹”にしか見えてないのね……)

それでも、笑顔を崩さず言い切った。
「いいえ。今夜のわたしは“妹”じゃなくて──令嬢ですわ。
 約束して。舞踏会で一番に、わたしを見てくれるって」

ユリウスの瞳がわずかに揺れる。
やがて小さく息を吐き、微笑んだ。
「……約束しよう。君が一番に輝いていたら、俺の目は必ず君を追っている」

クラリッサの心臓は、高鳴りを隠せなかった。
(絶対に……大人の女性として見せてみせる!)

薔薇の香りが漂う夜会の幕は、静かに上がろうとしていた。
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