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第4話『星に酔う夜』
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その夜、星商店にやってきたのは、若い男性だった。
手には、ほつれた糸で留められた古い日記帳。
「これを、星にしてほしいんです」
掠れた声に、何か強い感情が混じっているのがわかった。
悠真が受け取ると、すぐに作業台の奥へ向かう。
私はいつものように瓶を用意し、星灯を灯した。
日記帳を開いた瞬間、空気が変わった。
甘い匂いと、胸の奥を締めつけるような切なさが混じって、店の空気に染み込んでいく。
悠真の瞳が、その感情を吸い込むように揺らいだ。
「……すごいな、この願い」
声は微かに遠く、星の中へ沈みかけている。
手元の動きがゆっくりになり、視線は光の奥に釘付けだ。
私は作業台の端から近づき、瓶をそっと受け取った。
そして、磨き布で軽く星の表面をなぞる。
小さな光が私の指先に反射し、彼の視線がこちらへ戻ってくる。
「……澪さん」
「はい」
「……ああ、戻った」
小さく息をつき、困ったように笑う。
「ちょっと引き込まれすぎた」
私は何も言わず、瓶の栓をして棚に置いた。
ただそれだけなのに、悠真はしばらく私の横顔を見ていた。
星明かりの下で、視線がほんの少し柔らかくなる。
——この人にとって、私は何になれるんだろう。
そんなことを、ふと考えた。
手には、ほつれた糸で留められた古い日記帳。
「これを、星にしてほしいんです」
掠れた声に、何か強い感情が混じっているのがわかった。
悠真が受け取ると、すぐに作業台の奥へ向かう。
私はいつものように瓶を用意し、星灯を灯した。
日記帳を開いた瞬間、空気が変わった。
甘い匂いと、胸の奥を締めつけるような切なさが混じって、店の空気に染み込んでいく。
悠真の瞳が、その感情を吸い込むように揺らいだ。
「……すごいな、この願い」
声は微かに遠く、星の中へ沈みかけている。
手元の動きがゆっくりになり、視線は光の奥に釘付けだ。
私は作業台の端から近づき、瓶をそっと受け取った。
そして、磨き布で軽く星の表面をなぞる。
小さな光が私の指先に反射し、彼の視線がこちらへ戻ってくる。
「……澪さん」
「はい」
「……ああ、戻った」
小さく息をつき、困ったように笑う。
「ちょっと引き込まれすぎた」
私は何も言わず、瓶の栓をして棚に置いた。
ただそれだけなのに、悠真はしばらく私の横顔を見ていた。
星明かりの下で、視線がほんの少し柔らかくなる。
——この人にとって、私は何になれるんだろう。
そんなことを、ふと考えた。
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