9 / 20
9.カラオケ大会
しおりを挟む
メインディッシュが静かに下げられ、デザートのプレートが運ばれてくる頃、突如として茉璃が椅子から勢いよく立ち上がった。彼女は何かひらめいたような表情で手を叩くと、興奮した声で織姫に向かって提案した。
「そうそう織姫、今日はせっかく新入りも来たことだし、久しぶりにカラオケでもやらない?」
織姫は優雅にデザートスプーンを口に運びながら、僅かに眉を上げた。
「カラオケですか?急にまた何を言い出すのでしょう、茉璃」
「だって退屈じゃない。こんなお堅い食事会なんて、あたしには向いてないのよ。それより、みんなで盛り上がった方が楽しいでしょ?」
茉璃の提案に、隣に座っていた燈火がぱっと顔を輝かせた。
「わあ、カラオケ!いいね茉璃ちゃん!織姫お姉ちゃん、やろうよ?」
燈火は甘えるような声で織姫にせがみながら、既に使用人の一人に手を振って何らかの指示を出していた。使用人は慌てたように頷くと、ダイニングホールの一角に向かっていく。そこには美由紀が気づいていなかった大型のスクリーンと音響設備が設置されていることが明らかになった。
「茉璃の言う通りかもしれませんね」
愛生が織姫に向かって穏やかに微笑みかける。
「美由紀さんの人となりを知るには、こうした場の方が適しているかもしれません」
織姫は少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた。
「そうですわね。たまには良いかもしれません。美由紀、あなたはカラオケはお好きですの?」
突然話を振られた美由紀は、戸惑いながら答えた。
「は、はい。学校の友達と時々……」
「それじゃあ決まりね!」
茉璃が手を叩いて喜んだ。
「あたしが最初に歌うから、美由紀も続いて歌いなさいよ。遠慮なんてしちゃダメよ」
「そうそう!みんなで歌って盛り上がろ?」燈火も嬉しそうに手を叩いた。
茉璃は既に準備された機材の前に向かい、慣れた手つきで曲を選び始めた。彼女が選んだのは最新のポップスで、イントロが流れ始めると同時に、持ち前の明るい声で歌い始める。歌唱力はそれなりだったが、何より彼女の持つエネルギッシュな雰囲気が場の空気を一変させていた。
「茉璃ちゃん上手?!」燈火が拍手しながら声援を送る。
茉璃の歌が終わると、今度は美由紀に順番が回ってきた。
「さあ、美由紀の番よ!何か歌える曲はある?」
美由紀は緊張しながらマイクを受け取った。曲のレパートリーは決して多くない。学校の友達と歌うときも、だいたい決まった曲しか歌わなかった。迷った末に、彼女が選んだのはあいみょんの「マリーゴールド」だった。
「この曲でお願いします」
「あいみょん?なかなか渋い選択ね」
茉璃が少し意外そうに言った。
「その曲知ってる?。美由紀ちゃん、頑張って♪」
燈火が励ますように声をかけた。
イントロが流れ始めると、美由紀は一度深呼吸をしてから歌い始めた。最初は緊張で声が震えていたが、歌い進めるうちに次第に落ち着きを取り戻していく。そして、サビの部分に差し掛かったとき、彼女の本来の歌唱力が現れた。
透明感がありながらも力強い、美しい歌声がダイニングホールに響き渡った。それは、学校の音楽室で時々見せていた、彼女の数少ない特技の一つだった。母親から受け継いだ音感の良さと、苦労続きの人生が与えた感情の深みが、歌声に独特の魅力を与えていた。
歌が終わると、しばらく静寂が続いた。そして、茉璃が最初に口を開いた。
「……ちょっと、なによそれ。めちゃくちゃ上手いじゃないの」
茉璃の声には、明らかに驚きが込められていた。彼女は美由紀を見る目を明らかに変えていた。
「本当に素晴らしいですわね、美由紀」
織姫も拍手をしながら言った。
「隠れた才能がおありだったのですね」
「すごーい!美由紀ちゃんってば、そんなに歌上手だったんだ?」
燈火も目を輝かせながら拍手した。
愛生も頷きながら言った。
「プロ並みとは申しませんが、確かにとてもお上手ですね。どちらかで習っていらしたのですか?」
「いえ、特に習ったことはありません。母が昔、少し歌を歌っていたことがあって、その影響かもしれません」
美由紀は照れながら答えた。久々に自分の特技を褒められて、少し嬉しさを感じている自分がいることに気づいた。
「それじゃあ、もう一曲歌いなさいよ!今度はもっと明るい曲で」
茉璃が興奮した様子で言った。
「私もお相伴させていただこうかしら」
織姫が立ち上がった。
「久しぶりに歌いたくなりましたわ」
「わーい!織姫お姉ちゃんも歌って?」
燈火が嬉しそうに手を叩いた。
こうして、予想外にカラオケ大会は盛り上がりを見せ始めた。茉璃、燈火、そして美由紀が交代で歌い、それぞれが相手の歌に拍手を送った。美由紀も、この異様な屋敷での生活の中で、久々にリラックスした時間を過ごしていることに気づいた。
燈火は可愛らしいアニメソングを選んで甘い声で歌い上げ、茉璃は再びエネルギッシュなロックナンバーを披露した。そして美由紀は、茉璃のリクエストに応えてより明るい楽曲を選び、再び素晴らしい歌声を聞かせた。
「美由紀、あんた思ったより全然面白いじゃない。最初は堅物の優等生だと思ってたけど、見直したわ」
茉璃がそう言いながら美由紀の肩を叩く。その笑顔には、先ほどまでの攻撃性は影を潜めていた。
「ありがとうございます」
美由紀も自然な笑みを返した。
「茉璃さんも、とてもお上手ですね」
「でしょ?あたし、昔少しバンドやってたのよ。ボーカルだったの」
「えー!茉璃ちゃんバンドやってたの??かっこいい!」
燈火が目を輝かせて茉璃に詰め寄った。
「まあ、高校時代の話よ。今思えば青い時代だったけどね」
茉璃は少し懐かしそうに笑った。
三人の会話が弾む中、織姫と愛生は静かにダイニングテーブルから離れ、ホールの隅に置かれた大型のソファに移動していた。そして、二人の間に萌美を座らせる形で腰を下ろすと、カラオケを鑑賞する体勢を取った。
「私たちはこちらから拝見させていただきますわ。どうぞ続けてくださいまし」
織姫がそう声をかけると、美由紀たちは再び歌に興じ始めた。
しかし、新しい曲のイントロを待ちながらマイクを手に取った美由紀が、ふとソファの方を見たとき、そこには異様な光景が広がっていた。
織姫と愛生が、まるで打ち合わせでもしていたかのように、両側から萌美の太腿に手を伸ばしていた。萌美のゴスロリ衣装は、座った体勢では太腿の全面が露出する作りになっており、二人はその白い肌を、まるで品物を確かめるように指先で撫で回していた。
萌美は明らかに動揺していた。身体を小さく震わせ、時折小さな声で「あ…」とか「ひ…」といった声を漏らしている。しかし、彼女は逃げ出そうとはしなかった。いや、逃げ出すことが許されないことを、彼女は理解していた。
「美由紀ちゃん、次何歌う??」
燈火の明るい声が美由紀の注意を引き戻した。
「あ、えっと……」
美由紀は慌てて視線をソファから逸らし、曲選択画面に集中しようとした。しかし、彼女の心は既にそこにはなかった。
茉璃が新しい曲を歌い始めると、美由紀は再びこっそりとソファの方を盗み見た。今度は更にエスカレートしていた。織姫は萌美の袖を捲り上げ、露出した腕を舌で舐め回している。
愛生は萌美の脇の下から手を滑り込ませ、衣装の上から胸を揉んでいる。
「んっ…やっ…」
萌美から漏れる小さな声が、カラオケの音楽にかき消されそうになりながらも、美由紀の耳には確実に届いていた。
萌美の表情は、恐怖と困惑、そしてどこか諦めにも似た表情を浮かべていた。彼女の小さな体は二人の大人に挟まれ、まさに玩具のように扱われている。時折、萌美は美由紀の方を見ることがあったが、その目には「助けて」という言葉が込められているように見えた。
「織姫様…お願い…」
萌美のか細い声が聞こえた。
「何をお願いするのかしら、萌美?」
織姫は微笑みを浮かべたまま、萌美の腕をさらに念入りに舐め続けた。
「やめて…ください…」
でも、あなたの身体は正直ですわね」
愛生が冷静な声で言いながら、萌美の胸への愛撫を続けた。
しかし、美由紀に何ができるというのか。この屋敷で、織姫に逆らうことなど不可能だ。それは昨夜の出来事、そして先ほどの食事での会話で十分に理解していた。美由紀は歌を続けながらも、自分の無力さを痛感していた。
「美由紀、どうしたの?急に元気なくなっちゃって」
茉璃が心配そうに声をかけてきた。
「いえ、何でもありません。少し疲れただけです」
そう答えながらも、美由紀の視線は再びソファに向かった。織姫と愛生の行為は更にエスカレートし、萌美は今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。しかし、彼女は最後まで抵抗することなく、されるがままになっていた。
「美由紀ちゃん、大丈夫?顔色悪いよ?」
燈火も心配そうに美由紀を見つめた。
「本当に大丈夫です。すみません」
美由紀は無理やり笑顔を作って答えたが、その表情は明らかに強張っていた。
時間が経つにつれて、ソファでの行為は更にエスカレートしていった。織姫は萌美の衣装の胸元に手を入れ、愛生は萌美の太腿を より深く撫で回している。萌美の息遣いは荒くなり、顔も赤く染まっていた。
「あ…ああ…」
萌美の声は次第に大きくなり、それはもはやカラオケの音楽では隠しきれないほどだった。
「あれ?萌美ちゃんの声?」
燈火がきょろきょろと周りを見回した。
「気のせいじゃない?」
茉璃は歌い続けながらも、わざとらしく目を逸らした。
カラオケ大会がひと段落ついた頃、織姫が美由紀を呼んだ。
「美由紀、こちらにいらしてくださいまし」
美由紀がソファに近づくと、萌美は乱れた衣装を慌てて直そうとしていた。彼女の顔は涙と汗で濡れ、髪も乱れていた。織姫と愛生は、何事もなかったかのように平然とした表情を浮かべている。
「とても素晴らしい歌声でしたわ。あなたにはまだまだ隠れた才能がおありのようですね」織姫が微笑みながら言った。
「ありがとうございます」美由紀は緊張しながら答えた。
「茉璃も燈火も、美由紀のことをすっかり気に入ったようですわね。それは何より嬉しいことです」
織姫の視線が茉璃たちの方に向けられる。
「ええ、本当に。最初は堅そうな子だと思ってたけど、全然違うじゃない」
茉璃が美由紀の方を振り返りながら言った。
「美由紀ちゃんの歌、また聞きたいな?」燈火も満面の笑みを浮かべている。
織姫は満足そうに頷くと、美由紀に向き直った。
「さて、このままでは少々カジュアル過ぎますわね。せっかくの記念すべき初めての食事会ですもの、もう少しフォーマルな装いに着替えていただきましょう」
「着替え、ですか?」
「ええ。この屋敷では、夜の時間帯には適切な衣装を身に着けるのが慣例なのです。特に今夜は皆さんとの初顔合わせでもありますし、きちんとした装いでお過ごしいただきたいのですわ」
織姫は使用人の一人に目配せをした。
「美由紀さんを別室まで案内して、適切な衣装をご用意してさしあげてくださいまし。このまま夜会に入りますので相応しいものを」
「かしこまりました、織姫様」
使用人が深々とお辞儀をした。
「どれくらい時間がかかりますか?」美由紀が恐る恐る尋ねた。
「そうですわね、三十分もあれば十分でしょう。その間、私たちはもう少しこちらで談話を続けておりますから、着替えが済みましたらまたこちらにお戻りくださいませ」
「宴会はまだ続くんですか?」
「もちろんですわ。夜はまだ始まったばかりですもの」
織姫は優雅に微笑んだ。
「今度はもっと本格的な夜会として楽しみましょう。美由紀も、きっと素敵な装いが似合いますわよ」
「美由紀、早く戻ってきてよね。まだ歌い足りないんだから」
茉璃が手を振りながら言った。
「そうそう!美由紀ちゃんがいないと寂しいよ?」
燈火も手をひらひらと振っている。
愛生も穏やかに微笑みながら言った。
「お疲れさまでした、美由紀さん。着替えてからまたお話しましょう」
美由紀は困惑しながらも、使用人に促されて立ち上がった。振り返ると、萌美が心細そうな表情で美由紀を見つめているのが見えた。その瞳には、明らかに「一人にしないで」という懇願が込められていた。
しかし、織姫の指示に逆らうことなど不可能だった。美由紀は小さく頷くと、使用人と共にダイニングホールの出口に向かった。
「では、三十分後にお待ちしておりますわ」
織姫の声が背中に響く。
扉の前で振り返ると、既に織姫と愛生が再び萌美の両側に座り直し、茉璃と燈火は新しい曲を選び始めているのが見えた。宴会は確実に続いていく。そして三十分後、美由紀は新たな装いでこの場に戻ってこなければならない。
「美由紀様、こちらです」
使用人が丁寧に案内の手を差し伸べた。
「そうそう織姫、今日はせっかく新入りも来たことだし、久しぶりにカラオケでもやらない?」
織姫は優雅にデザートスプーンを口に運びながら、僅かに眉を上げた。
「カラオケですか?急にまた何を言い出すのでしょう、茉璃」
「だって退屈じゃない。こんなお堅い食事会なんて、あたしには向いてないのよ。それより、みんなで盛り上がった方が楽しいでしょ?」
茉璃の提案に、隣に座っていた燈火がぱっと顔を輝かせた。
「わあ、カラオケ!いいね茉璃ちゃん!織姫お姉ちゃん、やろうよ?」
燈火は甘えるような声で織姫にせがみながら、既に使用人の一人に手を振って何らかの指示を出していた。使用人は慌てたように頷くと、ダイニングホールの一角に向かっていく。そこには美由紀が気づいていなかった大型のスクリーンと音響設備が設置されていることが明らかになった。
「茉璃の言う通りかもしれませんね」
愛生が織姫に向かって穏やかに微笑みかける。
「美由紀さんの人となりを知るには、こうした場の方が適しているかもしれません」
織姫は少し考える素振りを見せた後、ゆっくりと頷いた。
「そうですわね。たまには良いかもしれません。美由紀、あなたはカラオケはお好きですの?」
突然話を振られた美由紀は、戸惑いながら答えた。
「は、はい。学校の友達と時々……」
「それじゃあ決まりね!」
茉璃が手を叩いて喜んだ。
「あたしが最初に歌うから、美由紀も続いて歌いなさいよ。遠慮なんてしちゃダメよ」
「そうそう!みんなで歌って盛り上がろ?」燈火も嬉しそうに手を叩いた。
茉璃は既に準備された機材の前に向かい、慣れた手つきで曲を選び始めた。彼女が選んだのは最新のポップスで、イントロが流れ始めると同時に、持ち前の明るい声で歌い始める。歌唱力はそれなりだったが、何より彼女の持つエネルギッシュな雰囲気が場の空気を一変させていた。
「茉璃ちゃん上手?!」燈火が拍手しながら声援を送る。
茉璃の歌が終わると、今度は美由紀に順番が回ってきた。
「さあ、美由紀の番よ!何か歌える曲はある?」
美由紀は緊張しながらマイクを受け取った。曲のレパートリーは決して多くない。学校の友達と歌うときも、だいたい決まった曲しか歌わなかった。迷った末に、彼女が選んだのはあいみょんの「マリーゴールド」だった。
「この曲でお願いします」
「あいみょん?なかなか渋い選択ね」
茉璃が少し意外そうに言った。
「その曲知ってる?。美由紀ちゃん、頑張って♪」
燈火が励ますように声をかけた。
イントロが流れ始めると、美由紀は一度深呼吸をしてから歌い始めた。最初は緊張で声が震えていたが、歌い進めるうちに次第に落ち着きを取り戻していく。そして、サビの部分に差し掛かったとき、彼女の本来の歌唱力が現れた。
透明感がありながらも力強い、美しい歌声がダイニングホールに響き渡った。それは、学校の音楽室で時々見せていた、彼女の数少ない特技の一つだった。母親から受け継いだ音感の良さと、苦労続きの人生が与えた感情の深みが、歌声に独特の魅力を与えていた。
歌が終わると、しばらく静寂が続いた。そして、茉璃が最初に口を開いた。
「……ちょっと、なによそれ。めちゃくちゃ上手いじゃないの」
茉璃の声には、明らかに驚きが込められていた。彼女は美由紀を見る目を明らかに変えていた。
「本当に素晴らしいですわね、美由紀」
織姫も拍手をしながら言った。
「隠れた才能がおありだったのですね」
「すごーい!美由紀ちゃんってば、そんなに歌上手だったんだ?」
燈火も目を輝かせながら拍手した。
愛生も頷きながら言った。
「プロ並みとは申しませんが、確かにとてもお上手ですね。どちらかで習っていらしたのですか?」
「いえ、特に習ったことはありません。母が昔、少し歌を歌っていたことがあって、その影響かもしれません」
美由紀は照れながら答えた。久々に自分の特技を褒められて、少し嬉しさを感じている自分がいることに気づいた。
「それじゃあ、もう一曲歌いなさいよ!今度はもっと明るい曲で」
茉璃が興奮した様子で言った。
「私もお相伴させていただこうかしら」
織姫が立ち上がった。
「久しぶりに歌いたくなりましたわ」
「わーい!織姫お姉ちゃんも歌って?」
燈火が嬉しそうに手を叩いた。
こうして、予想外にカラオケ大会は盛り上がりを見せ始めた。茉璃、燈火、そして美由紀が交代で歌い、それぞれが相手の歌に拍手を送った。美由紀も、この異様な屋敷での生活の中で、久々にリラックスした時間を過ごしていることに気づいた。
燈火は可愛らしいアニメソングを選んで甘い声で歌い上げ、茉璃は再びエネルギッシュなロックナンバーを披露した。そして美由紀は、茉璃のリクエストに応えてより明るい楽曲を選び、再び素晴らしい歌声を聞かせた。
「美由紀、あんた思ったより全然面白いじゃない。最初は堅物の優等生だと思ってたけど、見直したわ」
茉璃がそう言いながら美由紀の肩を叩く。その笑顔には、先ほどまでの攻撃性は影を潜めていた。
「ありがとうございます」
美由紀も自然な笑みを返した。
「茉璃さんも、とてもお上手ですね」
「でしょ?あたし、昔少しバンドやってたのよ。ボーカルだったの」
「えー!茉璃ちゃんバンドやってたの??かっこいい!」
燈火が目を輝かせて茉璃に詰め寄った。
「まあ、高校時代の話よ。今思えば青い時代だったけどね」
茉璃は少し懐かしそうに笑った。
三人の会話が弾む中、織姫と愛生は静かにダイニングテーブルから離れ、ホールの隅に置かれた大型のソファに移動していた。そして、二人の間に萌美を座らせる形で腰を下ろすと、カラオケを鑑賞する体勢を取った。
「私たちはこちらから拝見させていただきますわ。どうぞ続けてくださいまし」
織姫がそう声をかけると、美由紀たちは再び歌に興じ始めた。
しかし、新しい曲のイントロを待ちながらマイクを手に取った美由紀が、ふとソファの方を見たとき、そこには異様な光景が広がっていた。
織姫と愛生が、まるで打ち合わせでもしていたかのように、両側から萌美の太腿に手を伸ばしていた。萌美のゴスロリ衣装は、座った体勢では太腿の全面が露出する作りになっており、二人はその白い肌を、まるで品物を確かめるように指先で撫で回していた。
萌美は明らかに動揺していた。身体を小さく震わせ、時折小さな声で「あ…」とか「ひ…」といった声を漏らしている。しかし、彼女は逃げ出そうとはしなかった。いや、逃げ出すことが許されないことを、彼女は理解していた。
「美由紀ちゃん、次何歌う??」
燈火の明るい声が美由紀の注意を引き戻した。
「あ、えっと……」
美由紀は慌てて視線をソファから逸らし、曲選択画面に集中しようとした。しかし、彼女の心は既にそこにはなかった。
茉璃が新しい曲を歌い始めると、美由紀は再びこっそりとソファの方を盗み見た。今度は更にエスカレートしていた。織姫は萌美の袖を捲り上げ、露出した腕を舌で舐め回している。
愛生は萌美の脇の下から手を滑り込ませ、衣装の上から胸を揉んでいる。
「んっ…やっ…」
萌美から漏れる小さな声が、カラオケの音楽にかき消されそうになりながらも、美由紀の耳には確実に届いていた。
萌美の表情は、恐怖と困惑、そしてどこか諦めにも似た表情を浮かべていた。彼女の小さな体は二人の大人に挟まれ、まさに玩具のように扱われている。時折、萌美は美由紀の方を見ることがあったが、その目には「助けて」という言葉が込められているように見えた。
「織姫様…お願い…」
萌美のか細い声が聞こえた。
「何をお願いするのかしら、萌美?」
織姫は微笑みを浮かべたまま、萌美の腕をさらに念入りに舐め続けた。
「やめて…ください…」
でも、あなたの身体は正直ですわね」
愛生が冷静な声で言いながら、萌美の胸への愛撫を続けた。
しかし、美由紀に何ができるというのか。この屋敷で、織姫に逆らうことなど不可能だ。それは昨夜の出来事、そして先ほどの食事での会話で十分に理解していた。美由紀は歌を続けながらも、自分の無力さを痛感していた。
「美由紀、どうしたの?急に元気なくなっちゃって」
茉璃が心配そうに声をかけてきた。
「いえ、何でもありません。少し疲れただけです」
そう答えながらも、美由紀の視線は再びソファに向かった。織姫と愛生の行為は更にエスカレートし、萌美は今にも泣き出しそうな表情を浮かべていた。しかし、彼女は最後まで抵抗することなく、されるがままになっていた。
「美由紀ちゃん、大丈夫?顔色悪いよ?」
燈火も心配そうに美由紀を見つめた。
「本当に大丈夫です。すみません」
美由紀は無理やり笑顔を作って答えたが、その表情は明らかに強張っていた。
時間が経つにつれて、ソファでの行為は更にエスカレートしていった。織姫は萌美の衣装の胸元に手を入れ、愛生は萌美の太腿を より深く撫で回している。萌美の息遣いは荒くなり、顔も赤く染まっていた。
「あ…ああ…」
萌美の声は次第に大きくなり、それはもはやカラオケの音楽では隠しきれないほどだった。
「あれ?萌美ちゃんの声?」
燈火がきょろきょろと周りを見回した。
「気のせいじゃない?」
茉璃は歌い続けながらも、わざとらしく目を逸らした。
カラオケ大会がひと段落ついた頃、織姫が美由紀を呼んだ。
「美由紀、こちらにいらしてくださいまし」
美由紀がソファに近づくと、萌美は乱れた衣装を慌てて直そうとしていた。彼女の顔は涙と汗で濡れ、髪も乱れていた。織姫と愛生は、何事もなかったかのように平然とした表情を浮かべている。
「とても素晴らしい歌声でしたわ。あなたにはまだまだ隠れた才能がおありのようですね」織姫が微笑みながら言った。
「ありがとうございます」美由紀は緊張しながら答えた。
「茉璃も燈火も、美由紀のことをすっかり気に入ったようですわね。それは何より嬉しいことです」
織姫の視線が茉璃たちの方に向けられる。
「ええ、本当に。最初は堅そうな子だと思ってたけど、全然違うじゃない」
茉璃が美由紀の方を振り返りながら言った。
「美由紀ちゃんの歌、また聞きたいな?」燈火も満面の笑みを浮かべている。
織姫は満足そうに頷くと、美由紀に向き直った。
「さて、このままでは少々カジュアル過ぎますわね。せっかくの記念すべき初めての食事会ですもの、もう少しフォーマルな装いに着替えていただきましょう」
「着替え、ですか?」
「ええ。この屋敷では、夜の時間帯には適切な衣装を身に着けるのが慣例なのです。特に今夜は皆さんとの初顔合わせでもありますし、きちんとした装いでお過ごしいただきたいのですわ」
織姫は使用人の一人に目配せをした。
「美由紀さんを別室まで案内して、適切な衣装をご用意してさしあげてくださいまし。このまま夜会に入りますので相応しいものを」
「かしこまりました、織姫様」
使用人が深々とお辞儀をした。
「どれくらい時間がかかりますか?」美由紀が恐る恐る尋ねた。
「そうですわね、三十分もあれば十分でしょう。その間、私たちはもう少しこちらで談話を続けておりますから、着替えが済みましたらまたこちらにお戻りくださいませ」
「宴会はまだ続くんですか?」
「もちろんですわ。夜はまだ始まったばかりですもの」
織姫は優雅に微笑んだ。
「今度はもっと本格的な夜会として楽しみましょう。美由紀も、きっと素敵な装いが似合いますわよ」
「美由紀、早く戻ってきてよね。まだ歌い足りないんだから」
茉璃が手を振りながら言った。
「そうそう!美由紀ちゃんがいないと寂しいよ?」
燈火も手をひらひらと振っている。
愛生も穏やかに微笑みながら言った。
「お疲れさまでした、美由紀さん。着替えてからまたお話しましょう」
美由紀は困惑しながらも、使用人に促されて立ち上がった。振り返ると、萌美が心細そうな表情で美由紀を見つめているのが見えた。その瞳には、明らかに「一人にしないで」という懇願が込められていた。
しかし、織姫の指示に逆らうことなど不可能だった。美由紀は小さく頷くと、使用人と共にダイニングホールの出口に向かった。
「では、三十分後にお待ちしておりますわ」
織姫の声が背中に響く。
扉の前で振り返ると、既に織姫と愛生が再び萌美の両側に座り直し、茉璃と燈火は新しい曲を選び始めているのが見えた。宴会は確実に続いていく。そして三十分後、美由紀は新たな装いでこの場に戻ってこなければならない。
「美由紀様、こちらです」
使用人が丁寧に案内の手を差し伸べた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】【ママ友百合】ラテアートにハートをのせて
千鶴田ルト
恋愛
専業主婦の優菜は、夫・拓馬と娘の結と共に平穏な暮らしを送っていた。
そんな彼女の前に現れた、カフェ店員の千春。
夫婦仲は良好。別れる理由なんてどこにもない。
それでも――千春との時間は、日常の中でそっと息を潜め、やがて大きな存在へと変わっていく。
ちょっと変わったママ友不倫百合ほのぼのガールズラブ物語です。
ハッピーエンドになるのでご安心ください。
せんせいとおばさん
悠生ゆう
恋愛
創作百合
樹梨は小学校の教師をしている。今年になりはじめてクラス担任を持つことになった。毎日張り詰めている中、クラスの児童の流里が怪我をした。母親に連絡をしたところ、引き取りに現れたのは流里の叔母のすみ枝だった。樹梨は、飄々としたすみ枝に惹かれていく。
※学校の先生のお仕事の実情は知りませんので、間違っている部分がっあたらすみません。
義姉妹百合恋愛
沢谷 暖日
青春
姫川瑞樹はある日、母親を交通事故でなくした。
「再婚するから」
そう言った父親が1ヶ月後連れてきたのは、新しい母親と、美人で可愛らしい義理の妹、楓だった。
次の日から、唐突に楓が急に積極的になる。
それもそのはず、楓にとっての瑞樹は幼稚園の頃の初恋相手だったのだ。
※他サイトにも掲載しております
放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~
楠富 つかさ
恋愛
中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。
佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。
「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」
放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。
――けれど、佑奈は思う。
「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」
特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。
放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。
4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
身体だけの関係です‐原田巴について‐
みのりすい
恋愛
原田巴は高校一年生。(ボクっ子)
彼女には昔から尊敬している10歳年上の従姉がいた。
ある日巴は酒に酔ったお姉ちゃんに身体を奪われる。
その日から、仲の良かった二人の秒針は狂っていく。
毎日19時ごろ更新予定
「身体だけの関係です 三崎早月について」と同一世界観です。また、1~2話はそちらにも投稿しています。今回分けることにしましたため重複しています。ご迷惑をおかけします。
良ければそちらもお読みください。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/500699060
春に狂(くる)う
転生新語
恋愛
先輩と後輩、というだけの関係。後輩の少女の体を、私はホテルで時間を掛けて味わう。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
小説家になろう→https://ncode.syosetu.com/n5251id/
カクヨム→https://kakuyomu.jp/works/16817330654752443761
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる