51 / 55
2人の夜
しおりを挟む
蒸気の立ち込める浴室。
レビリアの包帯は外され、肩の大きな傷跡はほとんど塞がっているものの、まだ少し赤みが残っている。セピアは慎重に、優しく彼女の体に触れながら洗う。
「ふふ。セピア様はいつも優しいですわね」
「急にどうした?」
「だって、今も私の傷痕を気遣って優しく洗ってくれているのでしょう?ありがとうございます。記憶を失っている時も誰よりも優しくて、私は守りたいと思ったのですよ」
セピアは軽く笑みを浮かべ、レビリアの肩を指先でなぞるように触れる。
「レビリアは、記憶を失っていた時の阿呆な僕と、今の僕、どっちが好き?」
「え…?また急ですね…。でもどちらもセピア様であることは変わらないですわ。どちらも大好きです」
「じゃあ、もし僕がまた阿呆に戻ったとしても、そばにいてくれる?」
「ふふ、もちろんですよ…。どんなセピア様も、私にとっては一番ですから」
「ありがとう」
二人で湯船に身を沈めると、身体を密着させ、互いの体温を感じ合う。湯気の向こうで、レビリアがそっとセピアに抱きつく
「セピア様、好きですわ…」
「僕は…好きじゃない…」
「え…?」
「愛してる。好きじゃ言い表せないほど、レビリアを愛してる」
「セピア様…私も愛しています」
自然と口づけが交わされ、最初は軽く啄むようなキスが、次第に深く、唇と唇だけでなく、互いの想いまでも重ねるかのような深い口づけに変わっていく。
名残惜しそうに唇を離すと、セピアはレビリアを抱き上げる。バスタオルで優しく体を拭き、丁寧に包帯を巻き直す。
「セピア様、ありがとうございます」
「君のためなら、なんでもするさ」
湯上りのバスローブを身につけ、セピアはレビリアの髪を乾かす。指先で髪をなぞる度に、レビリアはうっとりした表情になる。
「セピア様の手は優しくて、眠たくなってしまいますわ…」
「君のためなら何だってしたい。髪を乾かすのだって、包帯を巻くのだって、全部僕がしたい」
「ありがとうございます」
***
二人の間に流れる時間は、日常の喧騒や王宮での緊張感を忘れさせるほどに甘く、濃密で、そして互いを深く想い合う夜となった。
夜の闇が窓を染める中、二人はベッドで向かい合ったまま、互いの温もりを確かめ合っていた。レビリアの体はまだ肩の傷跡が残っているが、セピアはその全てを優しく抱きしめ、触れる指先で愛情を伝える。
「セピア様…」レビリアの吐息がかかる距離で、彼女の胸は早鐘のように打つ。
「うん…大丈夫だよ、怖くない…僕がいる」セピアの声は低く、耳元に囁くように響く。
セピアはゆっくりとレビリアの髪に手を滑らせ、首筋へと唇を這わせる。息遣いを感じながら、レビリアは思わず身体を寄せ、両腕で彼を抱きしめる。
「君の温もりが欲しい…触れていたい…」セピアの翡翠の瞳は熱を帯び、彼女を見つめる。
指先が肩の傷跡に触れるたびに、セピアは囁くように言った。
「この傷跡も、君が僕やリオを守ってくれた証だ…愛しいよ」
レビリアは甘く息を漏らしながら、彼の胸に顔を埋める。
「セピア様…私も、セピア様をずっと守りたい…」
二人の体は密着し、熱とぬくもりが交わる。セピアの手が背中を滑り、腰を抱き寄せるたび、レビリアは震えるほどに身体を預ける。唇は何度も絡み合い、首筋や肩に唇を這わせながら、互いの鼓動を確かめるように、愛を深く刻む。
「僕は…君だけを愛してる…」
「私も…セピア様…愛しています…」
言葉にならない想いを唇と指先で重ね、夜は二人だけの世界に溶けていく。体のぬくもり、息遣い、指先の感触――全てが二人を結びつける唯一の証となった。
夜が更け、やがて静寂が戻る。レビリアは深い眠りに落ち、穏やかにすやすやと寝息を立てる。セピアは彼女の手をそっと握り、薬指に視線を移す。
慎重に、そして静かに、セピアは結婚指輪を彼女の薬指に滑り込ませる。指先が触れるたび、胸が高鳴る。
(起きたら君はどんな反応をするのかな…?これからどんなことがあろうと君と一緒なら乗り越えていける。まだ記憶が戻ってばかりで未熟だけど、君と生涯を共にしたい)
そう心に誓いながら、セピアは薬指の結婚指輪に優しく唇を落とし、そのまま自分の指と重ね合わせる。
互いの温もりを感じながら、二人は静かに、そして深く眠りについた。
レビリアの包帯は外され、肩の大きな傷跡はほとんど塞がっているものの、まだ少し赤みが残っている。セピアは慎重に、優しく彼女の体に触れながら洗う。
「ふふ。セピア様はいつも優しいですわね」
「急にどうした?」
「だって、今も私の傷痕を気遣って優しく洗ってくれているのでしょう?ありがとうございます。記憶を失っている時も誰よりも優しくて、私は守りたいと思ったのですよ」
セピアは軽く笑みを浮かべ、レビリアの肩を指先でなぞるように触れる。
「レビリアは、記憶を失っていた時の阿呆な僕と、今の僕、どっちが好き?」
「え…?また急ですね…。でもどちらもセピア様であることは変わらないですわ。どちらも大好きです」
「じゃあ、もし僕がまた阿呆に戻ったとしても、そばにいてくれる?」
「ふふ、もちろんですよ…。どんなセピア様も、私にとっては一番ですから」
「ありがとう」
二人で湯船に身を沈めると、身体を密着させ、互いの体温を感じ合う。湯気の向こうで、レビリアがそっとセピアに抱きつく
「セピア様、好きですわ…」
「僕は…好きじゃない…」
「え…?」
「愛してる。好きじゃ言い表せないほど、レビリアを愛してる」
「セピア様…私も愛しています」
自然と口づけが交わされ、最初は軽く啄むようなキスが、次第に深く、唇と唇だけでなく、互いの想いまでも重ねるかのような深い口づけに変わっていく。
名残惜しそうに唇を離すと、セピアはレビリアを抱き上げる。バスタオルで優しく体を拭き、丁寧に包帯を巻き直す。
「セピア様、ありがとうございます」
「君のためなら、なんでもするさ」
湯上りのバスローブを身につけ、セピアはレビリアの髪を乾かす。指先で髪をなぞる度に、レビリアはうっとりした表情になる。
「セピア様の手は優しくて、眠たくなってしまいますわ…」
「君のためなら何だってしたい。髪を乾かすのだって、包帯を巻くのだって、全部僕がしたい」
「ありがとうございます」
***
二人の間に流れる時間は、日常の喧騒や王宮での緊張感を忘れさせるほどに甘く、濃密で、そして互いを深く想い合う夜となった。
夜の闇が窓を染める中、二人はベッドで向かい合ったまま、互いの温もりを確かめ合っていた。レビリアの体はまだ肩の傷跡が残っているが、セピアはその全てを優しく抱きしめ、触れる指先で愛情を伝える。
「セピア様…」レビリアの吐息がかかる距離で、彼女の胸は早鐘のように打つ。
「うん…大丈夫だよ、怖くない…僕がいる」セピアの声は低く、耳元に囁くように響く。
セピアはゆっくりとレビリアの髪に手を滑らせ、首筋へと唇を這わせる。息遣いを感じながら、レビリアは思わず身体を寄せ、両腕で彼を抱きしめる。
「君の温もりが欲しい…触れていたい…」セピアの翡翠の瞳は熱を帯び、彼女を見つめる。
指先が肩の傷跡に触れるたびに、セピアは囁くように言った。
「この傷跡も、君が僕やリオを守ってくれた証だ…愛しいよ」
レビリアは甘く息を漏らしながら、彼の胸に顔を埋める。
「セピア様…私も、セピア様をずっと守りたい…」
二人の体は密着し、熱とぬくもりが交わる。セピアの手が背中を滑り、腰を抱き寄せるたび、レビリアは震えるほどに身体を預ける。唇は何度も絡み合い、首筋や肩に唇を這わせながら、互いの鼓動を確かめるように、愛を深く刻む。
「僕は…君だけを愛してる…」
「私も…セピア様…愛しています…」
言葉にならない想いを唇と指先で重ね、夜は二人だけの世界に溶けていく。体のぬくもり、息遣い、指先の感触――全てが二人を結びつける唯一の証となった。
夜が更け、やがて静寂が戻る。レビリアは深い眠りに落ち、穏やかにすやすやと寝息を立てる。セピアは彼女の手をそっと握り、薬指に視線を移す。
慎重に、そして静かに、セピアは結婚指輪を彼女の薬指に滑り込ませる。指先が触れるたび、胸が高鳴る。
(起きたら君はどんな反応をするのかな…?これからどんなことがあろうと君と一緒なら乗り越えていける。まだ記憶が戻ってばかりで未熟だけど、君と生涯を共にしたい)
そう心に誓いながら、セピアは薬指の結婚指輪に優しく唇を落とし、そのまま自分の指と重ね合わせる。
互いの温もりを感じながら、二人は静かに、そして深く眠りについた。
17
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
狂おしいほど愛しています、なのでよそへと嫁ぐことに致します
ちより
恋愛
侯爵令嬢のカレンは分別のあるレディだ。頭の中では初恋のエル様のことでいっぱいになりながらも、一切そんな素振りは見せない徹底ぶりだ。
愛するエル様、神々しくも真面目で思いやりあふれるエル様、その残り香だけで胸いっぱいですわ。
頭の中は常にエル様一筋のカレンだが、家同士が決めた結婚で、公爵家に嫁ぐことになる。愛のない形だけの結婚と思っているのは自分だけで、実は誰よりも公爵様から愛されていることに気づかない。
公爵様からの溺愛に、不器用な恋心が反応したら大変で……両思いに慣れません。
王女様は温かいごはんが食べたい ~冷えた王宮料理を変えたら、オープンキッチンと政略婚約がついてきました~
しおしお
恋愛
異世界の王女リリアーヌは、前世の記憶を持つ転生者。
豪華絢爛な王宮で暮らし始めた彼女だったが、ひとつだけどうしても耐えられないことがあった。
――食事が、冷めているのだ。
どれほど立派な料理でも、ぬるいスープや冷めた肉ではホッとできない。
「温かいごはんが食べたい」
そのささやかな願いを口にしたことから、王宮ではなぜか大騒動が巻き起こる。
地下厨房からの高速搬送。
専用レーンを爆走するカートメイド。
扉の開閉に命をかけるオープナー。
ついには食堂に火を持ち込むオープンキッチンまで誕生して――!?
温かさは、ホッとさせてくれる。
それは料理だけではなく、人との距離まで少しずつ変えていくものだった。
冷えた王宮に湯気と笑顔を取り戻す、
食と温かさをめぐる宮廷日常コメディ!
-
【完結】家族に愛されなかった辺境伯の娘は、敵国の堅物公爵閣下に攫われ真実の愛を知る
水月音子
恋愛
辺境を守るティフマ城の城主の娘であるマリアーナは、戦の代償として隣国の敵将アルベルトにその身を差し出した。
婚約者である第四王子と、父親である城主が犯した国境侵犯という罪を、自分の命でもって償うためだ。
だが――
「マリアーナ嬢を我が国に迎え入れ、現国王の甥である私、アルベルト・ルーベンソンの妻とする」
そう宣言されてマリアーナは隣国へと攫われる。
しかし、ルーベンソン公爵邸にて差し出された婚約契約書にある一文に疑念を覚える。
『婚約期間中あるいは婚姻後、子をもうけた場合、性別を問わず健康な子であれば、婚約もしくは結婚の継続の自由を委ねる』
さらには家庭教師から“精霊姫”の話を聞き、アルベルトの側近であるフランからも詳細を聞き出すと、自分の置かれた状況を理解する。
かつて自国が攫った“精霊姫”の血を継ぐマリアーナ。
そのマリアーナが子供を産めば、自分はもうこの国にとって必要ない存在のだ、と。
そうであれば、早く子を産んで身を引こう――。
そんなマリアーナの思いに気づかないアルベルトは、「婚約中に子を産み、自国へ戻りたい。結婚して公爵様の経歴に傷をつける必要はない」との彼女の言葉に激昂する。
アルベルトはアルベルトで、マリアーナの知らないところで実はずっと昔から、彼女を妻にすると決めていた。
ふたりは互いの立場からすれ違いつつも、少しずつ心を通わせていく。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
引きこもり少女、御子になる~お世話係は過保護な王子様~
浅海 景
恋愛
オッドアイで生まれた透花は家族から厄介者扱いをされて引きこもりの生活を送っていた。ある日、双子の姉に突き飛ばされて頭を強打するが、目を覚ましたのは見覚えのない場所だった。ハウゼンヒルト神聖国の王子であるフィルから、世界を救う御子(みこ)だと告げられた透花は自分には無理だと否定するが、御子であるかどうかを判断するために教育を受けることに。
御子至上主義なフィルは透花を大切にしてくれるが、自分が御子だと信じていない透花はフィルの優しさは一時的なものだと自分に言い聞かせる。
「きっといつかはこの人もまた自分に嫌悪し離れていくのだから」
自己肯定感ゼロの少女が過保護な王子や人との関わりによって、徐々に自分を取り戻す物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる