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サバゲー大会の準備!

02

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 ぐるぐると店内を見て回っていると、賑やかな集団が入ってきた。

「見ろよこれ! マジイカつくね!」

「いいじゃんいいじゃん! 映画で見たぜこれ! めっちゃ殺しまくってたやつだべ!」

 その騒ぎを聞いて、珠希は見られないように顔をしかめた。

「人気が出たことは嬉しいけれど、こういうのも増えたのは事実ね」

 店員が苦笑に近い営業スマイルで対応していた。

「ちょ! アレ見ろ! アレ!」

「は? お!? スゲー!」

 団体の中の数人が、尋とフーを見て小声で歓声を上げている。

 店内の喧騒で、二人にその声は聞こえていないようだ。

 その後も不穏な会話が二三聞こえた。まさかとは思っても、音羽は不安になり珠希の裾を掴んだ。

「あ、あの……」

「大丈夫よ。放っておけば、その内猿がどうにかするわ」

 気に留める様子のない珠希。彼女が大丈夫だというなら、心配はないのだろう。それで割り切れる気構えを、音羽は持っていなかった。

 必要なものは先にレジを通し、セール品に夢中になっている尋とフーと合流する。

「見てくだサーイ! 安いヨー! あれもコレも! 全部ほしーネッ!」

 セールの赤いタグが付いた商品を両手に持ち、テンション最高潮の尋。黙々と必要な物を探して、複数個ある場合は比較するフー。

「うー……」

 執拗な視線が不快だったが、彼らは早々に買い物を終えて店を出ていった。

 ホッと息をつくと、突然尋がのしかかってきた。

「Hey! おとチャーン。これ良いデスヨネー? ほしーヨネッ!?」

 手に持った金属のリングを見せ付けてくるが、音羽にはそれが何の部品なのか分からない。

「DDのオフセットマウントリングネッ! スゴいヨー! 50%オフなかなかナイネー! 買い時間違いナイネー!」

「うるさいぞ猿。使わないのに買う必要があるのか?」

「でもフー! これスゴいヨー! 50%オフダヨー!?」

 そんな二人の会話を聞いて、珠希は大きなため息をついて尋の頭を小突いた。

「Oh! no!」

「ほら、いらないものは置いて、必要なものだけ買って帰るわよ」

「イタイヨー。また怒られチャタヨー」

 わざとらしく頭を押さえて、満載の籠を持ったままレジへ並ぼうとした尋。それをフーが止めて、籠を奪った。

「Why!?」

「全部いらん」

 そしてトラックラックに戻した。

「どーして!? ヒドいヨー!」

 不平不満を垂らすが、誰も聞く耳を持たない。

「アウト。気にするな。こいつは金銭感覚が壊れている」

 頬を膨らませる尋は、たしかに目当ての物が買いたいのではなく、買い物がしたかっただけに見える。

「あと80ポイントでM&P買えるヨー! ポイントほしーネッ!」

「バカ猿」

 ごつんと頭を小突かれ、引き面れて店を出た。

「ヒドいヨー! ゼッタイお買い得だったヨー!」

「使わないのに、お買い得なんて有り得ないでしょ」

「それに、ポイントたまればー」

「そのポイントを貯めるために、無駄に買い込んだ部品、誰がネットオークションに投げると思っているの?」

「Oho. たまチャンにはいつも感謝してるデース。お礼にペロペロするデスヨー」

 首根っこを掴んでいた珠希の手を、逆に掴み瞬く間に背後から抱きついた。

「ちょ!? な、なに!?」

 顔を赤くする珠希。それを目の前で見せられて、同じように顔を赤くする音羽と、無表情のままため息を零すフー。

「ペロペ――」
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