9 / 26
オードブル
Ⅱ.流行の発信源と派閥製作のきっかけ
しおりを挟む
さて、待ちに待った初登校日です。
心配性の父は難しい顔をしながら、母は笑顔で私の登校を見送ってくれました。
学校には勿論、兄も一緒です。
兄は私の教室まで一緒に行くと言ってくれたのですが教室ぐらい一人で行けるのでそれを断ったら兄にとても悲しい顔をされました。
だって、仕方がないじゃないか。
初登校日って言っても幼稚園児(この世界に幼稚園はないけど)じゃないんだから保護者付きなんて恥ずかしいよ。
私が教室に入ると既に何人かは教室に入り、二~四人までのグループを作って話をしていた。
そこは身分や世界が変わっても同じなんだなとちょっと関心をした。
私が教室に入って自分の席を見つけて足を進めると何故か周りから聞こえていたざわめきが一切聞こえなくなった。
何事だろうと思って周りを見るとみんな私の方を見ていた。
何故?
初めて人が入って来た時に注目を浴びるのは分かるよ。
みんなだって一度くらいは経験したことがあるでしょう。
遅刻して入った教室で全員の視線が向けられるとか。
誰か確認しようと視線が行くのは分かるけど、普通は入って来た人間が誰か分かったら視線って逸らされる物じゃないの?
何で今もずっと見られているんだろうか?
やっぱりあれかな?
家柄かな?
公爵家の人間が入学してきたから?
でも、公爵家って私以外にも居るね。
私の家が侯爵家の中でも特別に突飛しているのは分かるよ。
王家とも縁戚関係があったりするしね。
でも、だからってこんなに視線を集めなくてもよくない。
と、レイラは思っていたのだがそれは半分正解で、半分は間違いなのだ。
「すっげぇ、可愛い」
「俺、始めて見た」
「宰相が溺愛しているカーティス家の宝玉だろ」
「お近づきになりてぇ」
「ちょっと、あの子の肌見た?」
「さすがはカーティス家ね。私達と使っている物が違うのよ。
だからあんなにすべすべの肌なのね」
「本当に、触らなくても分かる持ち艶肌じゃない」
「羨ましい」
と、いうのが視線を集める一番の原因だった。
だが、今まで兄とデューク、それに父親や伯父、従兄などの身内以外の男と会ったことがないレイラがそのことに気づくはずもなかった。
みんながレイラに注目を集めている中、一人「へぇ~、あの子がレイラ・カーティスなんだ」と仄暗い笑みを浮かべている女子生徒が居た。
勿論、そんな彼女の存在に気づく者は誰一人居なかった。
******************
最初の登校日は自己紹介と簡単な説明、学校の案内などで終わった。
次の日から授業となった。
「カーティス公爵令嬢のペンとインク瓶、とても可愛らしいですわね」
そう、声をかけて来てくれたのは私の隣の席に座るマルべリア・ハイネ伯爵令嬢だ。
おっとりとした話し方がとても印象的な令嬢だ。
本来、下位の令嬢が上位の令嬢に話しかけるのはマナー違反になるがこれは学校内では免除される。
でなければ、色々と不都合が生じるからだ。
勿論、同じクラスメイトでも社交の場に出れば其れが適用されるので対応の仕方や態度がガラッと変わるが。
「ありがとうございます。
私もとても気に入っているのです」
「どこのお店の物ですか?」
と、聞いて来たのはマルべリアとは反対の私の隣に座るララ・コンバッド侯爵令嬢だ。
「王都の表参道にある店ですわ」
「お高いのですか?」
と、聞いて来たのは子爵家の令嬢だ。
子爵家だと上流貴族程財が豊かではないので色々と気遣うこともあるのだろう。
普通の令嬢なら気にしない値段のことを聞いて来た。
それを嘲笑する者も居たが、中には真剣に聞き耳を立てている者も居た。
「いいえ。これは庶民向けに作られているのでお値段はそんなに高くないのですわ」
「そうなんですか!?」とは、聞いていた全員が驚いた。
会話には参加しなくとも聞き耳を立てていたものもとても驚いていた。
「とても凝った細工に見えますが?」
「ええ。けれど、店主は身分に関わらず手にして欲しいと思っておりますので」
「おかなし店主がいたものですわね。
低俗な庶民に文字の読み書きができるとは思えませんわ。
そんな庶民にそんな物が必要になるとは思えませんが?」
と、小ばかにしたように言ったのは私と同じ公爵家のジュリア・ミレイユだ。
「文字が書けない者ばかりではありませんわ。
ミレイユ公爵令嬢は庶民をバカにしますが私達が使っているこの机や椅子、学校の機材などを作っているのはその庶民です。
それにこれは文字を書くだけの道具ではなくインテリアとしても会求める者がいるそうですわ」
私がそう言うと周りの令嬢が食いついて来た。
「確かにこれは飾るだけでもいいですわね」
「ええ。部屋がよりお洒落になりますわ」
「私もお父様に買ってもらおうかしら」
「私も」
「私も」
周りの人間が賛同していくのがそんなに気に食わないのかジュリアはフンッと鼻で笑って大げさなぐらい侮蔑と呆れを込めて言った。
「貴族ともあろうものが下賎の民の者を欲するなんて品性を疑いますわ」
「あら、ではお互い様ですわね」
「何ですって!!」
私とジュリアがぶつけた視線には火花が飛び散った。
周りの人間はそれをハラハラしながら見ている。
お互い、公爵家同士の闘いだ。
そして周りにいるのは全員、貴族の出身
瞬時にどちらの側につくのがいいかを計算してこれからの人付き合いを考えなくてはいけない。
派閥とはこうしてできるのかもしれない。
ついでに流行も。
期せずして、彼女、レイアが持っていたペンとインク瓶は貴族の中でも大流行をすることとなった。
これはレイラ・カーティスという一人の令嬢の影響力の大きさが物を言ったのかもしれない。
心配性の父は難しい顔をしながら、母は笑顔で私の登校を見送ってくれました。
学校には勿論、兄も一緒です。
兄は私の教室まで一緒に行くと言ってくれたのですが教室ぐらい一人で行けるのでそれを断ったら兄にとても悲しい顔をされました。
だって、仕方がないじゃないか。
初登校日って言っても幼稚園児(この世界に幼稚園はないけど)じゃないんだから保護者付きなんて恥ずかしいよ。
私が教室に入ると既に何人かは教室に入り、二~四人までのグループを作って話をしていた。
そこは身分や世界が変わっても同じなんだなとちょっと関心をした。
私が教室に入って自分の席を見つけて足を進めると何故か周りから聞こえていたざわめきが一切聞こえなくなった。
何事だろうと思って周りを見るとみんな私の方を見ていた。
何故?
初めて人が入って来た時に注目を浴びるのは分かるよ。
みんなだって一度くらいは経験したことがあるでしょう。
遅刻して入った教室で全員の視線が向けられるとか。
誰か確認しようと視線が行くのは分かるけど、普通は入って来た人間が誰か分かったら視線って逸らされる物じゃないの?
何で今もずっと見られているんだろうか?
やっぱりあれかな?
家柄かな?
公爵家の人間が入学してきたから?
でも、公爵家って私以外にも居るね。
私の家が侯爵家の中でも特別に突飛しているのは分かるよ。
王家とも縁戚関係があったりするしね。
でも、だからってこんなに視線を集めなくてもよくない。
と、レイラは思っていたのだがそれは半分正解で、半分は間違いなのだ。
「すっげぇ、可愛い」
「俺、始めて見た」
「宰相が溺愛しているカーティス家の宝玉だろ」
「お近づきになりてぇ」
「ちょっと、あの子の肌見た?」
「さすがはカーティス家ね。私達と使っている物が違うのよ。
だからあんなにすべすべの肌なのね」
「本当に、触らなくても分かる持ち艶肌じゃない」
「羨ましい」
と、いうのが視線を集める一番の原因だった。
だが、今まで兄とデューク、それに父親や伯父、従兄などの身内以外の男と会ったことがないレイラがそのことに気づくはずもなかった。
みんながレイラに注目を集めている中、一人「へぇ~、あの子がレイラ・カーティスなんだ」と仄暗い笑みを浮かべている女子生徒が居た。
勿論、そんな彼女の存在に気づく者は誰一人居なかった。
******************
最初の登校日は自己紹介と簡単な説明、学校の案内などで終わった。
次の日から授業となった。
「カーティス公爵令嬢のペンとインク瓶、とても可愛らしいですわね」
そう、声をかけて来てくれたのは私の隣の席に座るマルべリア・ハイネ伯爵令嬢だ。
おっとりとした話し方がとても印象的な令嬢だ。
本来、下位の令嬢が上位の令嬢に話しかけるのはマナー違反になるがこれは学校内では免除される。
でなければ、色々と不都合が生じるからだ。
勿論、同じクラスメイトでも社交の場に出れば其れが適用されるので対応の仕方や態度がガラッと変わるが。
「ありがとうございます。
私もとても気に入っているのです」
「どこのお店の物ですか?」
と、聞いて来たのはマルべリアとは反対の私の隣に座るララ・コンバッド侯爵令嬢だ。
「王都の表参道にある店ですわ」
「お高いのですか?」
と、聞いて来たのは子爵家の令嬢だ。
子爵家だと上流貴族程財が豊かではないので色々と気遣うこともあるのだろう。
普通の令嬢なら気にしない値段のことを聞いて来た。
それを嘲笑する者も居たが、中には真剣に聞き耳を立てている者も居た。
「いいえ。これは庶民向けに作られているのでお値段はそんなに高くないのですわ」
「そうなんですか!?」とは、聞いていた全員が驚いた。
会話には参加しなくとも聞き耳を立てていたものもとても驚いていた。
「とても凝った細工に見えますが?」
「ええ。けれど、店主は身分に関わらず手にして欲しいと思っておりますので」
「おかなし店主がいたものですわね。
低俗な庶民に文字の読み書きができるとは思えませんわ。
そんな庶民にそんな物が必要になるとは思えませんが?」
と、小ばかにしたように言ったのは私と同じ公爵家のジュリア・ミレイユだ。
「文字が書けない者ばかりではありませんわ。
ミレイユ公爵令嬢は庶民をバカにしますが私達が使っているこの机や椅子、学校の機材などを作っているのはその庶民です。
それにこれは文字を書くだけの道具ではなくインテリアとしても会求める者がいるそうですわ」
私がそう言うと周りの令嬢が食いついて来た。
「確かにこれは飾るだけでもいいですわね」
「ええ。部屋がよりお洒落になりますわ」
「私もお父様に買ってもらおうかしら」
「私も」
「私も」
周りの人間が賛同していくのがそんなに気に食わないのかジュリアはフンッと鼻で笑って大げさなぐらい侮蔑と呆れを込めて言った。
「貴族ともあろうものが下賎の民の者を欲するなんて品性を疑いますわ」
「あら、ではお互い様ですわね」
「何ですって!!」
私とジュリアがぶつけた視線には火花が飛び散った。
周りの人間はそれをハラハラしながら見ている。
お互い、公爵家同士の闘いだ。
そして周りにいるのは全員、貴族の出身
瞬時にどちらの側につくのがいいかを計算してこれからの人付き合いを考えなくてはいけない。
派閥とはこうしてできるのかもしれない。
ついでに流行も。
期せずして、彼女、レイアが持っていたペンとインク瓶は貴族の中でも大流行をすることとなった。
これはレイラ・カーティスという一人の令嬢の影響力の大きさが物を言ったのかもしれない。
40
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢が睨んでくるので、理由を聞いてみた
ちくわ食べます
恋愛
転生したのは馴染みのない乙女ゲームの世界だった。
シナリオは分からず、登場人物もうろ覚え、タイトルなんて覚えてすらいない。
そんな世界でモブ男『トリスタン』として暮らす主人公。
恋愛至上主義な学園で大人しく、モブらしく、学園生活を送っていたはずなのに、なぜか悪役令嬢から睨まれていて。
気になったトリスタンは、悪役令嬢のセリスに理由を聞いてみることにした。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
悪役令嬢がヒロインからのハラスメントにビンタをぶちかますまで。
倉桐ぱきぽ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した私は、ざまぁ回避のため、まじめに生きていた。
でも、ヒロイン(転生者)がひどい!
彼女の嘘を信じた推しから嫌われるし。無実の罪を着せられるし。そのうえ「ちゃんと悪役やりなさい」⁉
シナリオ通りに進めたいヒロインからのハラスメントは、もう、うんざり!
私は私の望むままに生きます!!
本編+番外編3作で、40000文字くらいです。
⚠途中、視点が変わります。サブタイトルをご覧下さい。
【完結】名前もない悪役令嬢の従姉妹は、愛されエキストラでした
犬野きらり
恋愛
アーシャ・ドミルトンは、引越してきた屋敷の中で、初めて紹介された従姉妹の言動に思わず呟く『悪役令嬢みたい』と。
思い出したこの世界は、最終回まで私自身がアシスタントの1人として仕事をしていた漫画だった。自分自身の名前には全く覚えが無い。でも悪役令嬢の周りの人間は消えていく…はず。日に日に忘れる記憶を暗記して、物語のストーリー通りに進むのかと思いきや何故かちょこちょこと私、運良く!?偶然!?現場に居合わす。
何故、私いるのかしら?従姉妹ってだけなんだけど!悪役令嬢の取り巻きには絶対になりません。出来れば関わりたくはないけど、未来を知っているとついつい手を出して、余計なお喋りもしてしまう。気づけば私の周りは、主要キャラばかりになっているかも。何か変?は、私が変えてしまったストーリーだけど…
悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。
槙村まき
恋愛
スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。
それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。
挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。
そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……!
第二章以降は、11時と23時に更新予定です。
他サイトにも掲載しています。
よろしくお願いします。
25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!
断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる
葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。
アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。
アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。
市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる