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「スカーレット、これはどういうことだっ!」
怒りに満ちた陛下の顔
私は笑みを浮かべ可愛く首を傾げてみる。自分でしてみてあざといなこの仕草。と、思いながら。
「なんのことでしょう?」
「とぼけるなっ!」
バシッと陛下はタブロイド紙を叩きつけるようにテーブルの上に置いた。
「お前の監督不行届きだぞ」
「それで?私を罰しますか?私は構いませんよ」
怒りすぎて陛下の顔は真っ赤になっていた。このまま血管がぶちきれて倒れてくれたらこちらとしては有り難いのだが世の中そんなに上手くはいかない。
「父上、お止めください」
珍しくノックもせずに不作法に入ってきた金髪の美青年。彼はこの国の第一王子、ミリオレット。
「ミリオレット、ノックもなしに何だいきないり!」
不作法を咎める陛下にミリオレット殿下は誰のせいでこんなに慌ててるんだという顔で私の横に立った。
「あなたがスカーレットを呼びつけたと聞いて慌てて来たんです。セルフの発言は王族としては有り得ないことです。どうしてあんな発言が記事にされたかは分かりませんが」
そこでふとミリオレット殿下は私を見た。
彼は全て私の策略だと分かっているのだろう。でも別に問題はない。だから私は笑顔でミリオレット殿下を見返した。
彼は諦めたようにため息をついてから再び陛下を見る。
「セルフの教育を間違えた王家に非があり、スカーレットに押し付けるのは間違えています」
「じゃが」
「それに!この婚約は王家がセルフを厄介払いにする為に押しの弱い公爵に押し付けたことは周知の事実。度重なるセルフの言動により王家の信用は損なわれています。この上、セルフの問題をスカーレットに押し付ければ、王家の信用は地に落ちます」
陛下に口を挟ませないようミリオレット殿下は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「で、ではどうしろと言うのだ」
ミリオレット殿下の剣幕に押されながらも陛下は私を睨み付けながらミリオレット殿下に聞く。
私は陛下から向かってくる怒気に素知らぬ顔をしながら紅茶を飲む。
王宮がだしだけあって良い茶葉を使っている。とても美味しい。
「セルフとスカーレットの婚約は破棄。そんなに平民と結婚したければ同じ平民にすればいい」
厄介者とは言え息子。バカな子程可愛いと言う。陛下が私にセルフ殿下を押し付けたのもそこら辺の理由だろう。
現にミリオレット殿下の言葉に陛下は「そこまでしなくても」と言っている。
その言葉にミリオレット殿下の目尻がつり上がる。
「それだけのことをしたんです。王家に生まれながらその役目を果たせない無能は我が家には要りません。王族だからこそ我々は有能でなければならないんです」
◇◇◇
ミリオレット殿下の出現で思った以上に話は早くすんだ。
「おかげで助かりました」
話がある程度まとまり帰路につく私のエスコートをミリオレット殿下がしてくれている。
ここはまだ王宮居住区。そのため回廊にはあまり人がいない。
ミリオレット殿下はため息をついて私を見た。
「私が来ることが分かっていたんだろう」
「来なくても問題はありませんでした」
「来なければ王家は終わっていた。逆上した父上が君に罰を与える。君は嬉々としてそれを受けるだろう。そうすれば貴族は王家に対してより強い反感を抱くようになる。貴族に嫌われたら王家は終わりだ」
「私は別に謀反を起こさせたいわけではありませんよ」
私の言葉にミリオレット殿下の足が止まる。必然的に私の足も止まる。
私を見つめた後、彼は苦笑した。
「そうだろうな。ただ父上が欲を出して公爵家を飲み込もうとした。それに対してお前は怒った。これは公爵家を怒らせればどうなるかを示しただけだ」
気づいたのはミリオレット殿下だけだけどね。
でもそれで充分だ。だって次世代を築いていくのはミリオレット殿下だから。
「スカーレット。今の公爵家はお前が支えている。お前が公爵家の心臓だ。お前がいなくなれば公爵家は終わる」
「そうはならねぇよ」
私の身を危惧するミリオレット殿下をダリウスが睨み付ける。
今まで黙ってついてきていた彼が口を挟んできた。
ダリウスの不作法に気分を害したふうもなく ミリオレット殿下はダリウスに続きを促した。
「スカーレットは俺が守る。」
それは己の腕を過信して出る言葉ではなく何があっても守るという覚悟を伴ったものだった。だからこそ私は彼を誰よりも信用している。
「そうか。少し、羨ましいな」
ミリオレット殿下はどこか寂しそうな顔でそう呟いた後は何も言うことはなく私とダリウスを馬車のところまで一緒に行った。
「あの坊ちゃんも大変だな。あんな身内を持っちまって」
走り出した馬車の中から遠ざかるミリオレット殿下の背中を見ながらダリウスが言った。
「そうね。私も同情するわ」
ミリオレット殿下はいつもセルフ殿下の尻ぬぐいばかりをさせられてきた。彼がそれをしてきたのは王家の信用問題もあるだろうし、それ以外にもやはりセルフ殿下が自分の弟だからというのもあったのだろう。
でもこれ以上放置すれば傷は大きくなり、やがて修復不可能となってしまう。それが分かったからこそミリオレット殿下は陛下ができなかったことを王家の人間として代わりにしたのだ。
セルフ殿下を切り捨てる。
非常かもしれないが最善だろう。綺麗ごとだけでは政治は行えないのだから。
怒りに満ちた陛下の顔
私は笑みを浮かべ可愛く首を傾げてみる。自分でしてみてあざといなこの仕草。と、思いながら。
「なんのことでしょう?」
「とぼけるなっ!」
バシッと陛下はタブロイド紙を叩きつけるようにテーブルの上に置いた。
「お前の監督不行届きだぞ」
「それで?私を罰しますか?私は構いませんよ」
怒りすぎて陛下の顔は真っ赤になっていた。このまま血管がぶちきれて倒れてくれたらこちらとしては有り難いのだが世の中そんなに上手くはいかない。
「父上、お止めください」
珍しくノックもせずに不作法に入ってきた金髪の美青年。彼はこの国の第一王子、ミリオレット。
「ミリオレット、ノックもなしに何だいきないり!」
不作法を咎める陛下にミリオレット殿下は誰のせいでこんなに慌ててるんだという顔で私の横に立った。
「あなたがスカーレットを呼びつけたと聞いて慌てて来たんです。セルフの発言は王族としては有り得ないことです。どうしてあんな発言が記事にされたかは分かりませんが」
そこでふとミリオレット殿下は私を見た。
彼は全て私の策略だと分かっているのだろう。でも別に問題はない。だから私は笑顔でミリオレット殿下を見返した。
彼は諦めたようにため息をついてから再び陛下を見る。
「セルフの教育を間違えた王家に非があり、スカーレットに押し付けるのは間違えています」
「じゃが」
「それに!この婚約は王家がセルフを厄介払いにする為に押しの弱い公爵に押し付けたことは周知の事実。度重なるセルフの言動により王家の信用は損なわれています。この上、セルフの問題をスカーレットに押し付ければ、王家の信用は地に落ちます」
陛下に口を挟ませないようミリオレット殿下は矢継ぎ早に言葉を紡ぐ。
「で、ではどうしろと言うのだ」
ミリオレット殿下の剣幕に押されながらも陛下は私を睨み付けながらミリオレット殿下に聞く。
私は陛下から向かってくる怒気に素知らぬ顔をしながら紅茶を飲む。
王宮がだしだけあって良い茶葉を使っている。とても美味しい。
「セルフとスカーレットの婚約は破棄。そんなに平民と結婚したければ同じ平民にすればいい」
厄介者とは言え息子。バカな子程可愛いと言う。陛下が私にセルフ殿下を押し付けたのもそこら辺の理由だろう。
現にミリオレット殿下の言葉に陛下は「そこまでしなくても」と言っている。
その言葉にミリオレット殿下の目尻がつり上がる。
「それだけのことをしたんです。王家に生まれながらその役目を果たせない無能は我が家には要りません。王族だからこそ我々は有能でなければならないんです」
◇◇◇
ミリオレット殿下の出現で思った以上に話は早くすんだ。
「おかげで助かりました」
話がある程度まとまり帰路につく私のエスコートをミリオレット殿下がしてくれている。
ここはまだ王宮居住区。そのため回廊にはあまり人がいない。
ミリオレット殿下はため息をついて私を見た。
「私が来ることが分かっていたんだろう」
「来なくても問題はありませんでした」
「来なければ王家は終わっていた。逆上した父上が君に罰を与える。君は嬉々としてそれを受けるだろう。そうすれば貴族は王家に対してより強い反感を抱くようになる。貴族に嫌われたら王家は終わりだ」
「私は別に謀反を起こさせたいわけではありませんよ」
私の言葉にミリオレット殿下の足が止まる。必然的に私の足も止まる。
私を見つめた後、彼は苦笑した。
「そうだろうな。ただ父上が欲を出して公爵家を飲み込もうとした。それに対してお前は怒った。これは公爵家を怒らせればどうなるかを示しただけだ」
気づいたのはミリオレット殿下だけだけどね。
でもそれで充分だ。だって次世代を築いていくのはミリオレット殿下だから。
「スカーレット。今の公爵家はお前が支えている。お前が公爵家の心臓だ。お前がいなくなれば公爵家は終わる」
「そうはならねぇよ」
私の身を危惧するミリオレット殿下をダリウスが睨み付ける。
今まで黙ってついてきていた彼が口を挟んできた。
ダリウスの不作法に気分を害したふうもなく ミリオレット殿下はダリウスに続きを促した。
「スカーレットは俺が守る。」
それは己の腕を過信して出る言葉ではなく何があっても守るという覚悟を伴ったものだった。だからこそ私は彼を誰よりも信用している。
「そうか。少し、羨ましいな」
ミリオレット殿下はどこか寂しそうな顔でそう呟いた後は何も言うことはなく私とダリウスを馬車のところまで一緒に行った。
「あの坊ちゃんも大変だな。あんな身内を持っちまって」
走り出した馬車の中から遠ざかるミリオレット殿下の背中を見ながらダリウスが言った。
「そうね。私も同情するわ」
ミリオレット殿下はいつもセルフ殿下の尻ぬぐいばかりをさせられてきた。彼がそれをしてきたのは王家の信用問題もあるだろうし、それ以外にもやはりセルフ殿下が自分の弟だからというのもあったのだろう。
でもこれ以上放置すれば傷は大きくなり、やがて修復不可能となってしまう。それが分かったからこそミリオレット殿下は陛下ができなかったことを王家の人間として代わりにしたのだ。
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