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王妃となって二回。公の場に出る。
最初の一回は結婚式だ。その後の披露宴以降、姿を見せない王妃である私に周囲の目が向く。
「あれが、オレストから嫁いで来た王妃、か」
「不美人だと聞いたが」
「とても妖艶だ。漆黒の髪と瞳が更にそれを際立たせるな」
「ああ」
と、国内の貴族達は話しており。
対する国外の貴族は。
「あれがオレスト国の王女か。第一、第二王子に溺愛されているとか」
「オレスト国の国王もただ一人の王女を目に入れても痛くないほど可愛がっているとか」
「ならば、後ろ楯はかなり大きいと言えるな。おまけにあれほどの美人。
蔑ろにするクレバー陛下は気でも触れているのか」
「囲っているのが後ろ楯も教養もない平民とくればそうとしか考えられないな」
「公の場でも恥ずかしげもなく連れ歩いていたな。確かに可愛らしい分類には入るが、少々」
「服装や言動がかなり幼いな。まぁ、若い連中はああいう娘に庇護欲をそそられてころっといくんだろうな」
「若い分、女に免疫もないだろうからな」
「しかし、オレストとガルディアの婚約話を聞いたときは逃した魚が大きすぎてショックだったが」
「あの様子を見る限り、我らにもまだチャンスがありそうだ」
と、話していた。
対する国内及び国外の令嬢達は。
「たかが平民風情に陛下の寵愛を取られた情けない王妃様のお越しですわね」
「私、王妃様を初めて見ましたが、かなりの美人ですわね」
「クスッ。それなのに平民に陛下を寝取られるなんて」
「王妃様が余程下手なのか、平民の方が手練手管に長けていたのか。厭らしいですわね。さすがは平民。やり方が下品すぎて高貴なる身である私達には想像もできませんわね」
「あら、まだ分かりませんわよ。王妃様の体に寝取られる原因になるだけの欠陥があるのかも」
「まぁ!もし、それが本当ならお痛わしいことですわね。クスリっ」
と、扇で口元を隠しながら好き放題話していた。
私の耳には入ってこないが視線をちらちら寄越してクスクス笑われているのは気づいているので悪口を言われていることぐらいは分かる。
何も知らない馬鹿な令嬢達は王女や王妃の座に憧れ、嫉妬する。
だから何か一つでも突っつける物があれば容赦なく攻撃してくるだろう。
傷口に塩を塗るだけでは足らず、岩塩を用いてくることぐらいは笑顔でやるだろう。
これは、オレストでも同じだった。
だから、慣れている。でも、何も感じないわけではない。
私は隣に視線を向ければ、取り繕うことを知らないのか、陛下は不機嫌さを隠さずに客の挨拶を聞いている。
それを見て、私は気づかれないように溜息をついた。
「おい、お前。ダンスは踊れるのか?」
この馬鹿。自分の妻を平民と勘違いしているのではないか。
「お忘れかもしれませんが私はこれでも王族に嫁げるだけの地位にいます。オレスト王国第一王女がダンスが踊れないなのど、常識的に有り得ませんわ」
こんな屈辱的な質問は初めてされた。
「そうか。お前は国では溺愛されているとか。どこまで自由奔放、我が儘に育てられたか分からないからな。確認しただけだ」
「・・・・陛下は、私に教養がないと思っていらっしゃるのですか?」
「間違ってはいないだろう。現にお前の兄達は主催者である私の所に挨拶にも来ないぞ」
というか、さっきから探しているのだけど姿を見かけない。
本当にどこに居るのかしら。
「必要ならします。それよりもダンスの時間ですわ」
最初は王族が踊り、それが終わったら貴族達が踊るのだ。
私は暗に『あなたにはその価値がないと兄が判断した』と言って、陛下にエスコートされながらダンスホールの真ん中へ行った。
「っ」
陛下は腐っても王族。
ダンスはかなり上手でとても踊りやすかった。
けれど握られた手に力が入りすぎていてかなり痛い。
わざとかどうかは分からないが、女性に対する気づかないができないなと心の中でため息をつきながら私はこの苦痛な時間を何とかやり過ごした。
最初の一回は結婚式だ。その後の披露宴以降、姿を見せない王妃である私に周囲の目が向く。
「あれが、オレストから嫁いで来た王妃、か」
「不美人だと聞いたが」
「とても妖艶だ。漆黒の髪と瞳が更にそれを際立たせるな」
「ああ」
と、国内の貴族達は話しており。
対する国外の貴族は。
「あれがオレスト国の王女か。第一、第二王子に溺愛されているとか」
「オレスト国の国王もただ一人の王女を目に入れても痛くないほど可愛がっているとか」
「ならば、後ろ楯はかなり大きいと言えるな。おまけにあれほどの美人。
蔑ろにするクレバー陛下は気でも触れているのか」
「囲っているのが後ろ楯も教養もない平民とくればそうとしか考えられないな」
「公の場でも恥ずかしげもなく連れ歩いていたな。確かに可愛らしい分類には入るが、少々」
「服装や言動がかなり幼いな。まぁ、若い連中はああいう娘に庇護欲をそそられてころっといくんだろうな」
「若い分、女に免疫もないだろうからな」
「しかし、オレストとガルディアの婚約話を聞いたときは逃した魚が大きすぎてショックだったが」
「あの様子を見る限り、我らにもまだチャンスがありそうだ」
と、話していた。
対する国内及び国外の令嬢達は。
「たかが平民風情に陛下の寵愛を取られた情けない王妃様のお越しですわね」
「私、王妃様を初めて見ましたが、かなりの美人ですわね」
「クスッ。それなのに平民に陛下を寝取られるなんて」
「王妃様が余程下手なのか、平民の方が手練手管に長けていたのか。厭らしいですわね。さすがは平民。やり方が下品すぎて高貴なる身である私達には想像もできませんわね」
「あら、まだ分かりませんわよ。王妃様の体に寝取られる原因になるだけの欠陥があるのかも」
「まぁ!もし、それが本当ならお痛わしいことですわね。クスリっ」
と、扇で口元を隠しながら好き放題話していた。
私の耳には入ってこないが視線をちらちら寄越してクスクス笑われているのは気づいているので悪口を言われていることぐらいは分かる。
何も知らない馬鹿な令嬢達は王女や王妃の座に憧れ、嫉妬する。
だから何か一つでも突っつける物があれば容赦なく攻撃してくるだろう。
傷口に塩を塗るだけでは足らず、岩塩を用いてくることぐらいは笑顔でやるだろう。
これは、オレストでも同じだった。
だから、慣れている。でも、何も感じないわけではない。
私は隣に視線を向ければ、取り繕うことを知らないのか、陛下は不機嫌さを隠さずに客の挨拶を聞いている。
それを見て、私は気づかれないように溜息をついた。
「おい、お前。ダンスは踊れるのか?」
この馬鹿。自分の妻を平民と勘違いしているのではないか。
「お忘れかもしれませんが私はこれでも王族に嫁げるだけの地位にいます。オレスト王国第一王女がダンスが踊れないなのど、常識的に有り得ませんわ」
こんな屈辱的な質問は初めてされた。
「そうか。お前は国では溺愛されているとか。どこまで自由奔放、我が儘に育てられたか分からないからな。確認しただけだ」
「・・・・陛下は、私に教養がないと思っていらっしゃるのですか?」
「間違ってはいないだろう。現にお前の兄達は主催者である私の所に挨拶にも来ないぞ」
というか、さっきから探しているのだけど姿を見かけない。
本当にどこに居るのかしら。
「必要ならします。それよりもダンスの時間ですわ」
最初は王族が踊り、それが終わったら貴族達が踊るのだ。
私は暗に『あなたにはその価値がないと兄が判断した』と言って、陛下にエスコートされながらダンスホールの真ん中へ行った。
「っ」
陛下は腐っても王族。
ダンスはかなり上手でとても踊りやすかった。
けれど握られた手に力が入りすぎていてかなり痛い。
わざとかどうかは分からないが、女性に対する気づかないができないなと心の中でため息をつきながら私はこの苦痛な時間を何とかやり過ごした。
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