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ダンスが終わり、貴族達がこぞってダンスを始める。
「マリア」
さっさとこの男から離れてしまおうと思った時、懐かしい声が聞こえ、視線を向けるとリヴィお兄様が居た。
「お兄様」
「やぁ、マリア。見違えているから最初は分からなかったよ。随分と変わったね」
言葉通りの意味であり、そしてそれはクレバー陛下に対する皮肉だと分かった。
けれど、クレバー陛下は分かっていないようだ。
無視されていることに腹が立ち気づいていないのか、それとも生来の鈍感さがここまで酷いのかは分からないが。
「同じ大国である私に挨拶もなしか?リヴィ殿」
不機嫌そうに陛下は兄にそう吐き捨てた。
「同じ?」
にっこりと笑いながら陛下に視線を向けたリヴィお兄様は次に笑顔を消し、ドスの利いた声を発した。
「舐めたことほざいてんじゃねぇぞ。てめぇら新参者とは格がちげぇんだよ」
「っ」
いつもニコニコと笑っているリヴィお兄様。見た目は爽やかさで優男。でも、その実、オレスト王国でリリーお義姉様の次に怒らせてはいけない人となっている。
リリーお義姉様もそうだけど温厚な人が怒ると迫力が違うよね。
私とアンネお義姉様はこんなリヴィお兄様を見るのは初めてじゃない。
馬鹿な貴族がアンネお義姉様を殺して自分の娘を第二王子の妻にあてがおうとしたことがあった。高望みはしないけど、それでも王族と縁戚関係を結びたかったのだろう。
リヴィお兄様が直ぐに気付いて事なきを得たがその時の様子を類似させる姿が公の場で発揮されている。
陛下は始めてみるリヴィお兄様の様子に気圧され、身を僅かに引いた。
「きゃっ。ちょっと何なのっ!何をするの!私が誰か分かってやっているの!」
お兄様と陛下が対峙しているときにそんな甲高い声がした。
視線を向けるまでもなくその声の主が誰なのか私には直ぐに分かった。
もちろん、陛下も。
「シャルロッテっ!」
陛下はあろうことか私の兄の前で私を置き去りにして、シャルロッテの所へ駆けていった。
「へぇ~。彼女、来てたんだ」
足元から底冷えするような声がリヴィお兄様から発せられた。
視線だけをリヴィお兄様に向けると、完全に笑顔を消していた。
「あれが身の程知らずの平民ですの?」
「お二人とも、ご存じで?」
「結構、有名な話だからな。シスタミナ帝国の王は大国、オレストの王女を蔑ろにして平民を囲っていると」
私の質問に答えたのはリヴィお兄様ではなかった。
「トワ様」
「ごきげんよう、マリア。少し痩せたな」
そう言って笑いかけてくれるトワに私の頬が熱を帯びる。
トワ様は私の手の甲を取り、軽く口づける。
それだけで全身に熱が走る。
トワ様との婚約の話もあった。少しは期待をしていたけど武力よりも貿易をという意見が多く、加えてオルドルト国が小国ということもあり我が国の貴族が難色を示し、議論の結果、私はシスタミナ帝国に嫁ぐことになった。
これは仕方がないことだと諦めていたけど、やはり心とは簡単に捨てられるものではなく、会えば嬉しい。
「話はガルムから聞いている。手助けのつもりで参加したが俺は必要なさそうだ」
「それは、どういうことですか。トワ殿下」
リヴィお兄様の疑問は私も感じたので答えを求めるようにトワ様を見た。
すると、トワ様はクスリと笑って公の場で騒ぎたでるシャルロッテに視線を向けた。
「あれじゃあ、自滅する」
「マリア」
さっさとこの男から離れてしまおうと思った時、懐かしい声が聞こえ、視線を向けるとリヴィお兄様が居た。
「お兄様」
「やぁ、マリア。見違えているから最初は分からなかったよ。随分と変わったね」
言葉通りの意味であり、そしてそれはクレバー陛下に対する皮肉だと分かった。
けれど、クレバー陛下は分かっていないようだ。
無視されていることに腹が立ち気づいていないのか、それとも生来の鈍感さがここまで酷いのかは分からないが。
「同じ大国である私に挨拶もなしか?リヴィ殿」
不機嫌そうに陛下は兄にそう吐き捨てた。
「同じ?」
にっこりと笑いながら陛下に視線を向けたリヴィお兄様は次に笑顔を消し、ドスの利いた声を発した。
「舐めたことほざいてんじゃねぇぞ。てめぇら新参者とは格がちげぇんだよ」
「っ」
いつもニコニコと笑っているリヴィお兄様。見た目は爽やかさで優男。でも、その実、オレスト王国でリリーお義姉様の次に怒らせてはいけない人となっている。
リリーお義姉様もそうだけど温厚な人が怒ると迫力が違うよね。
私とアンネお義姉様はこんなリヴィお兄様を見るのは初めてじゃない。
馬鹿な貴族がアンネお義姉様を殺して自分の娘を第二王子の妻にあてがおうとしたことがあった。高望みはしないけど、それでも王族と縁戚関係を結びたかったのだろう。
リヴィお兄様が直ぐに気付いて事なきを得たがその時の様子を類似させる姿が公の場で発揮されている。
陛下は始めてみるリヴィお兄様の様子に気圧され、身を僅かに引いた。
「きゃっ。ちょっと何なのっ!何をするの!私が誰か分かってやっているの!」
お兄様と陛下が対峙しているときにそんな甲高い声がした。
視線を向けるまでもなくその声の主が誰なのか私には直ぐに分かった。
もちろん、陛下も。
「シャルロッテっ!」
陛下はあろうことか私の兄の前で私を置き去りにして、シャルロッテの所へ駆けていった。
「へぇ~。彼女、来てたんだ」
足元から底冷えするような声がリヴィお兄様から発せられた。
視線だけをリヴィお兄様に向けると、完全に笑顔を消していた。
「あれが身の程知らずの平民ですの?」
「お二人とも、ご存じで?」
「結構、有名な話だからな。シスタミナ帝国の王は大国、オレストの王女を蔑ろにして平民を囲っていると」
私の質問に答えたのはリヴィお兄様ではなかった。
「トワ様」
「ごきげんよう、マリア。少し痩せたな」
そう言って笑いかけてくれるトワに私の頬が熱を帯びる。
トワ様は私の手の甲を取り、軽く口づける。
それだけで全身に熱が走る。
トワ様との婚約の話もあった。少しは期待をしていたけど武力よりも貿易をという意見が多く、加えてオルドルト国が小国ということもあり我が国の貴族が難色を示し、議論の結果、私はシスタミナ帝国に嫁ぐことになった。
これは仕方がないことだと諦めていたけど、やはり心とは簡単に捨てられるものではなく、会えば嬉しい。
「話はガルムから聞いている。手助けのつもりで参加したが俺は必要なさそうだ」
「それは、どういうことですか。トワ殿下」
リヴィお兄様の疑問は私も感じたので答えを求めるようにトワ様を見た。
すると、トワ様はクスリと笑って公の場で騒ぎたでるシャルロッテに視線を向けた。
「あれじゃあ、自滅する」
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