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「俺はオレスト国王太子、ガルム」
ガルムお兄様は会場に高々と言った。
「どういうつもりだ!友好国である我国に土足で入り込むなど、ぐがはっ」
クレバー陛下は最後まで言えなかった。全てを言い終える前にガルムお兄様の拳がクレバー陛下の顔面にめり込んだからだ。
クレバー陛下は五メートル程後ろに飛んだ。床には陛下の物と思われる歯が数本落ちている。
「きゃっあ、クレバー」
「陛下、大丈夫ですか!?」
シャルロッテは悲鳴を上げ、側近達は慌ててクレバー陛下の元へ駆けつけた。
そんな彼らを無視してガルムお兄様は私の元へ歩み寄る。
長い足が歩を進め、私達の間にあった距離があっという間に縮まる。かと、思えば腕を引かれ、私はガルムお兄様の腕の中に居た。
これが長兄の持つ安心感というものだろうか。私はガルムお兄様の暖かを感じるとこの一年、流すことのなかった涙が流れていた。
私は公の場であるにも関わらずガルムお兄様にすがり、ガルムお兄様の胸に顔を埋めて泣いた。
そんな私をガルムお兄様は優しく頭を撫でてくれた。
クレバー陛下のことは何とも思っていない。
政略結婚だから仕方がないと思って来た。そうやって己を保ち続けてきた。
でも悔しかった。どうして私がこんなに疎まれなければならないのか。そんな理不尽さが腹立たしかった。
でも、どうしていいか分からない。王妃は王の臣下。従うしかないのかと諦めていた。
レイチェル達は私が言えば助けてくれるだろう。でも、侍女である彼女達が陛下に逆らえば簡単に首が飛ぶのだ。
「よく、頑張ったな。マリア。後は任せろ」
「・・・・・はい」
ガルムお兄様は私が泣き止んだのを確認し、体をそっと放した。
不安そうに見つめる私を安心させるように笑いかけ、私をリヴィお兄様とアンネお義姉様に預けた。
「何てことをするんですか。友好国である我国に土足で踏み入った揚げ句、その国の王に暴力を振るうなど、許されることではありませんよ!」
床の上で伸びているクレバー陛下に代り、コブラがガルムお兄様に抗議をした。
だが、ガルムお兄様に睨まれ、ひっと息を飲むような悲鳴を上げ直ぐに縮こまってしまった。
「友好国?笑わせるな。貴様らは俺の妹を幽閉塔に閉じ込めた。しかも満足な食事も与えなかったそうだな。確か、俺の妹の食事は一日に一回。パンが一つとコップ一杯の水だったな」
ガルムお兄様の言葉に周囲の貴族達は顔をしかめる。それは王妃の食べるものではない。
貧富の差が激しくない国では平民の方がまともなものを食べている。
「そ、それは」
口ごもる側近達。彼らは知っていたのだ。それを命じたのがクレバー陛下かシャルロッテかは知らないけど。
「友好国など笑わせるな」
「国の為に政略結婚をしたマリアを娼婦扱いもしていたな」
あっさりとトワ様はガルムお兄様に報告した。
「ほぅ」
ガルムお兄様の眉間が更に深くなる。会場にブリザードが吹き荒れ、我関せずと見守っていた貴族達もぶるぶると体を震わせる。
「おかしな話だ。それが事実なら貴族も王族も全員、そうなるよな。そうは思わないか、ガルム」
「ああ、そうだな。俺達は平民よりも贅沢な暮らしができている。それはそれなりのことを果たしているからだ。男も女も関係ない。
好いた人と結婚がしたい?なら、今の地位を捨て平民になれ。クソが」
そう口汚く罵っても当の本人は伸びているので耳には入らない。
「それから、シスタミナ帝国は我国の属国となってもらう」
「なっ!」
「そんなことが許されるわけが」
「誰の許しがいる?神か?言っとくがそこで伸びている木偶の坊の許しなぞ必要ないぞ。なぜオレストが貴様らの言うことなんぞ聞かなならん?いかに大国と言えど、お前達は所詮新参者。大国であり、長き歴史を誇るオレストには足元にも及ばないぞ。
近隣諸国に助けを求めてもいいぞ。特別に許可してやる。そうだな。期日は三日だ。それまでに俺が用いた兵力の倍は用意してみせよ。そうすれば、離縁はさせてもらうが、手は出さん」
この状況は既に放映されているし、このパーティーには各国の王族達も来ている。
つまり、シスタミナ帝国の愚行さは彼らによって知れ渡るだろうし、何よりもこれを観ているよ民が口々に噂をして、それが商人を通して更に知れ渡るだろう。
ガルムお兄様が用意した兵力は三〇〇〇〇。これの倍を三日で用意するなんて不可能だ。
「い、いいだろう。それぐらい用意してやる」
だが、騎士団長のジョセフはあっさりと引き受けた。ガルムお兄様は「ほぅ」と面白がっていたが、近隣諸国は呆れていたり、「三日でどうやって集めるのか見ものだな」と高みの見物をしている者、「シスタミナにそれ程の兵力があるとは聞いていないが?」「平民をかき集めれば何とかいけるのではないか?まぁ、こんなものを放映されているんだ。オレストに滅ぼされる前に民の反乱で滅びそうだがな」などと話していた。
ガルムお兄様は会場に高々と言った。
「どういうつもりだ!友好国である我国に土足で入り込むなど、ぐがはっ」
クレバー陛下は最後まで言えなかった。全てを言い終える前にガルムお兄様の拳がクレバー陛下の顔面にめり込んだからだ。
クレバー陛下は五メートル程後ろに飛んだ。床には陛下の物と思われる歯が数本落ちている。
「きゃっあ、クレバー」
「陛下、大丈夫ですか!?」
シャルロッテは悲鳴を上げ、側近達は慌ててクレバー陛下の元へ駆けつけた。
そんな彼らを無視してガルムお兄様は私の元へ歩み寄る。
長い足が歩を進め、私達の間にあった距離があっという間に縮まる。かと、思えば腕を引かれ、私はガルムお兄様の腕の中に居た。
これが長兄の持つ安心感というものだろうか。私はガルムお兄様の暖かを感じるとこの一年、流すことのなかった涙が流れていた。
私は公の場であるにも関わらずガルムお兄様にすがり、ガルムお兄様の胸に顔を埋めて泣いた。
そんな私をガルムお兄様は優しく頭を撫でてくれた。
クレバー陛下のことは何とも思っていない。
政略結婚だから仕方がないと思って来た。そうやって己を保ち続けてきた。
でも悔しかった。どうして私がこんなに疎まれなければならないのか。そんな理不尽さが腹立たしかった。
でも、どうしていいか分からない。王妃は王の臣下。従うしかないのかと諦めていた。
レイチェル達は私が言えば助けてくれるだろう。でも、侍女である彼女達が陛下に逆らえば簡単に首が飛ぶのだ。
「よく、頑張ったな。マリア。後は任せろ」
「・・・・・はい」
ガルムお兄様は私が泣き止んだのを確認し、体をそっと放した。
不安そうに見つめる私を安心させるように笑いかけ、私をリヴィお兄様とアンネお義姉様に預けた。
「何てことをするんですか。友好国である我国に土足で踏み入った揚げ句、その国の王に暴力を振るうなど、許されることではありませんよ!」
床の上で伸びているクレバー陛下に代り、コブラがガルムお兄様に抗議をした。
だが、ガルムお兄様に睨まれ、ひっと息を飲むような悲鳴を上げ直ぐに縮こまってしまった。
「友好国?笑わせるな。貴様らは俺の妹を幽閉塔に閉じ込めた。しかも満足な食事も与えなかったそうだな。確か、俺の妹の食事は一日に一回。パンが一つとコップ一杯の水だったな」
ガルムお兄様の言葉に周囲の貴族達は顔をしかめる。それは王妃の食べるものではない。
貧富の差が激しくない国では平民の方がまともなものを食べている。
「そ、それは」
口ごもる側近達。彼らは知っていたのだ。それを命じたのがクレバー陛下かシャルロッテかは知らないけど。
「友好国など笑わせるな」
「国の為に政略結婚をしたマリアを娼婦扱いもしていたな」
あっさりとトワ様はガルムお兄様に報告した。
「ほぅ」
ガルムお兄様の眉間が更に深くなる。会場にブリザードが吹き荒れ、我関せずと見守っていた貴族達もぶるぶると体を震わせる。
「おかしな話だ。それが事実なら貴族も王族も全員、そうなるよな。そうは思わないか、ガルム」
「ああ、そうだな。俺達は平民よりも贅沢な暮らしができている。それはそれなりのことを果たしているからだ。男も女も関係ない。
好いた人と結婚がしたい?なら、今の地位を捨て平民になれ。クソが」
そう口汚く罵っても当の本人は伸びているので耳には入らない。
「それから、シスタミナ帝国は我国の属国となってもらう」
「なっ!」
「そんなことが許されるわけが」
「誰の許しがいる?神か?言っとくがそこで伸びている木偶の坊の許しなぞ必要ないぞ。なぜオレストが貴様らの言うことなんぞ聞かなならん?いかに大国と言えど、お前達は所詮新参者。大国であり、長き歴史を誇るオレストには足元にも及ばないぞ。
近隣諸国に助けを求めてもいいぞ。特別に許可してやる。そうだな。期日は三日だ。それまでに俺が用いた兵力の倍は用意してみせよ。そうすれば、離縁はさせてもらうが、手は出さん」
この状況は既に放映されているし、このパーティーには各国の王族達も来ている。
つまり、シスタミナ帝国の愚行さは彼らによって知れ渡るだろうし、何よりもこれを観ているよ民が口々に噂をして、それが商人を通して更に知れ渡るだろう。
ガルムお兄様が用意した兵力は三〇〇〇〇。これの倍を三日で用意するなんて不可能だ。
「い、いいだろう。それぐらい用意してやる」
だが、騎士団長のジョセフはあっさりと引き受けた。ガルムお兄様は「ほぅ」と面白がっていたが、近隣諸国は呆れていたり、「三日でどうやって集めるのか見ものだな」と高みの見物をしている者、「シスタミナにそれ程の兵力があるとは聞いていないが?」「平民をかき集めれば何とかいけるのではないか?まぁ、こんなものを放映されているんだ。オレストに滅ぼされる前に民の反乱で滅びそうだがな」などと話していた。
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