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第Ⅱ章 狂気との出会い
21.社交界デビュー
侍女も護衛も断って、一人で全てをするようになってから四年が経った。
私は十六歳になった。十六歳と言えば社交界デビューだ。
社交界デビューの準備はさすがに一人ではできないので本館の侍女に頼むことになった。
「ほぅ、いいじゃん」
「美しく仕上がってるね」
ドレスもアクセサリーも全てノルウェンとエヴァンが用意してくれた。
そこまで気合を入れる必要はないと思う。誰も妾腹の娘など相手にしないだろう。それに私もあまり目立ちたくない。
誰かの目に止まって婚約したところで結果なんて見えている。
「それじゃあ、行こうか」
令嬢が一人で夜会に出席するのはできないわけではないが常識外れな行動になるので必ず身内か知人の男性誰かが付き添うことになる。
誰でも良かったんだけどなぜかエヴァン、ノルウェンの二人が名乗り出た。
この四年間、二人は何かと私を気にかけてくる。放っておいてくれればいいのに。
ただ、二人が気にかけてくれたおかげでリーズナからの精神攻撃はない。それだけは助かった。
なぜか二人と同じ馬車に乗り夜会会場へ。会場の中に入ると視線が集中する。
エヴァンもノルウェンも見た目は良いし公爵家の子息だから夜会で注目を浴びるのは当然。そしてその二人が連れている私にみんなが興味を持つのも当然
だから一人で来たかったのだ。もしくは別の人にお願いしたかった。どっちも無理なのは分かっているけど。
まず一人で出席なんて非常識だし、ましてや公爵家の令嬢が。次に妾腹である私に知り合いはいないので頼める男性もいないのだ。
私は主催者に挨拶を終えると逃げるように二人から離れて壁の花を決め込んだ。
「ねぇ、あなたいったいどこの令嬢かしら?先ほど公爵家の方々と一緒にいたわよね」
「一緒にいたということはあの方がに相応しいお家柄なのよね」
早速貴族の令嬢たちに囲まれた。何度も経験したけど貴族の令嬢って本当に醜いわね。
「スカーレット・ブラッティーネ、ブラッティーネ公爵家の娘よ」
「スカーレット・ブラッティーネって、くすり」
令嬢たちは私を嘲笑する。
たとえ相手が自分たちよりも身分が上の公爵家でも妾腹なら問題はないと思ったのだろう。妾腹はそこにいるだけで見下し、何をしても許される存在という認識なのは今までの経験上よく分かっている。
そんな人たち相手には立場を明白にさせ、強気に出るのが一番。少しでも弱さを見せれば侮られ、排除されるだけ。
「バリー伯爵令嬢、私がブラッティーネ公爵家の令嬢であることに何か問題でもありますか?」
「っ、私のことを」
「ええ、知っていますよ。あなただけではありませんわ」
私は周囲にいる令嬢の家名を全て当てた。知っていて当然だ。私には四回もやり直した記憶があるのだ。よほどの馬鹿ではない限り貴族の名前と顔を記憶しているものだろう。
「当然でしょう。私も貴族ですもの。それで、私に何の用かしら?私とお義兄様たちの関係を気にして牽制する暇があるのならアピールしに行った方が有意義ではないかしら。少なくとも認知はされますものね」
「っ」
悔しさと怒りで顔を赤く染める令嬢たち。けれどここで大声を出しても自分たちが不利になることは分かっているのだろう。
一人を大勢で囲んでいるのも問題だし、私が妾腹とはいえ公爵家の人間であることも問題だ。
「ねぇ、行きましょう」
「ええ」
その結果、彼女たちは何も言わずにそそくさと私から離れて行った。その際に気になることを言っていた。
「さすがは悪女、嫌な人ね」と。
「‥‥悪女?」
今までなら分かるけど今回はまだ悪女と呼ばれるようなことは何もしていない。貴族との交流も避けていたし。どういうことだろう。
私は十六歳になった。十六歳と言えば社交界デビューだ。
社交界デビューの準備はさすがに一人ではできないので本館の侍女に頼むことになった。
「ほぅ、いいじゃん」
「美しく仕上がってるね」
ドレスもアクセサリーも全てノルウェンとエヴァンが用意してくれた。
そこまで気合を入れる必要はないと思う。誰も妾腹の娘など相手にしないだろう。それに私もあまり目立ちたくない。
誰かの目に止まって婚約したところで結果なんて見えている。
「それじゃあ、行こうか」
令嬢が一人で夜会に出席するのはできないわけではないが常識外れな行動になるので必ず身内か知人の男性誰かが付き添うことになる。
誰でも良かったんだけどなぜかエヴァン、ノルウェンの二人が名乗り出た。
この四年間、二人は何かと私を気にかけてくる。放っておいてくれればいいのに。
ただ、二人が気にかけてくれたおかげでリーズナからの精神攻撃はない。それだけは助かった。
なぜか二人と同じ馬車に乗り夜会会場へ。会場の中に入ると視線が集中する。
エヴァンもノルウェンも見た目は良いし公爵家の子息だから夜会で注目を浴びるのは当然。そしてその二人が連れている私にみんなが興味を持つのも当然
だから一人で来たかったのだ。もしくは別の人にお願いしたかった。どっちも無理なのは分かっているけど。
まず一人で出席なんて非常識だし、ましてや公爵家の令嬢が。次に妾腹である私に知り合いはいないので頼める男性もいないのだ。
私は主催者に挨拶を終えると逃げるように二人から離れて壁の花を決め込んだ。
「ねぇ、あなたいったいどこの令嬢かしら?先ほど公爵家の方々と一緒にいたわよね」
「一緒にいたということはあの方がに相応しいお家柄なのよね」
早速貴族の令嬢たちに囲まれた。何度も経験したけど貴族の令嬢って本当に醜いわね。
「スカーレット・ブラッティーネ、ブラッティーネ公爵家の娘よ」
「スカーレット・ブラッティーネって、くすり」
令嬢たちは私を嘲笑する。
たとえ相手が自分たちよりも身分が上の公爵家でも妾腹なら問題はないと思ったのだろう。妾腹はそこにいるだけで見下し、何をしても許される存在という認識なのは今までの経験上よく分かっている。
そんな人たち相手には立場を明白にさせ、強気に出るのが一番。少しでも弱さを見せれば侮られ、排除されるだけ。
「バリー伯爵令嬢、私がブラッティーネ公爵家の令嬢であることに何か問題でもありますか?」
「っ、私のことを」
「ええ、知っていますよ。あなただけではありませんわ」
私は周囲にいる令嬢の家名を全て当てた。知っていて当然だ。私には四回もやり直した記憶があるのだ。よほどの馬鹿ではない限り貴族の名前と顔を記憶しているものだろう。
「当然でしょう。私も貴族ですもの。それで、私に何の用かしら?私とお義兄様たちの関係を気にして牽制する暇があるのならアピールしに行った方が有意義ではないかしら。少なくとも認知はされますものね」
「っ」
悔しさと怒りで顔を赤く染める令嬢たち。けれどここで大声を出しても自分たちが不利になることは分かっているのだろう。
一人を大勢で囲んでいるのも問題だし、私が妾腹とはいえ公爵家の人間であることも問題だ。
「ねぇ、行きましょう」
「ええ」
その結果、彼女たちは何も言わずにそそくさと私から離れて行った。その際に気になることを言っていた。
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