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7、夫のアレがアレだとしても
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たくさんのαを一度に見たが、鳥飼の瞳と同じ色の虹彩を持つのは鳥飼の母親くらいしかいなかった。ゲームの片手間にスマホで検索すると、αでもブルーの虹彩は少数派らしい。子どもたちに尋ねると「青の子はあんまりいない」「いないよー」と元気に答えてくれた。
やがてイオは子どもの相手をしたり、大人と社交をしたりしているうちに、知らない人々の中でさすがに疲れを感じた。こっそり外の空気にあたっていたところ、用事が済んだ鳥飼がイオを探してやってきた。
注文したきつねうどんとわかめうどんがきた。立ち食いのカウンターで並んで食べた。鳥飼は口数が少なかった。
「かまぼこあげる」
これ以上ないくらい薄くスライスされたかまぼこを、鳥飼のどんぶりのふちに滑りこませると、眉間のしわがちょっとだけとれた。
「イオくん、今日はありがとうございました。おかげで用事が済みました。この埋め合わせは必ず」
「いいよ、面白かったよ。誠のご両親や親戚の人たちに会えたし。あんなでっかい花のアレンジメント、公民館かよって思った。それに天上からぶら下がってるの、オブジェ? あれ落ちたら殺人事件の舞台でしょ、絶対」
「あはは、子どもの頃、同じことを考えましたね」
鳥飼は手を温めるようにどんぶりに両手を添えて笑うが、その後ぼそりと、本当に落ちればいいのにといまだに思います、と言う。これは根深い。
うどんであたたまり、車に戻りながら鳥飼はイオの手をとる。再度ありがとうと目を覗きこむように言う。その目、自覚なしの、悪い目。イオの胸にぎゅっと甘い痛みがはしる。
流助が二人のもとを去って、いろいろあって、目も鼻も知覚が鈍くなり、鳥飼はフィルタグラスを日常に装着しなくてすむようになった。フェロモンを遮断する器具をつける必要性がなくなったのだ。
つまりフェロモンが見えなくなった。
主治医からはストレスのせいだと診断された。αにかぎらずストレスで味がわからなくなったり、身体に異変がでることは珍しくない。経過観察をするしかないのだった。
車に乗りこむ前に、イオは鳥飼の大きな身体にわざとぶつかる。鳥飼は優しくイオの肩を抱く。
「埋め合わせ、帰ったらすぐして」
鳥飼はイエスの意味をこめてイオの額にキスをした。
やがてイオは子どもの相手をしたり、大人と社交をしたりしているうちに、知らない人々の中でさすがに疲れを感じた。こっそり外の空気にあたっていたところ、用事が済んだ鳥飼がイオを探してやってきた。
注文したきつねうどんとわかめうどんがきた。立ち食いのカウンターで並んで食べた。鳥飼は口数が少なかった。
「かまぼこあげる」
これ以上ないくらい薄くスライスされたかまぼこを、鳥飼のどんぶりのふちに滑りこませると、眉間のしわがちょっとだけとれた。
「イオくん、今日はありがとうございました。おかげで用事が済みました。この埋め合わせは必ず」
「いいよ、面白かったよ。誠のご両親や親戚の人たちに会えたし。あんなでっかい花のアレンジメント、公民館かよって思った。それに天上からぶら下がってるの、オブジェ? あれ落ちたら殺人事件の舞台でしょ、絶対」
「あはは、子どもの頃、同じことを考えましたね」
鳥飼は手を温めるようにどんぶりに両手を添えて笑うが、その後ぼそりと、本当に落ちればいいのにといまだに思います、と言う。これは根深い。
うどんであたたまり、車に戻りながら鳥飼はイオの手をとる。再度ありがとうと目を覗きこむように言う。その目、自覚なしの、悪い目。イオの胸にぎゅっと甘い痛みがはしる。
流助が二人のもとを去って、いろいろあって、目も鼻も知覚が鈍くなり、鳥飼はフィルタグラスを日常に装着しなくてすむようになった。フェロモンを遮断する器具をつける必要性がなくなったのだ。
つまりフェロモンが見えなくなった。
主治医からはストレスのせいだと診断された。αにかぎらずストレスで味がわからなくなったり、身体に異変がでることは珍しくない。経過観察をするしかないのだった。
車に乗りこむ前に、イオは鳥飼の大きな身体にわざとぶつかる。鳥飼は優しくイオの肩を抱く。
「埋め合わせ、帰ったらすぐして」
鳥飼はイエスの意味をこめてイオの額にキスをした。
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