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8、失恋と旅行
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二人は文字通りとびあがった。振り返ると流助の父親が立っていて、二人を不審げに見ている。
「あ、っ、どうもぼくたちは、」
「わかる」
「え」
「流助のともだちだろ?」
きっぱりと断定され、ええっと思いながらそれにのる。
「ですです」
「そうなんです。Ωのセルフヘルプの会で知り合ったんですけど、最近こないから、どうしてるかなって」
イオはいつもと違う声音、話し方でこたえる。さすがうまい。
「あー、なるほどね。ちょっと待ってね」
流助の父親は、いったん店に入ると、メモをもって戻ってきた。
「あいついまここ」
「電話番号も教えていただけますか」
「いいけど、知らない番号には出ないと思うよ」
それでも親切に書いてくれた。
「あのさあ、流助に会うようなら言っといてくれる? 俺、しゃべってないからねって」
「はい」
「絶対しゃべるなって、言われてるわけよ。だからほんと、そこははっきり、ね」
「はい」
イオはもらったメモをダサスーツの胸ポケットに大切にしまった。
「あのさあ、よろしくね。あいつ、鬼のように頑固で、親のいうことなんか何もきかないんだ。反抗期だな、ありゃ」
「はい」
「帰ってこいって言ってもぜんぜんきかない。だから、その、」
いまさらどのツラさげて、何言ってんだって感じだけど。
流助の父親は、ぼそぼそと言った。
「どうか、バカ息子をよろしくお願いします」
深く頭を下げられて、鳥飼もイオもあわてて頭を下げた。
「わたしたち完全にバレてましたね」
「ええっ!?」
「……イオくんのそういうところ大好きです」
「バカにしたね? 迅速にバカにしたね?」
軽口をたたきあう。高揚しながらも、ことが現実味を帯びてきたことに二人は緊張していた。
本当に流助に会いに行く。
メモに書かれた住所は、漁業が盛んで、多くの観光客が訪れる地だった。だがシーズンオフのいまは、閑散としていた。
それまで率先して動いていたイオが、いざ流助の住む場所に近づくにつれ、だんだん無口になりナーバスになってきている。
「あ、っ、どうもぼくたちは、」
「わかる」
「え」
「流助のともだちだろ?」
きっぱりと断定され、ええっと思いながらそれにのる。
「ですです」
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イオはいつもと違う声音、話し方でこたえる。さすがうまい。
「あー、なるほどね。ちょっと待ってね」
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「あいついまここ」
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「いいけど、知らない番号には出ないと思うよ」
それでも親切に書いてくれた。
「あのさあ、流助に会うようなら言っといてくれる? 俺、しゃべってないからねって」
「はい」
「絶対しゃべるなって、言われてるわけよ。だからほんと、そこははっきり、ね」
「はい」
イオはもらったメモをダサスーツの胸ポケットに大切にしまった。
「あのさあ、よろしくね。あいつ、鬼のように頑固で、親のいうことなんか何もきかないんだ。反抗期だな、ありゃ」
「はい」
「帰ってこいって言ってもぜんぜんきかない。だから、その、」
いまさらどのツラさげて、何言ってんだって感じだけど。
流助の父親は、ぼそぼそと言った。
「どうか、バカ息子をよろしくお願いします」
深く頭を下げられて、鳥飼もイオもあわてて頭を下げた。
「わたしたち完全にバレてましたね」
「ええっ!?」
「……イオくんのそういうところ大好きです」
「バカにしたね? 迅速にバカにしたね?」
軽口をたたきあう。高揚しながらも、ことが現実味を帯びてきたことに二人は緊張していた。
本当に流助に会いに行く。
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