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8、失恋と旅行
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「……って、イオくん」
鳥飼は、イオに腕をひっぱられる。
「ほら、帰ろう」
「イオ、相変わらずだね」
流助は、朗らかに言った。イオはムッとなり再会して初めて流助の顔をまともに見た。
「……なにそれ」
「二人、仲良さそうでうれしい」
「……」
「来てくれてありがとう。俺も二人が元気ってわかればそれで」
「……」
抱っこ紐の中の流助の子が目をさましたようで、ぐずりはじめた。流助は立ってあやす。二人はどうしていいかわからず、気まずい思いでそれを見守るしかなかった。
「じゃあ、もうこれで。本当に来てくれてありがとう。会えてよかったよ」
その笑顔が言い方が、妙にすっきりしていて、ひっかかった。
「流助さん」
立ち去ろうとする流助を呼びとめた。さっきからずっと鳥飼は違和感を感じていた。わずかに流助が橙なのだ。番のいるΩは、番以外にフェロモンをださないはずだ。
「ちょっと失礼します」
声をあげて泣く子に気を取られている流助の、その首筋をおおう髪に手をさしいれ、あらわにする。
流助はびくりとし、鳥飼の手を避けようとしたが、遅かった。
イオはそれを見て「あっ」と叫んだ。鳥飼も自分の目を疑った。
そこには「運命の番」による噛み痕などひとつもなかった。「運命の番」となったΩは一生首筋にその刻印をつけているはずが、つるりときれいなものだった。
離婚の際に添えられた証明書の写真を二人とも見た。流助の首筋につけられた痛々しい噛み痕は、イオも鳥飼もはっきり確認したのだ。
「……どういうことだよ」
イオが、流助を問いただす。
流助は首を手で覆って、揺れる瞳で二人を交互に見る。その間も赤ん坊は泣き続ける。バタバタと手足を動かしあばれる。
流助は子どもを抱っこ紐の中からいったんだして、抱きなおした。すると泣き止んだ。
「外に出たかったんだね」
赤ん坊はけろっとした顔で、何事もなかったように機嫌をなおした。まだ涙でぬれている大きな瞳で、見知らぬ大人たちを見た。
その瞳に、先に気づいたのはイオだった。鳥飼を戸惑いの目で見る。
「これは……」
鳥飼は、イオに腕をひっぱられる。
「ほら、帰ろう」
「イオ、相変わらずだね」
流助は、朗らかに言った。イオはムッとなり再会して初めて流助の顔をまともに見た。
「……なにそれ」
「二人、仲良さそうでうれしい」
「……」
「来てくれてありがとう。俺も二人が元気ってわかればそれで」
「……」
抱っこ紐の中の流助の子が目をさましたようで、ぐずりはじめた。流助は立ってあやす。二人はどうしていいかわからず、気まずい思いでそれを見守るしかなかった。
「じゃあ、もうこれで。本当に来てくれてありがとう。会えてよかったよ」
その笑顔が言い方が、妙にすっきりしていて、ひっかかった。
「流助さん」
立ち去ろうとする流助を呼びとめた。さっきからずっと鳥飼は違和感を感じていた。わずかに流助が橙なのだ。番のいるΩは、番以外にフェロモンをださないはずだ。
「ちょっと失礼します」
声をあげて泣く子に気を取られている流助の、その首筋をおおう髪に手をさしいれ、あらわにする。
流助はびくりとし、鳥飼の手を避けようとしたが、遅かった。
イオはそれを見て「あっ」と叫んだ。鳥飼も自分の目を疑った。
そこには「運命の番」による噛み痕などひとつもなかった。「運命の番」となったΩは一生首筋にその刻印をつけているはずが、つるりときれいなものだった。
離婚の際に添えられた証明書の写真を二人とも見た。流助の首筋につけられた痛々しい噛み痕は、イオも鳥飼もはっきり確認したのだ。
「……どういうことだよ」
イオが、流助を問いただす。
流助は首を手で覆って、揺れる瞳で二人を交互に見る。その間も赤ん坊は泣き続ける。バタバタと手足を動かしあばれる。
流助は子どもを抱っこ紐の中からいったんだして、抱きなおした。すると泣き止んだ。
「外に出たかったんだね」
赤ん坊はけろっとした顔で、何事もなかったように機嫌をなおした。まだ涙でぬれている大きな瞳で、見知らぬ大人たちを見た。
その瞳に、先に気づいたのはイオだった。鳥飼を戸惑いの目で見る。
「これは……」
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