124 / 132
9、運命を、笑え!!
2
しおりを挟む
流助はベッドで飛びはねながら、大げさに、しかし最大限のエールをこめて賛辞を叫ぶ。イオは一応付き合いでやる気のないこぶしを振り上げてみせる。奇声を発してベッドに倒れた流助に、ちょっとだけ笑った。
「ガンガンは?」
「とうの昔に学校」
「まこりんは?」
「イオの番組にあわせて帰るって」
「なんで」
「家でゆっくり見たいって言ってたよ。会社早退するって」
「そう」
イオは、少しずつ自分の気持ちを立て直しているようだった。ゴールドの時計をつけながら言った。
「じゃあさ、家に二人だけ?」
「そういうこと」
「ふーん」
「何」
「いや、別に」
「言いなよ」
「いやいや」
イオはさっきとはうってかわった表情でふふっと笑うと、小声で「ちょっとだけしたい」と言った。
「ひー、恥ずかしい」
「なにをいうか、こっちだって恥ずかしい!」
流助はベッドをおりると、イオにくっつく。
いひひと笑いあって、キスをしようとすると、玄関でバタバタと音がして、巌太が帰ってきた。
「ただいま! あれ、イオがまだいる!」
すばやく離れた二人の間に割り込むように巌太が入ってきて、ランドセルを放り投げながらおやつのドーナツを食べている。イオの顔がぱっと親の顔に切り替わった。
「巌太、食べこぼし、手を洗え、それから、なんでこんな早い」
「今日だってC時程だもん」
「えっ、なんで水曜なのに? お前また『お知らせ』見せなかったな!」
「イオ、時間いいの?」
「わ」
イオは愛用の腕時計で時刻を確認すると、あわただしく流助と巌太にキスとハグをし、バタバタと出かけて行った。口パクで流助に「惜しかったね」と合図を送る。今夜あたり大人の時間にたどりつきたいものだ。
イオと入れ替わるように鳥飼が帰ってきた。思ってた以上に早い。保育園へのお迎えも行ってくれて、肩に一人、両腕に一人ずつ子どもを抱えていた。その連絡が携帯に入っていたのに今気づく。
両腕の双子を一人受け取り、一人は床に放つ。肩車の子はそのまま鳥飼が下に下ろした。
「一匹多い」
「さっき預かりました。お隣さん、風邪でつらそうだったから。一人増えたところでかわりませんし」
「リラちん、いらっしゃい」
「イオいたのよ。バイバイしたの」
お隣のβ女性二人に育てられている4歳のリラはそう教えてくれた。
下で会ったよ、いい顔してたから、今日はたぶん大丈夫と鳥飼が補足した。
「ガンガンは?」
「とうの昔に学校」
「まこりんは?」
「イオの番組にあわせて帰るって」
「なんで」
「家でゆっくり見たいって言ってたよ。会社早退するって」
「そう」
イオは、少しずつ自分の気持ちを立て直しているようだった。ゴールドの時計をつけながら言った。
「じゃあさ、家に二人だけ?」
「そういうこと」
「ふーん」
「何」
「いや、別に」
「言いなよ」
「いやいや」
イオはさっきとはうってかわった表情でふふっと笑うと、小声で「ちょっとだけしたい」と言った。
「ひー、恥ずかしい」
「なにをいうか、こっちだって恥ずかしい!」
流助はベッドをおりると、イオにくっつく。
いひひと笑いあって、キスをしようとすると、玄関でバタバタと音がして、巌太が帰ってきた。
「ただいま! あれ、イオがまだいる!」
すばやく離れた二人の間に割り込むように巌太が入ってきて、ランドセルを放り投げながらおやつのドーナツを食べている。イオの顔がぱっと親の顔に切り替わった。
「巌太、食べこぼし、手を洗え、それから、なんでこんな早い」
「今日だってC時程だもん」
「えっ、なんで水曜なのに? お前また『お知らせ』見せなかったな!」
「イオ、時間いいの?」
「わ」
イオは愛用の腕時計で時刻を確認すると、あわただしく流助と巌太にキスとハグをし、バタバタと出かけて行った。口パクで流助に「惜しかったね」と合図を送る。今夜あたり大人の時間にたどりつきたいものだ。
イオと入れ替わるように鳥飼が帰ってきた。思ってた以上に早い。保育園へのお迎えも行ってくれて、肩に一人、両腕に一人ずつ子どもを抱えていた。その連絡が携帯に入っていたのに今気づく。
両腕の双子を一人受け取り、一人は床に放つ。肩車の子はそのまま鳥飼が下に下ろした。
「一匹多い」
「さっき預かりました。お隣さん、風邪でつらそうだったから。一人増えたところでかわりませんし」
「リラちん、いらっしゃい」
「イオいたのよ。バイバイしたの」
お隣のβ女性二人に育てられている4歳のリラはそう教えてくれた。
下で会ったよ、いい顔してたから、今日はたぶん大丈夫と鳥飼が補足した。
0
あなたにおすすめの小説
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」
身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。
死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。
カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。
「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」
献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。
これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。
【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】
紫紺
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。
相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。
超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。
失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。
彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。
※番外編を公開しました(2024.10.21)
生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。
※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる