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I’m Yours
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ヒューゴは後ろ手に部屋のドアを閉めると、おれを玄関の壁に押さえつけて、貪るようなキスをしてきた。
「ようやく2人きりになれた」
耳元で熱く囁かれたせいでその場で座り込んでしまいそうなり、「嬉しい反応してくれるね」と笑われた。
「昨日……おれになんかしただろ」
ただでさえ8月半ばの熱帯夜なのに、キスで余計に体温が上がり額に汗が流れる。それさえもヒューゴは舐め取ってしまったが。
「とにかくシャワー浴びよう。暑い」
腕を掴んでおれを引き起こすと、すぐにヒューゴはおれのシャツを脱がせ始めた。
全く同意だ。
湿度が高いせいで、バーで付いたタバコの煙や酒の甘ったるい匂いが汗と共に纏わりついたまま取れていない。このまま寝るのなんて論外で、部屋に入るのも気が引ける。
温度の低いシャワーで落ち着き、寝支度を済ませたおれたちは、並んでベッドヘッドに背をもたせかける。
ヒューゴはタブレットを持ち、なにか検索している。まだ寝るつもりはないようだ。
おれの方も、昼間に精力を使い果たした上に、いつもより強いアルコールが入っているにも関わらず、気が高ぶっているのかまだ眠気は遠くに居る。
生来の夜型らしく、油断するとすぐに昼夜逆転してしまう。今回然り、いつも長期休暇の最初には、早寝早起きを誓うんだけど、守れた試しがない。
一人でリビングに移動し映画を観るなり飲みなおす手もあったが、せっかくだからこのままヒューゴの傍に居ることにした。夏季休暇が終われば、一緒に眠れる夜は週末だけになってしまうから。
「なに?」
ヒューゴが含み笑いをしながら、こっちを向いた。
「ん?」
「ずっとこっち見てるから」
あ、そうだったか。
「見ておかないと、あと5日で夏季休暇が終わるから」
「かわいいこと言うよね、たまに」
ヒューゴはこめかみに軽くキスをして、またタブレットに向き直った。
おれは、ナイトテーブルの上に置いてあった携帯に充電ケーブルを挿しながら、「そう言えば」と切り出す。
「車の話だけど、本当にいいの?折半ったって高価な買い物だし」
少し気になっていたんだよな。
「もちろん。透が承諾してくれてよかった」
すぐヒューゴはこちらに身体ごと向け、はずんだ声で答えてくれた。
「おれは助かるし、共同で何かを持つのは良いと思う。ただ……これってさ」
少し言いよどむと、表情だけで促される。
「……夫婦みたいだなって」
おれの発言に、ヒューゴは弾かれたように顔を上げた。
これ以上ないくらい双眸を開き、おれの発言に驚愕した顔だ。上気した顔は風呂あがりのせいだけじゃないだろう。
「そんなに驚くなよ」
「ごめん、こんな短期間で、僕は透にとんでもないプレッシャーを……」
ヒューゴはOh, Godと呟き頭を抱えた。髪がさらりと流れて顔を隠してしまう。
おれは両手でうつむいた顔を包み込み自分の方を向かせると、軽く口付け、広い背中に両手を回した。
「おれ、嬉しくてさ、だから謝らないでほしいかな」
「透……。僕たち、もう付き合ってるって言っていいかな、誰に聞かれても」
「うん。じゃあ、背中に ”Hugoの” って書いた紙貼っといて」
「それ僕が言い出したんじゃないからね?」
「知ってる。でも間違いなくおまえのものだよ」
ヒューゴはおれをしっとりと抱きしめて、深く呼吸をした。
まるで心臓と心臓がぴったりくっついて、2人で1つの生命になったかのよう。
しばらくそのまま、おれは一体感に身を浸していた。
毎日、こうして抱きしめられて眠れたらいいのに。
「and also I’m yours. ……さて、まず何から読もうか」
ヒューゴはそっとおれを抱いた腕をほどきながら、突然、朗読のリクエストを問いかけてくる。
「えー。今夜からなの?」
クリスの店から帰るタクシーの車中で、ヒューゴに英語の特訓を頼んだからだ。
一も二もなく承諾してくれたのはよかったが、今からか。
長く時間を共有するようになり会話量も格段に増えたせいか、ヒューゴが英語で独り言を言ったり、おれに話しかけそうになる場面に出くわすことがある。
そういう時は少しだけ間が開いて、きちんとした日本語で仕切り直してくれるが……
関係性が友達を越えたことでヒューゴがリラックスしているせいならば、そのままでいて欲しいと思う。複数の言語がごちゃ混ぜになっても、お互いが最も楽に使える言葉で通じ合うのってとても自然なことじゃないか。
それには、おれが英語を英語のまま受け取ることができないといけない。正確なニュアンスを見逃しているんじゃないかと思うと、もったいないよな。
「もう真夜中だよ」
眠気はなかったが、勉強するほどの気力はない。
「まだ眠くないから読んであげる。透は眠くなったらいつでも寝ていい」
それならと、おれは朗読のリクエストに、有名な短編推理小説を挙げた。留学前に英語学習者向けに編集されたものを読んだから、まだ大まかなストーリーを覚えている。
ヒューゴは早速、「僕も子供の頃に読んだことがある。なつかしいな」と呟きながらタブレットで検索しはじめた。
「あった。レベルは?」
「アドバンスドにして」
「OK」とヒューゴは軽く咳払いをして、始めた。「 In the corner of a first-class smoking carriage……」
低くツヤのある声で語られると、文字でできているはずの犯罪ストーリーが頭の中でくっきりと映像化される。目をつぶっているのに、映画を見ているかのような錯覚。しかも、大好きなヒューゴの声で。
分からない単語はその度意味を教えてもらい、それが場面に足されていくからイメージとして頭に残る。ものすごく効率が良いみたいだ。
だが……
問題が一つ。
英語を話す時の声は普段より一層低くなるだけじゃなく、少しかすれて、まるで軽くヤスリで擦すようにおれの皮膚や神経をざわざわと刺激する。
「ほんと、いい声してる」思わず声をかけると、ヒューゴが朗読を止めて答えた。
「最初から、よく言ってくれてるね」
「うん。身体の奥の方……心臓かな?重く響くのが良い」
たまらずにヒューゴの足に手を置くと、かすかにひくりと筋肉が収縮する。
そのまま朗読は再開されるが……何時間でも聞いていたいのに、もっと触りたい。
しばらく、固く締まった太ももの筋肉を撫でていると、とうとうヒューゴが沈黙した。
「朗読はもう終わり?事件が始まるところなのに」
「生徒が集中していないようだから」
ヒューゴがタブレットを置くのを待ちかねて、おれから口付けた。温かい舌に触れると電流が流れたかのように背筋が痺れる。
内ももを往復させていた自分の手を、そのまま少し上の方へ移動させた。
「触ってもいい?」
どこを指しているのかわかるだろ?
下着の中で少し形を変えているはずだ。
深くなるキスを肯定と受け取り、ボクサーの上に手を置くと、ヒューゴが息を飲むのがわかった。さらに硬くなるのが嬉しく、そのまましばらくさすっていたが、その手はまもなく、ヒューゴにそっと取り除かれた。
「透、もうそれくらいに……」
「おれに触られるの、イヤ?」
「そうじゃない」
「じゃあ、どうして?」
ヒューゴは無言だった。きっと、クリスが言っていたような、遠慮だとか、不安だとかが頭をよぎっているんだろう。そんなどうでもいいことなんて、とっとと吹き飛ばしてあげたい。
髪をかきあげ、少し困ったような表情をしているヒューゴに、おれは再び口づけて舌を差し込んだ。
ボクサーからすでにはみ出すヒューゴの先端を親指でゆっくり左右に撫でながら、同じ様に舌を動かす。
「ね、わかる?どんどん唾液が出てくる。……こっちも舐めたくて」
おれは、唇を離して足元へ座り、ボクサーの上からかぷりと咥えた。ガチガチに硬くなったものに軽く歯を立てると、さらに反応する。
ヒューゴの手がおれの頭に添えられ、離れさせようと押し返してくるが、その息は荒く、嫌がってはいない。低く漏れる吐息が、より一層おれを高ぶらせる。
「……僕に、させて」
呼吸の合間にヒューゴはそう言うが、おれは聞き入れずに強引に下着をずらして口内いっぱいに含んだ。どんなに咥えても半分にも満たず、舌を動かす隙間すらない。
もう押し返されないようヒューゴの両手をマットレスに押さえつけ、充足した口を上下に揺らすと微かなうめきが聞こえる。
「ちゃんと気持ちいい?」
おれが突然口を離したことに驚いたのか、ヒューゴがびくりと跳ねた。
「……透にこんなことさせたくないのに、止められない」
ヒューゴは息を整えながら、腕で顔を隠している。
「声、聞かせて。終わるまで離さないから、できるだけ長く」
たまらなく欲しくて、唇を濡らして再び咥えた。喉奥の方まで吸い込むと、触られてもいない自分の下半身がじくじくと疼いてくる。
「だめだ」
ヒューゴは切羽詰まった様子でそう言い、力強くおれを引き剥がした。
おれは、ずるりと口から引き出されたそれを握り、上下に擦る。ヒューゴは小さく呻きながらどくどくと波打たせて果てた。
力強く掌に当たる液体を感じて、自分も同時に下着を濡らしてしまったことに気付いた。
「おれもいっちゃったかも」
その瞬間、視界がぐるりと反転した。
ものすごい力でヒューゴに態勢を逆転され、あっという間にマットレスに張り付けられてしまう。
ヒューゴはおれの濡れたものを口の中にぬるりと含んだ。熱くて、やわらかくて、あまりの気持ちよさに声が上がる。
「やめろ、また出そ……」
「いいよ」
「お、おまえは良くて、なんでおれには……」
「僕が流し込むのは、ここじゃないから」
咥えたままで喋るせいで、舌が弾くように動めく。
「うわ、ちょっと待ッ……、あ、あぁ」
「待たない」
ヒューゴはジュルジュルと音を立てながらおれのを吸って、一滴残らず搾り取った。
「覚えた単語、全部忘れた……」
脱力しきってどさりと仰向けになりそう呟いたおれを見て、ヒューゴは手の甲で唇を拭いながら大笑いしていた。
「ほんと、教え甲斐があるよ」
「ようやく2人きりになれた」
耳元で熱く囁かれたせいでその場で座り込んでしまいそうなり、「嬉しい反応してくれるね」と笑われた。
「昨日……おれになんかしただろ」
ただでさえ8月半ばの熱帯夜なのに、キスで余計に体温が上がり額に汗が流れる。それさえもヒューゴは舐め取ってしまったが。
「とにかくシャワー浴びよう。暑い」
腕を掴んでおれを引き起こすと、すぐにヒューゴはおれのシャツを脱がせ始めた。
全く同意だ。
湿度が高いせいで、バーで付いたタバコの煙や酒の甘ったるい匂いが汗と共に纏わりついたまま取れていない。このまま寝るのなんて論外で、部屋に入るのも気が引ける。
温度の低いシャワーで落ち着き、寝支度を済ませたおれたちは、並んでベッドヘッドに背をもたせかける。
ヒューゴはタブレットを持ち、なにか検索している。まだ寝るつもりはないようだ。
おれの方も、昼間に精力を使い果たした上に、いつもより強いアルコールが入っているにも関わらず、気が高ぶっているのかまだ眠気は遠くに居る。
生来の夜型らしく、油断するとすぐに昼夜逆転してしまう。今回然り、いつも長期休暇の最初には、早寝早起きを誓うんだけど、守れた試しがない。
一人でリビングに移動し映画を観るなり飲みなおす手もあったが、せっかくだからこのままヒューゴの傍に居ることにした。夏季休暇が終われば、一緒に眠れる夜は週末だけになってしまうから。
「なに?」
ヒューゴが含み笑いをしながら、こっちを向いた。
「ん?」
「ずっとこっち見てるから」
あ、そうだったか。
「見ておかないと、あと5日で夏季休暇が終わるから」
「かわいいこと言うよね、たまに」
ヒューゴはこめかみに軽くキスをして、またタブレットに向き直った。
おれは、ナイトテーブルの上に置いてあった携帯に充電ケーブルを挿しながら、「そう言えば」と切り出す。
「車の話だけど、本当にいいの?折半ったって高価な買い物だし」
少し気になっていたんだよな。
「もちろん。透が承諾してくれてよかった」
すぐヒューゴはこちらに身体ごと向け、はずんだ声で答えてくれた。
「おれは助かるし、共同で何かを持つのは良いと思う。ただ……これってさ」
少し言いよどむと、表情だけで促される。
「……夫婦みたいだなって」
おれの発言に、ヒューゴは弾かれたように顔を上げた。
これ以上ないくらい双眸を開き、おれの発言に驚愕した顔だ。上気した顔は風呂あがりのせいだけじゃないだろう。
「そんなに驚くなよ」
「ごめん、こんな短期間で、僕は透にとんでもないプレッシャーを……」
ヒューゴはOh, Godと呟き頭を抱えた。髪がさらりと流れて顔を隠してしまう。
おれは両手でうつむいた顔を包み込み自分の方を向かせると、軽く口付け、広い背中に両手を回した。
「おれ、嬉しくてさ、だから謝らないでほしいかな」
「透……。僕たち、もう付き合ってるって言っていいかな、誰に聞かれても」
「うん。じゃあ、背中に ”Hugoの” って書いた紙貼っといて」
「それ僕が言い出したんじゃないからね?」
「知ってる。でも間違いなくおまえのものだよ」
ヒューゴはおれをしっとりと抱きしめて、深く呼吸をした。
まるで心臓と心臓がぴったりくっついて、2人で1つの生命になったかのよう。
しばらくそのまま、おれは一体感に身を浸していた。
毎日、こうして抱きしめられて眠れたらいいのに。
「and also I’m yours. ……さて、まず何から読もうか」
ヒューゴはそっとおれを抱いた腕をほどきながら、突然、朗読のリクエストを問いかけてくる。
「えー。今夜からなの?」
クリスの店から帰るタクシーの車中で、ヒューゴに英語の特訓を頼んだからだ。
一も二もなく承諾してくれたのはよかったが、今からか。
長く時間を共有するようになり会話量も格段に増えたせいか、ヒューゴが英語で独り言を言ったり、おれに話しかけそうになる場面に出くわすことがある。
そういう時は少しだけ間が開いて、きちんとした日本語で仕切り直してくれるが……
関係性が友達を越えたことでヒューゴがリラックスしているせいならば、そのままでいて欲しいと思う。複数の言語がごちゃ混ぜになっても、お互いが最も楽に使える言葉で通じ合うのってとても自然なことじゃないか。
それには、おれが英語を英語のまま受け取ることができないといけない。正確なニュアンスを見逃しているんじゃないかと思うと、もったいないよな。
「もう真夜中だよ」
眠気はなかったが、勉強するほどの気力はない。
「まだ眠くないから読んであげる。透は眠くなったらいつでも寝ていい」
それならと、おれは朗読のリクエストに、有名な短編推理小説を挙げた。留学前に英語学習者向けに編集されたものを読んだから、まだ大まかなストーリーを覚えている。
ヒューゴは早速、「僕も子供の頃に読んだことがある。なつかしいな」と呟きながらタブレットで検索しはじめた。
「あった。レベルは?」
「アドバンスドにして」
「OK」とヒューゴは軽く咳払いをして、始めた。「 In the corner of a first-class smoking carriage……」
低くツヤのある声で語られると、文字でできているはずの犯罪ストーリーが頭の中でくっきりと映像化される。目をつぶっているのに、映画を見ているかのような錯覚。しかも、大好きなヒューゴの声で。
分からない単語はその度意味を教えてもらい、それが場面に足されていくからイメージとして頭に残る。ものすごく効率が良いみたいだ。
だが……
問題が一つ。
英語を話す時の声は普段より一層低くなるだけじゃなく、少しかすれて、まるで軽くヤスリで擦すようにおれの皮膚や神経をざわざわと刺激する。
「ほんと、いい声してる」思わず声をかけると、ヒューゴが朗読を止めて答えた。
「最初から、よく言ってくれてるね」
「うん。身体の奥の方……心臓かな?重く響くのが良い」
たまらずにヒューゴの足に手を置くと、かすかにひくりと筋肉が収縮する。
そのまま朗読は再開されるが……何時間でも聞いていたいのに、もっと触りたい。
しばらく、固く締まった太ももの筋肉を撫でていると、とうとうヒューゴが沈黙した。
「朗読はもう終わり?事件が始まるところなのに」
「生徒が集中していないようだから」
ヒューゴがタブレットを置くのを待ちかねて、おれから口付けた。温かい舌に触れると電流が流れたかのように背筋が痺れる。
内ももを往復させていた自分の手を、そのまま少し上の方へ移動させた。
「触ってもいい?」
どこを指しているのかわかるだろ?
下着の中で少し形を変えているはずだ。
深くなるキスを肯定と受け取り、ボクサーの上に手を置くと、ヒューゴが息を飲むのがわかった。さらに硬くなるのが嬉しく、そのまましばらくさすっていたが、その手はまもなく、ヒューゴにそっと取り除かれた。
「透、もうそれくらいに……」
「おれに触られるの、イヤ?」
「そうじゃない」
「じゃあ、どうして?」
ヒューゴは無言だった。きっと、クリスが言っていたような、遠慮だとか、不安だとかが頭をよぎっているんだろう。そんなどうでもいいことなんて、とっとと吹き飛ばしてあげたい。
髪をかきあげ、少し困ったような表情をしているヒューゴに、おれは再び口づけて舌を差し込んだ。
ボクサーからすでにはみ出すヒューゴの先端を親指でゆっくり左右に撫でながら、同じ様に舌を動かす。
「ね、わかる?どんどん唾液が出てくる。……こっちも舐めたくて」
おれは、唇を離して足元へ座り、ボクサーの上からかぷりと咥えた。ガチガチに硬くなったものに軽く歯を立てると、さらに反応する。
ヒューゴの手がおれの頭に添えられ、離れさせようと押し返してくるが、その息は荒く、嫌がってはいない。低く漏れる吐息が、より一層おれを高ぶらせる。
「……僕に、させて」
呼吸の合間にヒューゴはそう言うが、おれは聞き入れずに強引に下着をずらして口内いっぱいに含んだ。どんなに咥えても半分にも満たず、舌を動かす隙間すらない。
もう押し返されないようヒューゴの両手をマットレスに押さえつけ、充足した口を上下に揺らすと微かなうめきが聞こえる。
「ちゃんと気持ちいい?」
おれが突然口を離したことに驚いたのか、ヒューゴがびくりと跳ねた。
「……透にこんなことさせたくないのに、止められない」
ヒューゴは息を整えながら、腕で顔を隠している。
「声、聞かせて。終わるまで離さないから、できるだけ長く」
たまらなく欲しくて、唇を濡らして再び咥えた。喉奥の方まで吸い込むと、触られてもいない自分の下半身がじくじくと疼いてくる。
「だめだ」
ヒューゴは切羽詰まった様子でそう言い、力強くおれを引き剥がした。
おれは、ずるりと口から引き出されたそれを握り、上下に擦る。ヒューゴは小さく呻きながらどくどくと波打たせて果てた。
力強く掌に当たる液体を感じて、自分も同時に下着を濡らしてしまったことに気付いた。
「おれもいっちゃったかも」
その瞬間、視界がぐるりと反転した。
ものすごい力でヒューゴに態勢を逆転され、あっという間にマットレスに張り付けられてしまう。
ヒューゴはおれの濡れたものを口の中にぬるりと含んだ。熱くて、やわらかくて、あまりの気持ちよさに声が上がる。
「やめろ、また出そ……」
「いいよ」
「お、おまえは良くて、なんでおれには……」
「僕が流し込むのは、ここじゃないから」
咥えたままで喋るせいで、舌が弾くように動めく。
「うわ、ちょっと待ッ……、あ、あぁ」
「待たない」
ヒューゴはジュルジュルと音を立てながらおれのを吸って、一滴残らず搾り取った。
「覚えた単語、全部忘れた……」
脱力しきってどさりと仰向けになりそう呟いたおれを見て、ヒューゴは手の甲で唇を拭いながら大笑いしていた。
「ほんと、教え甲斐があるよ」
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