もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第49話 好きなのかもしれない

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「まさか誰かとプライベートでこんなふうに過ごすようになるとは思わなかったな」

食べた終えた2人分の食器を洗いながら千隼。

「へぇ。そんなふうに言ってもらえるのは光栄ですね。でも千隼さん、元カノとかいましたよね?それに学生のときも付き合ってた人いたでしょ?イケメンだし」
笑顔で聞きながら、なぜか胸がチクチクして絢世は驚く。

知りたいような知りたくないような、そんな気持ち。
こんなことを聞いてどうするのかとも思うけれど、聞かずにはいられない不思議な感じ。

「あぁ、いたけど…。なんかいつも別のことばっかり考えてて怒られたりしてたかな。なんか怒られて謝ること多くて…」

昔を思い出しながら
「だから人といるのは面倒くさかったし、いい意味でのいっしょにいるとかいう感覚はなかったなぁ」
苦笑いして千隼。

「だから、こんなふうに楽しいのは桐谷が初めてかもしれない」
そう言って千隼は慌てて洗剤のついた手で口を押えた。

「ちょ…、何やってんですか?!」
慌てて駆け寄りながら絢世は嬉しくてしょうがない。

千隼さんのはじめてが嬉しいとか、これって…。
自分の気持ちに気づきそうになって「まさか…」絢世は否定した。

でも千隼の口まわりについた洗剤をティッシュで拭ってやりながら不安になる。
もしかしたら俺は、本当に千隼さんのことが好きなのかもしれない…。

「ちょ…、千隼さん、じっとしててください!」
「いや、自分でやるから」
「あ、ほら、口の中に洗剤が入っちゃいますよ」
「…苦い…」
「だから言ったのに…。もう、じっとしてください」
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