もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第69話 怪しくて不快

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子どもたちが転倒して大騒ぎになっているにもかかわらず、そっと絢世から視線を逸らした友己はこちらに駆けつけてくる気配もない。

この養護施設「ともしび」に資金援助をしたりイベントを手伝いに来たりするような人の態度とはとても思えないし、不快。

しかも友己は少し間を置いたあと、
「どうした?何があった?」
何食わぬ顔で駆けつけた。

…いや、さっき、目が合いましたよね…?
しかもさっきは普段の社長とは違う、どこか闇のあるような目つきだった。

「お兄ちゃん、ありがとう」

抱き起した子どもに笑顔でお礼を言われ、絢世はハッと我に返る。

「気をつけてね、人がいっぱいのときに走ると危ないよ」
「うん、いつも先生にも言われる。大事な大事なカラダだから大切にしなきゃダメって!」

「そっか。じゃあ気をつけような」
「うん、僕、マコト。お兄ちゃんは?」
「あ、俺、絢世だよ。アヤセって呼び捨てでいいよ」

「じゃあアヤセ、また遊びに来てくれよな!アヤセとあそこにいる黒髪のお兄ちゃんが来てくれたからイベントめちゃくちゃ盛り上がったし!」

楽しそうに話すマコトの横から口を挟んできたのは、ユイ。

「私、ユイだよ。よろしくね、アヤセ」
「うん、よろしくねユイちゃん」

「ユイはね、お兄ちゃんたちが来てくれたことと、今年はイベントで嫌なことをしなくてもよかったのがラッキーだったよ!」
「嫌なこと?」

聞き返そうとした絢世の前にズイっと割り込み、
「ほら、ここは狭いから、広いところで遊んでおいで」
話を遮ったのは友己だった。

…社長…、やっぱり何か変ですよね…?
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