もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第96話 怖すぎる陥れと決裂

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シズクの口から次々とあふれてくる誤解をどうやって解こうかと考えている絢世をチラ見して、千隼の言葉に応えるかのように友己も参戦。

「いや、千隼はドリーム不動産の社員だが俺の幼馴染みだから問題はない。そして俺の癒しは、たくさん甘えてくる絢世だけだからな。千隼にもぜひ知っておいてほしい」
ニヤニヤと嗤った。

はぁ~っ?!
あんたなんかに甘えた覚えは一度もねぇよ!

なんで社長は、千隼さんに誤解させるようなことばっかり言うんだ?!
何なんだよ、この陥れみたいな嫌な感じ。

怖すぎるんだけど。
なんの恨みがあってこんなことを?

本当ならいますぐ否定したいところだけど、シズクと社長の後ろ姿を見つけた途端に走り寄って必死で声をかけたことは事実。

社長やシズクの前でホクロのようなモノについて話すのはなんとなくやめておいたほうがいいような気がする。
でもそれなら話の流れ的に社長への嫉妬で慌てて声をかけたと思われても仕方ないシチュエーションでしかないとも思う…。

「では社長、少しだけ桐谷をお借りしても?すぐにお返ししますので」

千隼はよそよそしい口調で友己に確認したかと思うと考えがまとまらずに戸惑っている絢世の腕を掴み、ものすごい勢いで歩きはじめた。
先を歩く背中からイライラが伝わってくる。

さっきまで2人で楽しく歩いていたはずの場所を嫌な気分で折り返し…。

談笑しながら歩く家族や恋人たちの間を抜けて人通りの少ないところで立ち止まった千隼は
「俺にかけてくれた言葉や行動は絢世にとって、特別でも何でもなかったんだな。ひとり勘違いして馬鹿みたいだ」
俯いたまま静かに言った。

「ち、ちが…」
否定しようとしても言葉が続かない。

なぜ必死でシズクを引き留めたのかを話せば、ドリーム不動産への潜入についても伝えなければならない状況に陥ってしまう可能性もある。
誤解だけを解くいい方法はないだろうか…。

考えているうちに
「悪いけど、友己と帰ってくれな」
千隼から冷たく言い放たれ、絢世はその背中を呼び止めることができなかった。
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