もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第186話 俺といっしょにいたくないのか?

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友己は神妙な面持ちで唇に手をやり、絢世は寝耳に水のことに驚く。

前職の健康診断結果?
チラリと千隼の顔を見て、なるほどと聞き返すのをやめた。

それとなく不審に感じていた健康診断の話を振るとか、千隼さん、やるなぁ…。
もうひとつの目的は、俺にすぐ会社を辞めさせないためか。

気のせいか少し気まずそうな表情を見せる黛。

「夜職一本に絞りたいと本人が望むようでしたら話は別なのですが、桐谷は優秀です。いちど弊社で健康診断を受け、カラダの状態によっては治療を続けながらウチで働いてもらえればと思うのですが…。桐谷はどうかな?」

千隼に聞かれ、絢世は食い気味に
「…そんなふうにしてもらえるなら、そうしたいです」
答えていた。

皆が聞いている前で継続の意思を伝える。
いまドリーム不動産を辞めずに働き続ける方法はこれしかない。

いつもは穏やかな表情を崩さない黛の顔が歪む。
黛が機嫌を損ねることも予想はしていたが、まさかこれほどまでにあからさまとは…。

けれど黛も大人。

すぐにやわらかい表情を浮かべ
「絢世本人がそう望むなら、ぜひお願いします」
千隼と友己にそろりと頭を下げた。

「では私はこのあと予定がありますので。お先に失礼いたします」
黛が背中を向け、だいぶ遠ざかってから
「どういうこと?」
友己よりも先に千隼が口を開き、完全に据わった目で絢世を睨む。

うわ…、怖…。
当たり前だけど2人とも、めちゃめちゃ怒ってんじゃん…。

しかも千隼に至っては
「絢世は俺といっしょにいたくないのか?」
などと言いはじめ、友己は後ろで頭を抱えて溜め息をついた。

そんな千隼の背中を友己が呆れた表情でつつく。

「いやいや、会社を辞めるって話なのに、その言い方はおかしくない?」
友己に突っ込まれても、いまいち言葉をうまく理解できていない様子の千隼。

「千隼お前さぁ…、仕事とプライベートはきっちり分ける主義じゃなかったの?絢世のことになると必死すぎてこっちが怖いわ…」
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