もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第199話 救急搬送

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絢世が少し離れたコンビニでタオルを買って友己のところへダッシュで戻ったときにはもう救急車が到着。
救急隊員が友己をタンカに乗せようとしているところだった。

「遅くなってすみません」
「いや、この辺コンビニもないし大変だっただろ?警察にも電話して事情は話しておいた」
「ありがとうございます」

人通りなどまったくなかった場所にはいつの間にか野次馬たちが集まり、スマホを構えてそれぞれの見解や意見を交わし合う。
まるで見世物みたいだ…。

物々しい雰囲気のなか、
「どなたか付き添いをお願いできませんか?」
救急隊員の言葉に千隼が歩み出る。

「絢世はどうする?」

ふと聞いた千隼に
「付き添いの方はひとりだけでお願いします」
乗車を促す救急隊員。

「あ、じゃあTシャツ」
千隼のTシャツを脱ごうとした絢世の腕を千隼が強く掴む。

「いまここで脱いだら俺が嫉妬する」

こんな一大事にも嫉妬してくれるのは嬉しいけど、千隼さんこそ、いいカラダ晒しまくってるんですよね…。
病院へ着いたら、どんなふうに振る舞うつもりなんだろ?

「やっぱり…」
言おうとしたけど、いまはそれどころではないと判断。

「じゃあ俺は別で病院へ向かうんで、どこに搬送されるか分かったら教えてくださいね。千隼さんのTシャツも持って行きます」
不安そうな表情の千隼にやさしく微笑んだ。

救急車へ乗り込んだ千隼に
「出血が酷い、血液型はわかりますか?」
救急隊員がドアを閉めながら尋ねる声が聞こえた。

さっきまで静かだった救急車から再びサイレン音が鳴り響きはじめ、車体が発車する。

社長、大丈夫かな…?

絢世はしばらく動くことができず、だんだんと遠くなっていく救急車をただただ見つめるしかなかった。
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