もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第230話 笑顔からの半狂乱

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どう言い訳をして誤魔化すべきか考えていた絢世を救ってくれたのは意外にもシズク。

「ど、どうしてさっき帰ったはずのみんなが勢ぞろい…?」

黛に絢世、千隼の顔を何度も見回しながら、
「お、俺が寂しいと死んじゃうと思って、みんなで病院に戻って来てくれたんですね!」
張り裂けんばかりの笑顔でそんなことを言う。

当然、絢世たちは
「…は?」
ハテナしか浮かんでこない状態。

あぁそうか、シズクはミヤビが刺されたことを知らないから…。
絢世が納得したとき、千隼と黛もそれに気づいた。

そして黛が
「ミヤビさんが刺されたんだ。それでこの病院に救急搬送されてね…」
静かな声で伝える。

黛が言うなり
「…え?ミ、ミヤビさんが…さ…刺され…た…?」
驚きのあまりシズクは黛の胸倉を掴んでいるのにも気づいていない様子。

そっと軽く黛に振り払われ、小さく「スミマセン」謝った。

けれど謝ったあとも床に蹲り
「さ、刺された?救急搬送…?ど…どういうこと…?」
立ち上がれないほど動揺は続く。

放心状態になっているシズクの前にしゃがんで寄り添い、背中をやさしく撫でて少しずつ落ち着かせてやる黛。

だんだんと落ち着いてきた様子のシズクだったが
「そりゃあショックだよな。佐原社長が刺されたうえにミヤビまで…」
つい絢世が口を滑らせた途端、半狂乱となった。

「え、え…、え…、さ、さ…、佐原…佐原社長が刺された…?」

その場に尻もちをついたまま魚のように口をパクパクしはじめたシズク。

「ごめん、隠してるつもりはなかったんだけど…」

絢世はすぐに謝罪したが、シズクの耳には届いていないようだった。
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