もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第311話 絶対に諦めきれない

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「絢世さん、どうか可愛い後輩ホストの一生に一度のお願いを聞いてくださいよ~」
とにかく絢世に甘えるシズク。

「けど、黛さんはいままで見せたこともないような怖い顔でスマホの画面を見せてきたんだろう?しかも内容は『黒服は連れて行く。お前はいますぐ、何も持たずに絢世のところへ帰れ』って…。それはもう二度とここには来るなってことじゃないの?」

「絢世の言うとおりだろうなぁ」

渋る2人にシズクは
「このままではマズイ」
と焦りが募る。

そしてつい焦りと本音が口から滑り出した。

「黒服のマンションには佐原社長が一部とはいえ援助してくれて買った財布もありますし、スーツだって俺がホストになってはじめて買ったやつですよ?それに必死でいろんなボタンを縫いつけた目立つためのネクタイだって置きっぱなしだし…」

呆れる絢世と千隼にもシズクは引かない。

「お願いですから~!絢世さんだって雨宮さんだってラブラブなら俺の恋心、少しはわかるでしょ?大好きな人からもらったお金で買った財布なんですよ!スーツとネクタイは諦めたとしても財布だけは絶対に諦めきれません。取りに行きたいです」

「なら、ひとりで行けばいい。絢世を巻き込むな」

冷たくあしらおうとした千隼を見てシズクは悪いことを思い立った。

「ねぇねぇ、雨宮さんっっ」
肩をツンツンと指で叩いて耳元で名前を呼ぶと、人を殺せるぐらい人相の悪い顔で振り向いた千隼だったけれど。

「絢世さんの可愛いのとかセクシーな写真、いりません?俺、写真の才能あるんで、広報用の写真を撮る担当だったんですよね。スマホで試し撮りしたのがいっぱい残ってて…」

シズクが耳打ちした瞬間
「絢世、黒服のマンションへ行くぞ」
千隼は立ち上がっていた。

「…は?ち、千隼さん?!」
慌てて立ち上がった絢世を見つめながらシズクはニヤリと悪い顔で笑う。

うぷぷ。
雨宮さんが絢世さんのこと大好きすぎて理性を失う人でラッキー!
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