もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第328話 それ以上が言えない理由

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「いったい何なんだ?あの態度は。絢世にも気分が悪い思いをさせて申し訳ない」
病室から出るなり怒りを露わにしたのは千隼。

イライラが限界を超えているのは絢世も同じ。

ただ、友己がほかにも情報を持っている可能性がある。
そう考えるといまモメるのは得策ではない。

そうなると千隼の苛立ちを大きくしないためにも宥める側にまわるしかないと絢世。

「…千隼さんが俺の心配も含めてイラついてくれているのはわかってます。でも今日のところは…」

宥める言葉を口に出しつつも
「だいたい佐原社長は、俺と千隼さんが仲良くしているというだけで気に入らないわけですし…。だからそういう嫉妬てきな気持ちとかも混じっているのかもと思うんですよね。いや、多分、確実にそう…」
だんだんと不満があふれて愚痴を言いそうになっている絢世をシズクが軽くつついた。

「…佐原社長…、本当にあれ以上は言えないとかだったりしません…?」
ぽつりとつぶやくように言うシズクはいつもとは様子が違う。

「あの佐原社長の態度を見ていたら俺だってムカつきますし、何があったんだ?って思いますよ。でも社長は雨宮さんのことを幼馴染みとして…っていうかそれ以上に好きだと思いますし、絢世さんのことだって担当ホスト以上に大事にしてると思うんですよね」

シズクはそう言うと
「うまくは言えないんですけど…」
いったん言葉を切ってから
「なにか“それ以上が言えない理由”があるんじゃないかと思うんです」
真剣な目で絢世と千隼を見つめて言う。

「雨宮さんは絢世さんのことが話に絡んできたから苛立っていたし、絢世さんは自分がまれな血液だったことや社長がそれを知っていたことで動揺していたでしょう?でも冷静に考えてみてください。社長は2人を危険なことに巻き込むような人ではないと思うんです」

絢世はなんとなくシズクの言葉に引っ掛かりを感じながらも
「…まぁ…、そうかもしれないな」
しばらくして納得した千隼に続いた。
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