もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第330話 思い出した嫉妬心と苛立ち

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千隼に電話をかけてきた相手はドリーム不動産で人事部長を務める男・仁慈埜人じんじのひと

『さっき入院中の佐原社長から緊急の人事とかで連絡がありまして。藤森…、藤森雫ふじもりしずくが少し前に入社して休職中の相葉柊羽と同じポストを引き継ぐみたいです』

「…は?」

思わずシズクの顔を見て溜め息をついた千隼はそう突っ込みそうになって慌てて
「そうか。報告してくれてありがとう」
冷静に対処した。

『相葉柊羽、しばらく復帰しない感じなんですか?』
仁慈に聞かれても、友己から何も聞かされていない千隼は答えに戸惑うしかない。

それでも友己の意図を予想。

「復帰には少し時間がかかるかもしれないな。それもあって今回、その藤森雫を入社させたわけだろう?」
気まずそうな顔をしたシズクをチラチラと睨みながら千隼は対応を続ける。

「ですよね…。でも不思議です。ほかに育っている社員も多いのに、最近はどうして新人を雨宮さんの下に就かせたがるんでしょうね?まぁ、桐谷さんは仕事もできるし優秀だからわかりますけど…」

仁慈は不安を口にすると
「相葉も社長のヘッドハンティングか独断での採用でしょ?いままで社長が連れてきた人間は優秀だったのに、相葉はちょっと仕事ができなさすぎだったので今回も心配で…」
止まらないといった様子で続ける。

確かに。
どう大目にみたとしても相葉は本当に使えなかったな。

間違えた箇所をパソコンで打ち直しをせずに紙媒体に打ち出した文字だけをボールペンで真っ黒に塗りつぶして修正するわ、ページごとに資料を並べるだけなのに順番がぐちゃぐちゃだわ、とにかく仕事を山ほど増やしてくれたことを思い出す。

ほんの数日間だったとはいえ、とにかく絢世へのダル絡みも酷かった。

…覚えていろよ、相葉。
戻ってきたら絢世とのラブラブぶりを見せつけて、お前の入る隙などないことをしっかりとわからせてやるからな!

相葉の存在を思い出したことで嫉妬心と苛立ちが込み上げてきた千隼だったが、ふと思う。

そういえば…、相葉柊羽も友己が採用した新人社員だったな。
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