もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第382話 シズクの暴走

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「佐原社長がENCHANTEアンシャンテグループの代表・黛さんと共同で貴園に支援できることはないか相談しているみたいなんです。それで俺たちも何かできることはないかと、アポなしで失礼とは思いつつ、下見や相談も兼ねて貴園に立ち寄らせてもらったんです」

冷や冷やしながらカマをかけた絢世は
「あら、そうなの?友己くんと黛さんが知り合いだったなんて初耳だわ」
施設長の反応が見られたことにそっと胸を撫でおろす。

そして、とりあえずシズクが余計なことを言わないようグッと睨みつけた。

「いろいろと考えてくださっているのはありがたいことだし、いつも寄付金は経費計上できるからと言ってはくれるんだけど、私としては友己くんに無理せずにいまを生きてほしいのよね」

ふと施設長の言葉が引っ掛かる。
それって…。

「佐原社長は、恩師がそういう人だからこそ寄付を続けているんじゃないでしょうか?」

これは、賭け。

さっきの施設長の口ぶりだと、佐原社長は過去に何かあった。
そして施設長はそんな佐原社長をずっと見てきた、そんな言い方のように感じたから。

きっとそれは、佐原社長が幼少期にここで過ごしたことを意味するのではないかと思った。

「まぁ…。友己くんがそんなことを思ってくれていたとしたら嬉しいような、余計に申し訳ないような気持ちになるような…。複雑だわ」

なるほど。
この施設長の反応からして佐原社長が養護施設ともしび出身だということは間違いない。

…でも、黛さんとの接点はなさそう…。
たとえ友己と黛に接点があったのだとしても、少なくとも親しそうな施設長の知るところではないことは判明した。

これまでのことを整理していた絢世の隣で
「あ、そういえば俺、この施設にいた相葉柊羽あいばしゅうくんと仲良くなったんです。最近は連絡とれてないんですけど」
また驚くようなことを言うシズク。

…は?
シズク、相葉柊羽とは面識なんかないだろう?

今日はいつも以上に暴走するなぁ…。
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