もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第455話 イケメンは食い潰す

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目が覚めると絢世はベッドの上に寝かされているのに気づいて焦る。
両腕は腰あたりで縛られ身動きが取れない。

見覚えのない静かで薄暗い部屋。

ベッドから少し離れたところにあるソファに座っていた中年女が絢世の動きに気づいて振り向いて不気味な笑みを浮かべた。

見たこともない中年女。
部屋の中にいるのはどうやら、その中年女だけらしい。

「…お前…誰…?!」

自分の状況に驚いてカラダをくねらせ暴れる絢世を愉しそうに見つめながら手に持っていた煙草を長く吸って煙を吐く。

金子かねこ。カネコって呼んで」

金子はベッドに近づくと絢世の顎を撫でながら言う。

「きれいな顔してる。これだけイケメンなら…惑わされるわけね」

「触るな!」
顎を背けて金子の手を払いのけようとした絢世。

そんな動きは金子の顎を掴む強い力によってすぐに封じられていた。

「絢世さん…だったわね?アンタはいまアタシに何もかもを握られているってこと、わかってる?」
クスクスと嗤いながら続ける。

「恋をすると人は盲目になる。馬鹿になる。弱くなる」

「…は?お前、なに言ってんの…?」

「アンタのお陰でようやくアタシの時代がきた。感謝してるわ」
恍惚とした表情でベッドへと腰をおろし、絢世を見つめる。

「意味わかんね」

苛立つ絢世に
「絢世さんは深く知る必要なんてないわ。ただアタシが感謝の気持ちを伝えているだけなんだから」
ねっとりとした口調で頬や顎を撫でまわしながら金子。

「ひとつだけ教えてあげるとアタシね…、イケメンは食い潰すのが趣味なの」
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