もう恋なんてしない

竹柏凪紗

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第506話 ヤラセなら

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黒服の言葉を思い出しながら口にし、もういちど高峰との会話を振り返る絢世。

「なるほど。黛さんが行方不明ホストの件を調べていたとして、ミヤビも何らかの形でその一件に関わっていたとしたら…。ありますね。ミヤビが黛さんに罪をなすりつけるメリット」

絢世の言葉に
「もしミヤビさんの刺傷事件が自作自演のヤラセなら、イノセントの出入口でタイミングよく倒れたのも納得できますね」
乗っかったシズクはずっと持っていた疑問をぶつけた。

「実は俺、不思議だったんです。俺は絢世さんたちから話を聞いただけなのでボヤっとした違和感だったんですけど、もし黛さんが本当にミヤビさんを刺したんだとしたら、どうして自分の店近辺でそんなことをしたんだろう?って。ずっと謎だったんですよね」

「確かにそうだな」

合いの手のように高峰が相槌を打ち、シズクが続きを話す。

「自分の店周辺でそんなことをしたら疑われそうですもん。月々300万円くらい落とす常連客が店の近くで刺されたとなれば変な噂が広がる可能性も高くなる。そうなれば売り上げにも影響するでしょう?わざわざ自らそんなこと、しませんよね。冷静な黛さんなら特に」

そう持論を展開。
さらに続けた。

「救急車が到着したとき、黛さんの服が少し前までいっしょだった絢世さんが見たものと違っていたというのは気になりますが…。ただ、返り血を洗い流して着替えを済ませ、血のついた服を隠して救急車が到着する頃に店の前へ到着って、なかなか厳しいと思うんです」

シズクの言葉が妙にしっくりくる。
確かに刺傷事件がミヤビの自作自演で、黛さんのことも嵌めたのだとしたら説明がつくことが多い。

「山井ミヤビについては、もう少し探ってみる必要がありそうだな」

「じゃあそれは高峰さんにお願いしてもいいですか?その間に俺はナンバー2のシゲと3のアオイに健康診断を受けたことがあるかどうか確認してみようと思うので」
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