COLOR's

雫流 漣。

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RED~紅に燃ゆる。

紅(べに)

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もしも全てが
優しい嘘で…

誠が溶けて
失せたとしたら

消えゆく瑣末な
泡を両手に

私は闇に
なに想う

揺れる水草
満天の瞬き

春うらら
夏うたげ
秋の木枯らしは
仄か…

巡り巡って
咲く冬は
からから回る糸車

薄明かり
夕闇に紛れて

…小指でそっと
紅をさす

鮮やかに
弧を描いて

高まる鼓動は
紅の糸

しだれ柳が
星を纏い
夜空に花が灯る頃

私はきっと
繰り返す

雑踏の中に
貴方を見つけて…

人の群れを
掻き分けて

伸ばした手が
空を掴んで

名も知らぬことに
気づいても

また探して…
進んで…

私は貴方の何を
知っているのかと
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