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21 お疲れ様
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「……我が学園の教師が、君にありもしない罪を着せようとしてしまった。すまなかった、フェスターくん」
「い、いえ……。学園長が謝ることじゃありません」
一連の騒動のあと、私は学園長室に呼ばれていた。
学園長室のふかふかの椅子に、オロヴァセーレと並んで座っている。
転学を勧められたときとは全く違う雰囲気だ。だけど、それがまたむずがゆくて居心地が悪く思えた。
「それから、アルも……、ああいや、オロヴァセーレ、だな」
「先程も話したが、俺はあんたの孫じゃない。俺が一度指を鳴らせば魔法が解け、アルトゥールという孫がいたこと自体忘れられる」
「いや、……解かないでほしい。例えただの芝居だったとしても、君は良い孫だったよ」
「……」
横目でオロヴァセーレの様子をうかがうと、不満そうに口をへの字に曲げて口を結んでいる。きっと気恥ずかしいんだろう。
学園長は申し訳なさそうにオロヴァセーレを見たあと、また私の方へと向き合った。
「さて、フェスターくん。君の今後についてだがね」
「はい」
「君が最高位の悪魔であるオロヴァセーレを使い魔としていることは評価に値する。素晴らしい召喚術師だ。……いや、わしが評価するのもおこがましいがね。だが、あくまでここは学園だ。カリキュラムがある」
「……はい」
この言葉は想定していた。
高位の悪魔を従えても、結局私はインプさえ召喚できないという事実は変わらない。
「だから、結局このままだとノヴァーリスを退学してもらうことになるわけだが、……そのあとは、ノヴァーリスの顧問召喚術師になることに興味はないかね」
「え?」
思ってもみない提案に、とぼけた声が出た。
顧問召喚術師。ただでさえ優秀なノヴァーリスに、そんなものが必要なのだろうか。というか、学園を退学した生徒が顧問というのもどうなんだろう。
色々な考えが渦を巻き、混乱が顔に出ていたのか、隣にいたオロヴァセーレが小さく咳払いした。その音にはっと我に返り、元々のプランを伝えるべく私は口を開く。
「えっと……、私はノヴァーリスを自主退学して、各国を渡り歩いて召喚術の研究でもしようと考えていたんですけど……」
「それもいいだろう。顧問召喚術師といっても、ノヴァーリスに常駐する必要はないさ。ただ、自由にノヴァーリスに出入りできるというのは君にとってもメリットだと思うんだ」
確かに、私の魔力は絶大で、ポテンシャルも高いとオロヴァセーレは言うけれど、魔法に関しては全くの初心者だ。
召喚術師とはいえ、召喚だけできればいいというわけではない。それをノヴァーリスで学べるというのなら、それは大きなメリットだろう。
だけど、オロヴァセーレと話した元々の予定は、ノヴァーリスとは手を切る予定だった。
どうしようかと悩み、オロヴァセーレの方へと視線を送る。
「……どうしよう?」
「なぜ俺に聞く」
「だって、予定では……」
うろたえて口を開くと、わざとらしい大きな溜息が隣から聞こえてきた。
「あれは俺が勝手に考えたことであって、決めるのはお前だ。俺の主人はお前で、お前の主人も無論、お前だ。……自分がどうしたいかを考えろ」
投げやりなものではなく、しっかりと視線を絡め、諭すような語調だった。
ここ最近、オロヴァセーレに頼りっきりだった。
私がどうしたいか。
私は────、
「……お受けします」
はっきりと、自分の意思でそう答えた。
「い、いえ……。学園長が謝ることじゃありません」
一連の騒動のあと、私は学園長室に呼ばれていた。
学園長室のふかふかの椅子に、オロヴァセーレと並んで座っている。
転学を勧められたときとは全く違う雰囲気だ。だけど、それがまたむずがゆくて居心地が悪く思えた。
「それから、アルも……、ああいや、オロヴァセーレ、だな」
「先程も話したが、俺はあんたの孫じゃない。俺が一度指を鳴らせば魔法が解け、アルトゥールという孫がいたこと自体忘れられる」
「いや、……解かないでほしい。例えただの芝居だったとしても、君は良い孫だったよ」
「……」
横目でオロヴァセーレの様子をうかがうと、不満そうに口をへの字に曲げて口を結んでいる。きっと気恥ずかしいんだろう。
学園長は申し訳なさそうにオロヴァセーレを見たあと、また私の方へと向き合った。
「さて、フェスターくん。君の今後についてだがね」
「はい」
「君が最高位の悪魔であるオロヴァセーレを使い魔としていることは評価に値する。素晴らしい召喚術師だ。……いや、わしが評価するのもおこがましいがね。だが、あくまでここは学園だ。カリキュラムがある」
「……はい」
この言葉は想定していた。
高位の悪魔を従えても、結局私はインプさえ召喚できないという事実は変わらない。
「だから、結局このままだとノヴァーリスを退学してもらうことになるわけだが、……そのあとは、ノヴァーリスの顧問召喚術師になることに興味はないかね」
「え?」
思ってもみない提案に、とぼけた声が出た。
顧問召喚術師。ただでさえ優秀なノヴァーリスに、そんなものが必要なのだろうか。というか、学園を退学した生徒が顧問というのもどうなんだろう。
色々な考えが渦を巻き、混乱が顔に出ていたのか、隣にいたオロヴァセーレが小さく咳払いした。その音にはっと我に返り、元々のプランを伝えるべく私は口を開く。
「えっと……、私はノヴァーリスを自主退学して、各国を渡り歩いて召喚術の研究でもしようと考えていたんですけど……」
「それもいいだろう。顧問召喚術師といっても、ノヴァーリスに常駐する必要はないさ。ただ、自由にノヴァーリスに出入りできるというのは君にとってもメリットだと思うんだ」
確かに、私の魔力は絶大で、ポテンシャルも高いとオロヴァセーレは言うけれど、魔法に関しては全くの初心者だ。
召喚術師とはいえ、召喚だけできればいいというわけではない。それをノヴァーリスで学べるというのなら、それは大きなメリットだろう。
だけど、オロヴァセーレと話した元々の予定は、ノヴァーリスとは手を切る予定だった。
どうしようかと悩み、オロヴァセーレの方へと視線を送る。
「……どうしよう?」
「なぜ俺に聞く」
「だって、予定では……」
うろたえて口を開くと、わざとらしい大きな溜息が隣から聞こえてきた。
「あれは俺が勝手に考えたことであって、決めるのはお前だ。俺の主人はお前で、お前の主人も無論、お前だ。……自分がどうしたいかを考えろ」
投げやりなものではなく、しっかりと視線を絡め、諭すような語調だった。
ここ最近、オロヴァセーレに頼りっきりだった。
私がどうしたいか。
私は────、
「……お受けします」
はっきりと、自分の意思でそう答えた。
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