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「ラストバトル」
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「ラストバトル」
私は、ほっとして、交番の前に横付けしたバイクの前でへたり込んでしまいました。バイクのリアバックに残された食い込んだ数本の女の爪が生々しく壬生い光を放っていました。
(あー、助かったんや、俺・・・。)と思ったところ、背後から、激しい息遣いが聞こえてきます。激しい、ゼイゼイといった呼吸音です。かすかに
「貴様・・・」
と女の声が聞こえた気がしました。
恐る々々、振り返ると、そこに停めた私のバイクのリアシシートはぐっしょりと濡れ、黒い長い髪が何本もまとわりついていました。バイクの下から、大量の水が私のほうに流れ出てきています。
女の姿は見えません。(!!!奴か!こうなったら殺るしかないのか!)私は、ウエストバックに入れていたドライバーを右手で逆手に握り、ゼイゼイと聞こえる方にゆっくりと近づきました。
すると、突然、バイクの反対側から、先ほどの女がずぶ濡れの姿で飛び出してきました。あわてて、バイクを女側に蹴り倒しました。
「ぎゃ~っ!」
とこの世のものとは思えない声と発し、女は私のバイクの下敷きになりゼイゼイとあえいでいます。
「貴様~!バイクをのけろ~!殺してやる~!」
切れ切れの息で騒ぎ、バタつきますが、8キロの全力疾走ですっかり体力を奪われていたのでしょう。もがくだけでバイクは1センチも動きません。
交番の照明で照らされた、女は大量の汗(?)でワンピースはぐじゃぐじゃでした。やはり、足は見えません。しばらく、私へ悪態をつけるだけつき騒ぎ続けましたが、はたと暴れるのをやめ、女は中空を仰ぎ呟いた。
「負け・・た・・わ・・。あ・・な・たの・・よ・うに・なに・・が・なん・・でも・諦め・ない・・人に・生きて・いる・・間・に・逢いた・・かった・・・。」
「・・・・・・・。」
「ここま・で・・来る・・なら、乗せ・て・・いって・・・欲し・・かった・・・。疲れ・・たわ・・・。」
と言った彼女の顔は、峠で見せた、鬼の形相ではなく、何か「やり切った感」を感じさせる、優しいものでした。しかし、私は、バイクを起こして飛びかかられたらいやだと思い(心が狭くてすいません。ただ、その時は全く余裕がなかったのです)、バイクはそのままに、上になっている左のリアバックから、1本のアサヒスーパードライを取り出しました。
「自分で缶持てるか?」
ゆっくりと首を振る彼女。もう全ての力を使い果たした様子でぐったりとしています。
私はビールの栓を開けバイクの下敷きになっている彼女の口元に注いでやりました。
「こ・・んな・・わた・し・・にも・・・や・さ・・しく・・し・て・くれ・て・・・。おい・・し・いわ・・・。あ・・り・・・・が・・・・・・・」
とささやくとすーっと消えていき、一つの蛍の明かりのような黄色い光の点となり、空に消えていきました。
なぜか、私の右ほほに涙がつたいました。
ガチャ、ガチャと背後で鍵が開く音がしました。
「おー、どーした。ぽんぽん(バイクのこと?)こけとるがね。なんかあったんかね。(バイクの奥にころがるスーパードライの缶を見つけて)おいじょー、こげんとこで飲んどったらいかんどー。」
とお巡りさんが首にタオルをかけて出てきました。
私は、ほっとして、交番の前に横付けしたバイクの前でへたり込んでしまいました。バイクのリアバックに残された食い込んだ数本の女の爪が生々しく壬生い光を放っていました。
(あー、助かったんや、俺・・・。)と思ったところ、背後から、激しい息遣いが聞こえてきます。激しい、ゼイゼイといった呼吸音です。かすかに
「貴様・・・」
と女の声が聞こえた気がしました。
恐る々々、振り返ると、そこに停めた私のバイクのリアシシートはぐっしょりと濡れ、黒い長い髪が何本もまとわりついていました。バイクの下から、大量の水が私のほうに流れ出てきています。
女の姿は見えません。(!!!奴か!こうなったら殺るしかないのか!)私は、ウエストバックに入れていたドライバーを右手で逆手に握り、ゼイゼイと聞こえる方にゆっくりと近づきました。
すると、突然、バイクの反対側から、先ほどの女がずぶ濡れの姿で飛び出してきました。あわてて、バイクを女側に蹴り倒しました。
「ぎゃ~っ!」
とこの世のものとは思えない声と発し、女は私のバイクの下敷きになりゼイゼイとあえいでいます。
「貴様~!バイクをのけろ~!殺してやる~!」
切れ切れの息で騒ぎ、バタつきますが、8キロの全力疾走ですっかり体力を奪われていたのでしょう。もがくだけでバイクは1センチも動きません。
交番の照明で照らされた、女は大量の汗(?)でワンピースはぐじゃぐじゃでした。やはり、足は見えません。しばらく、私へ悪態をつけるだけつき騒ぎ続けましたが、はたと暴れるのをやめ、女は中空を仰ぎ呟いた。
「負け・・た・・わ・・。あ・・な・たの・・よ・うに・なに・・が・なん・・でも・諦め・ない・・人に・生きて・いる・・間・に・逢いた・・かった・・・。」
「・・・・・・・。」
「ここま・で・・来る・・なら、乗せ・て・・いって・・・欲し・・かった・・・。疲れ・・たわ・・・。」
と言った彼女の顔は、峠で見せた、鬼の形相ではなく、何か「やり切った感」を感じさせる、優しいものでした。しかし、私は、バイクを起こして飛びかかられたらいやだと思い(心が狭くてすいません。ただ、その時は全く余裕がなかったのです)、バイクはそのままに、上になっている左のリアバックから、1本のアサヒスーパードライを取り出しました。
「自分で缶持てるか?」
ゆっくりと首を振る彼女。もう全ての力を使い果たした様子でぐったりとしています。
私はビールの栓を開けバイクの下敷きになっている彼女の口元に注いでやりました。
「こ・・んな・・わた・し・・にも・・・や・さ・・しく・・し・て・くれ・て・・・。おい・・し・いわ・・・。あ・・り・・・・が・・・・・・・」
とささやくとすーっと消えていき、一つの蛍の明かりのような黄色い光の点となり、空に消えていきました。
なぜか、私の右ほほに涙がつたいました。
ガチャ、ガチャと背後で鍵が開く音がしました。
「おー、どーした。ぽんぽん(バイクのこと?)こけとるがね。なんかあったんかね。(バイクの奥にころがるスーパードライの缶を見つけて)おいじょー、こげんとこで飲んどったらいかんどー。」
とお巡りさんが首にタオルをかけて出てきました。
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