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石川紫乃
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中学の三年間、必死に努力して入った高校は、周辺で偏差値一、二位を争う程の名門校だった。その高校の中で僕は、文芸部に入部した。
僕が小説の世界に取り込まれたのは、小学校最終学年の頃だった。毎朝に読書時間があり、そのための本を買っていた。そのころの僕は読書に興味など全くなく、表紙を見て適当に選んでいたほどだ。しかし、その日は家で目的の本を決めてから書店に出た。聞いた話によると、自分と同年代の小学生作家がデビューしたらしい。
書店に着き、文庫本サイズのライトノベルが並べられている棚を見ると、その小学生作家が書いたとみられる本が多くの面積を占めていた。
その本の帯には「天才!小学生ラノベ作家“石川紫乃”期待のデビュー」と、強調された字体で書かれ、著名作家のものとみられるコメントがいくつか添えられていた。
それを一冊買って家に帰ると、その本を早く読みたくなってうずうずしていた。
結局、翌日の朝まで待てずにその本を読み始めた。
読み進めてみると、そのころの僕にもほかの作品との違いがはっきりとわかった。一つ一つの単語の選び方、心情変化の表し方。そのすべてが完璧で、当時の僕はその小説に飲み込まれたような感覚に陥った。
心のどこかに穴をあけられ、そこにいろいろなものを詰め込まれるように、不快ではなく、むしろ気持ちいいようなショックに襲われたのは今でも覚えている。
小学生というのは、様々な作品に簡単に影響される。ここからの展開は容易に想像できるだろう。
自分も石川紫乃のような小説を書けるようになりたいと思いとりあえず一回自分なりに小説を書いてみた。当然のようにごみのような文章だった。これが普通だろう。小学生であんな文が書ける紫乃のほうがおかしい。
そんないかれたスタートダッシュを決めた紫乃は作業ペースもいかれていた。300~400ページもの作品を一か月に一回出版していた。しかもそれらは漏らすことなく売れわたり、どの作品も二か月以内には百万部以上の売り上げをたたき出していて、それは四年たった今でも崩れていない。いつからか、紫乃には“異世界の住人”という二つ名がつけられた。
あれからの僕はというと、あっという間に石川紫乃の作品に吸い込まれ、紫乃の作品はすべて購入し、紙がよれよれになり、ところどころ破けてしまうくらいに、何度も読み返した。
そのおかげというのか、紫乃の作品は一字一句違わず覚えていた。
僕が小説の世界に取り込まれたのは、小学校最終学年の頃だった。毎朝に読書時間があり、そのための本を買っていた。そのころの僕は読書に興味など全くなく、表紙を見て適当に選んでいたほどだ。しかし、その日は家で目的の本を決めてから書店に出た。聞いた話によると、自分と同年代の小学生作家がデビューしたらしい。
書店に着き、文庫本サイズのライトノベルが並べられている棚を見ると、その小学生作家が書いたとみられる本が多くの面積を占めていた。
その本の帯には「天才!小学生ラノベ作家“石川紫乃”期待のデビュー」と、強調された字体で書かれ、著名作家のものとみられるコメントがいくつか添えられていた。
それを一冊買って家に帰ると、その本を早く読みたくなってうずうずしていた。
結局、翌日の朝まで待てずにその本を読み始めた。
読み進めてみると、そのころの僕にもほかの作品との違いがはっきりとわかった。一つ一つの単語の選び方、心情変化の表し方。そのすべてが完璧で、当時の僕はその小説に飲み込まれたような感覚に陥った。
心のどこかに穴をあけられ、そこにいろいろなものを詰め込まれるように、不快ではなく、むしろ気持ちいいようなショックに襲われたのは今でも覚えている。
小学生というのは、様々な作品に簡単に影響される。ここからの展開は容易に想像できるだろう。
自分も石川紫乃のような小説を書けるようになりたいと思いとりあえず一回自分なりに小説を書いてみた。当然のようにごみのような文章だった。これが普通だろう。小学生であんな文が書ける紫乃のほうがおかしい。
そんないかれたスタートダッシュを決めた紫乃は作業ペースもいかれていた。300~400ページもの作品を一か月に一回出版していた。しかもそれらは漏らすことなく売れわたり、どの作品も二か月以内には百万部以上の売り上げをたたき出していて、それは四年たった今でも崩れていない。いつからか、紫乃には“異世界の住人”という二つ名がつけられた。
あれからの僕はというと、あっという間に石川紫乃の作品に吸い込まれ、紫乃の作品はすべて購入し、紙がよれよれになり、ところどころ破けてしまうくらいに、何度も読み返した。
そのおかげというのか、紫乃の作品は一字一句違わず覚えていた。
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