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第264話 竜、お土産をもらう
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「いやあ、お家へ行ったらサリエルド帝国に言ったとお留守番をしていたエルフの方に聞きまして」
「え、それを聞いてわざわざここまで来たの!?」
「そうですね」
「なんでまた……」
「中々のアホじゃないか?」
ザミールと顔を合わせた後、広場へと移動した。そこで帝国に来た理由を話していた。
話を聞いたトーニャやヒューシ、ユリと言った同じ町に住むメンツが呆れた顔で彼に言い、一緒に居るゾンネアが辛辣な言葉を投げかけていた。
「ははは、よく言われますよ!」
「お主は人を呼びつけたではないか」
「まあそうだけどさ」
ザミールは気にした風もなく、頭を掻きながら笑っていた。そこでとことことヤクトに乗ったリヒトとリコットがやってくる。
「あーい♪」
「きゃーう!」
「やあ、リヒト君! それにリコットちゃん。ガリア国へ行商に行った時にリヒト君が喜びそうなおもちゃがあってね。早く見せたくて追いかけて来たんですよ」
「今度でも良かったのではないか?」
「まあまあ、私が持ってきたのはきっと喜ぶと思うんですよ」
ザミールが嬉しそうにそう口にすると、バーリオも肩を竦めてから首を振る。
「それでも隣国まで追いかけてくるとは驚くぞ」
「商人はフットワークが軽いのがいいんですよ。こっちでも売買のチャンスがあるかもしれませんし」
「へえ、クリニヒト王国の商人か。なにか面白いものでもあるかな? 後で見せてもらおう」
そこで興味があるといった様子で荷台を見ていたアトレオンがザミールへ声をかけた。
「……! あなたは――」
「ああ、僕はアトレオン。城で騎士団長をやっている者だ」
「王子って言わなくていいんですか?」
「わほぉん」
「ははは、外に居る時は堅苦しいから騎士団長で通しているよユリちゃん」
「あ、は、はい。ザミールと申します。以後、お見知りおきを……」
ザミールはアトレオンを見ると恐縮しながら膝をついた。たアトレオンは自己紹介をした後、笑いながら手を振る。
「大丈夫だよ。別になにか失礼なことをするわけじゃなければ普通にしてもらって。ほら、ダル君やジェニファーを見てごらんよ」
「あ、はい」
言われてみると、ダルはアトレオンの足に前足を乗せて『知り合いだ』と言わんばかりにぺちぺちしていた。
ジェニファーもかかとをくちばしで軽く突いている様子が見えた。
「はは、ありがとうダル君にジェニファー」
「わほぉん」
「こけー♪」
「ん……? 君、ザミールと言ったかい?」
「え? ええ」
「どこかで会ったことがないかな?」
「ありません。しがない商人ですが、サリエルド帝国に来たのは数回程度なのです」
「ふむ」
アトレオンがザミールに会ったことが無いかと尋ねたところ、ハッキリと『無い』と答えた。
あまりにも強く言ったのでアトレオンが眉をぴくりと動かしていた。
「いや、失礼。僕の知っている人間かと思ったんだけどね。もう十年以上会ってないから」
「そうなんですか? ザミールさんってクリニヒト王国の商人をずっとやっているし商家もあるので私も違うのでは、と思います」
「ああ、ヒューシ君達も同じ町に居るんだ。すまなかったねザミールさん」
「……いえ。あ、とりあえずここまでこいつに無理をさせたから宿へ行きます。先にリヒト君にプレゼントを!」
「あーう?」
ザミールは手をポンと打って荷台に頭を突っ込み、それを取り出した。
「これはウチにあるミニ馬車の荷台みたいですね?」
「ええ、似たような感じです」
出てきたのは自宅にあるダル達が引っ張って移動するリヒト用の荷台によく似た乗り物だった。
違うのは座るところが椅子のようになっており、手で掴むところ、いわゆるハンドルがあった。そして背後には大人が持って押すことのできる取っ手もついていた。
「おー?」
「あー?」
「きゃーう?」
「ぴよー?」
新しいおもちゃが出されると、ユリとリヒト、リコットとひよこが早速取り囲んだ。
「ここに座って、足で進むんだよ」
「やってみましょうね♪ リコットちゃんも乗れそうね?」
「俺が乗せよう」
トワイトが抱っこをしてリヒトを座らせ、ハバラがリコットをその後ろに乗せた。
するとリヒトがハンドルを掴んで足を動かす。
「あーい♪」
「きゃー♪」
「あ、いいなあー」
「うぉふ!」
「わん!」
すると乗り物はごろごろと進みだし、リヒトとリコットが楽しそうにしていた。
ユリとヤクトとルミナスが一緒についていき、安全を確保する。
「へえ、あの持ち手を動かせば曲がれるんだ。いいねえ」
「ウチにある荷台と違って自分の足を使って進むのがいいですね」
「坂は厳しそうじゃが、平地は足腰の訓練にもなりそうじゃのう」
「テンパールの職人が作ったものなんですよ。あそこはドワーフも住んでいますし」
「ああ、それで」
ディラン達がそれぞれ感想を口にし、ザミールは得意げに仕入れ先まで行ってきたんですと言う。
広場を駆けるリヒトが楽しそうにしているのを見た後、ザミールは頭を下げて話し出した。
「では、私はこれで」
「わざわざすまんかったのう。ワシらも明日には帰るから、良かったら乗っていくとええ」
「ああ、それは助かります! では」
「また明日ねー」
「……」
「あーい!」
ザミールは満足したのか、相棒を引いて広場を後にした。
ユリやリヒトが手を振って見送り、ザミールも一度振り返ってから手を上げていた。
「相変わらずですね……」
「まあ、ザミールさんだしね。そういえばお金払ってないんじゃない?」
ヒューシとトーニャがやれやれと苦笑していた。トーニャが代金の話をすると、トワイトが返答をする。
「いつも受け取らないのよね。今度、お野菜とか絨毯を作って持っていきましょう♪」
「あー、いいかもね」
「む、どうしたアトレオン殿」
ザミールへはまたお礼をしようと親子で話していた横で、アトレオンがザミールの移動する姿をじっと見ていた。バーリオが声をかけると、いつもの笑みが不思議そうな顔になっていた。
「彼、ザミールさんでしたっけ? クリニヒト王国の商人で間違いない?」
「ああ。私も店には良くいくし、彼らも世話になっている」
「ふむ……」
「そういえば誰かに似ていると言っていましたね?」
ユリが尋ねるとアトレオンは頷いた。
「そうなんだよ。だけどあれから十年以上は経っているし、気のせいかも」
「友達だったんですか?」
「そう。小さい頃はソルと僕、侯爵家であるセルトス家のミルザという奴が居たんだ。同い年だったから二十四歳のはずだ」
「そうなのですね。しかし、結構前から商家があったはず……」
「そっか。勘違いか。優しい奴だったし、もう一度会いたいと思っているんだけどねえ」
「どうしていなくなったんですか?」
「……セルトス家の次男だったんだけど、後妻と仲が悪くて出て行ったんだ」
僕を頼ってくれたら良かったのにとアトレオンは困った顔で笑い、町の案内へと歩き出した。
「あーう」
「きゃーう」
「お、来たね。僕が押してやろう!
「あー♪」
なんとなく寂しそうなアトレオンはリヒト達を構うのだった。
「え、それを聞いてわざわざここまで来たの!?」
「そうですね」
「なんでまた……」
「中々のアホじゃないか?」
ザミールと顔を合わせた後、広場へと移動した。そこで帝国に来た理由を話していた。
話を聞いたトーニャやヒューシ、ユリと言った同じ町に住むメンツが呆れた顔で彼に言い、一緒に居るゾンネアが辛辣な言葉を投げかけていた。
「ははは、よく言われますよ!」
「お主は人を呼びつけたではないか」
「まあそうだけどさ」
ザミールは気にした風もなく、頭を掻きながら笑っていた。そこでとことことヤクトに乗ったリヒトとリコットがやってくる。
「あーい♪」
「きゃーう!」
「やあ、リヒト君! それにリコットちゃん。ガリア国へ行商に行った時にリヒト君が喜びそうなおもちゃがあってね。早く見せたくて追いかけて来たんですよ」
「今度でも良かったのではないか?」
「まあまあ、私が持ってきたのはきっと喜ぶと思うんですよ」
ザミールが嬉しそうにそう口にすると、バーリオも肩を竦めてから首を振る。
「それでも隣国まで追いかけてくるとは驚くぞ」
「商人はフットワークが軽いのがいいんですよ。こっちでも売買のチャンスがあるかもしれませんし」
「へえ、クリニヒト王国の商人か。なにか面白いものでもあるかな? 後で見せてもらおう」
そこで興味があるといった様子で荷台を見ていたアトレオンがザミールへ声をかけた。
「……! あなたは――」
「ああ、僕はアトレオン。城で騎士団長をやっている者だ」
「王子って言わなくていいんですか?」
「わほぉん」
「ははは、外に居る時は堅苦しいから騎士団長で通しているよユリちゃん」
「あ、は、はい。ザミールと申します。以後、お見知りおきを……」
ザミールはアトレオンを見ると恐縮しながら膝をついた。たアトレオンは自己紹介をした後、笑いながら手を振る。
「大丈夫だよ。別になにか失礼なことをするわけじゃなければ普通にしてもらって。ほら、ダル君やジェニファーを見てごらんよ」
「あ、はい」
言われてみると、ダルはアトレオンの足に前足を乗せて『知り合いだ』と言わんばかりにぺちぺちしていた。
ジェニファーもかかとをくちばしで軽く突いている様子が見えた。
「はは、ありがとうダル君にジェニファー」
「わほぉん」
「こけー♪」
「ん……? 君、ザミールと言ったかい?」
「え? ええ」
「どこかで会ったことがないかな?」
「ありません。しがない商人ですが、サリエルド帝国に来たのは数回程度なのです」
「ふむ」
アトレオンがザミールに会ったことが無いかと尋ねたところ、ハッキリと『無い』と答えた。
あまりにも強く言ったのでアトレオンが眉をぴくりと動かしていた。
「いや、失礼。僕の知っている人間かと思ったんだけどね。もう十年以上会ってないから」
「そうなんですか? ザミールさんってクリニヒト王国の商人をずっとやっているし商家もあるので私も違うのでは、と思います」
「ああ、ヒューシ君達も同じ町に居るんだ。すまなかったねザミールさん」
「……いえ。あ、とりあえずここまでこいつに無理をさせたから宿へ行きます。先にリヒト君にプレゼントを!」
「あーう?」
ザミールは手をポンと打って荷台に頭を突っ込み、それを取り出した。
「これはウチにあるミニ馬車の荷台みたいですね?」
「ええ、似たような感じです」
出てきたのは自宅にあるダル達が引っ張って移動するリヒト用の荷台によく似た乗り物だった。
違うのは座るところが椅子のようになっており、手で掴むところ、いわゆるハンドルがあった。そして背後には大人が持って押すことのできる取っ手もついていた。
「おー?」
「あー?」
「きゃーう?」
「ぴよー?」
新しいおもちゃが出されると、ユリとリヒト、リコットとひよこが早速取り囲んだ。
「ここに座って、足で進むんだよ」
「やってみましょうね♪ リコットちゃんも乗れそうね?」
「俺が乗せよう」
トワイトが抱っこをしてリヒトを座らせ、ハバラがリコットをその後ろに乗せた。
するとリヒトがハンドルを掴んで足を動かす。
「あーい♪」
「きゃー♪」
「あ、いいなあー」
「うぉふ!」
「わん!」
すると乗り物はごろごろと進みだし、リヒトとリコットが楽しそうにしていた。
ユリとヤクトとルミナスが一緒についていき、安全を確保する。
「へえ、あの持ち手を動かせば曲がれるんだ。いいねえ」
「ウチにある荷台と違って自分の足を使って進むのがいいですね」
「坂は厳しそうじゃが、平地は足腰の訓練にもなりそうじゃのう」
「テンパールの職人が作ったものなんですよ。あそこはドワーフも住んでいますし」
「ああ、それで」
ディラン達がそれぞれ感想を口にし、ザミールは得意げに仕入れ先まで行ってきたんですと言う。
広場を駆けるリヒトが楽しそうにしているのを見た後、ザミールは頭を下げて話し出した。
「では、私はこれで」
「わざわざすまんかったのう。ワシらも明日には帰るから、良かったら乗っていくとええ」
「ああ、それは助かります! では」
「また明日ねー」
「……」
「あーい!」
ザミールは満足したのか、相棒を引いて広場を後にした。
ユリやリヒトが手を振って見送り、ザミールも一度振り返ってから手を上げていた。
「相変わらずですね……」
「まあ、ザミールさんだしね。そういえばお金払ってないんじゃない?」
ヒューシとトーニャがやれやれと苦笑していた。トーニャが代金の話をすると、トワイトが返答をする。
「いつも受け取らないのよね。今度、お野菜とか絨毯を作って持っていきましょう♪」
「あー、いいかもね」
「む、どうしたアトレオン殿」
ザミールへはまたお礼をしようと親子で話していた横で、アトレオンがザミールの移動する姿をじっと見ていた。バーリオが声をかけると、いつもの笑みが不思議そうな顔になっていた。
「彼、ザミールさんでしたっけ? クリニヒト王国の商人で間違いない?」
「ああ。私も店には良くいくし、彼らも世話になっている」
「ふむ……」
「そういえば誰かに似ていると言っていましたね?」
ユリが尋ねるとアトレオンは頷いた。
「そうなんだよ。だけどあれから十年以上は経っているし、気のせいかも」
「友達だったんですか?」
「そう。小さい頃はソルと僕、侯爵家であるセルトス家のミルザという奴が居たんだ。同い年だったから二十四歳のはずだ」
「そうなのですね。しかし、結構前から商家があったはず……」
「そっか。勘違いか。優しい奴だったし、もう一度会いたいと思っているんだけどねえ」
「どうしていなくなったんですか?」
「……セルトス家の次男だったんだけど、後妻と仲が悪くて出て行ったんだ」
僕を頼ってくれたら良かったのにとアトレオンは困った顔で笑い、町の案内へと歩き出した。
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