最強魔族の俺が最弱の女勇者を鍛えるワケ ~魔王軍二番手の冥王は人間界でもSランク冒険者のようです~

八神 凪

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第七章:荒れる王都

その113:馴染む……実に馴染んでるぞ

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 「それで、ヴァルカンさんとメモリーさんはザガムさんとどういったお友達なんですか?」
 
 なんだかんだと大人数になった夕飯。
 特に面倒が増えたことを気にせず用意してくれたルックネスに感謝しつつ食事を勧めていると不意にファムがそんなことを言い出した。

 「ああん? そりゃお前同じ【お――】」
 「……」
 「うおおお!? ナイフを投げて来るんじゃねえザガム!」
 「余計なことは言うな」
 
 そこでハッとしたヴァルカンは、

 「む、昔からのライバルだ、喧嘩……と、友達ってやつだな」
 「背中がかゆいから止めろ」
 「どうすりゃいいんだよ!?」
 「仲がいいんですねー」

 こいつの立場からいくと【炎王】であることをバラせばいいのだが、アホなので言うことを聞いてくれる。ありがたいことだ。
 そこで果実を食べながらメモリーが口を開く。

 「まあ、同じ領地にいる友人ってところよ」
 「へえ、大魔王に潰された領地なんですよね、無事でよかったです」
 「まあねー。あ、このイチジク美味しい」

 メモリーも当たり障りことを言い、ファムが納得しているとルーンベルとイスラが白い目を向けて言う。

 「でもアレなんでしょう?」
 「うん、アレでしょ」
 「ああ、そこの二人は知っているのね?」
 「まあな」
 「え? え? なんです?」
 「いいから食え、美味いぞ」
 「雑じゃないですか!?」

 そんなやり取りの中で、大人しく酒を飲んでいたクリフが一息ついた。
 
 「それにしても、グェラ神聖国に行ったと思ったらおなごが一人増えているとは、ザガムも隅におけんな」
 「そうだよね、馬車を返しに来た時イスラお姉ちゃんが居てびっくりしたもん」
 
 コギーが笑顔でイスラの方を見ると、イスラは得意気にポテトサラダを口に含みながら俺達を見る。

 「まあ、成り行きですけどねえ。嫁になるのはまた別の話……ザガムさんがわたしを満足させることが出来れば考えるつもりです!」
 「うわあ、エッチなのね……嫌いじゃないけど」
 「ちがっ!? メモリーさん、違いますよ! お金とかちやほやとかそういう部分ですよ!? というかその特盛りおっぱいをこれ見よがしにテーブルに乗せるな! 殺されたいんですか!?」
 「おおー、怒った」

 「どういうこと?」
 「んー。コギーはまだ知らなくていいかのう」
 「ガキにはまだはええよ」
 「ガキじゃないよ、コギーだよ!」
 「ああ、はいはい」
 「トランプ弱いくせにー」
 「んだと!? なら後で勝負だ!」
 「いいよ!」
 
 賑やかな食事だ。
 というかまさか【王】を囲んで食事をするとは、向こうにいたころは考えられなかったな。
 特にヴァルカンはいつも突っかかって来た。……ま、俺もメギストスに突っかかるので似たようなものか。

 そんな調子で食事が終わり、ファム達は風呂へ。
 残された俺達【王】はリビングでゆっくり酒を飲みながら話を続けていた。

 「……くっ……あのガキ……あっち向いてホイもつええのか……」
 「あれは俺も勝てん、諦めろ。さて、ではそろそろ殺りあうか?」
 「ふん、嫁が出来て屋敷でまったりしていて心配したが、力は衰えていないようだな?」
 「……」
 「当然だ。メギストスが言うには、俺に『感情』が戻ればさらに強くなるらしいぞ」
 「マジかよ!? ……だが、それもおもしれえな。いつ強くなる?」

 ヴァルカンがそんなことを言い、俺が目を細めて見る。
 
 「そりゃお前、まだ強くなるなら最強になった状態を倒さないと意味が無いだろうが」
 「いや、そもそもお前は俺に勝ったことがないだろう。俺も早いところ撃退したい、戦うぞ」
 「うるせえ。チッ、ならやるか」
 
 メモリーはどうすると尋ねようとしたところでリビングに飛び込んでくる人影があった。

 「ヴァルカン兄ちゃん、勝負よ!」
 「おお、ガキンちょか。……まだこいつらが起きてるんだろ? なら、寝た後に戦うぞ」
 「おい、ヴァルカン! ……どういうことだ?」

 コギーに催促されテーブルに移動するとファムやルーンベルも帰ってきた。
 俺が肩を竦めていると、メモリーが小声で俺に言う。

 「ま、あの馬鹿も空気は読めるってことよー。流石に人間を巻き込むような戦いはメギストス様が怒るし」
 「ふん、俺はいいのか」
 「あんたは大魔王様を倒そうとしているからでしょう。ねえ、どうしてそこまで目の敵にするのよ。領地なんて人間のを奪わなくてもいいでしょうに」
 「魔族の発展のために――」

 俺が反応すると、メモリーが冷ややかな目と不敵な口元を見せる。

 「誰も頼んでないじゃない。あんたがそれをする理由は勝手にすればいいけど、魔族達をダシに使うのは止めたら? 誰かに頼まれたの?」
 「……いや」

 厳しい言い方だが、確かに頼まれては居ない。
 だが、もっと領地が広がればあの薄暗い地域から出れば変わるのではないかと――

 (魔族の方が強いのだ、人間は支配されるべき存在だろう?)

 「それは……。いや、今のは誰だ?」
 「なに、大丈夫ザガム?」
 「なんでもない。ヴァルカンがダメならお前がやるか?」
 「フフ、私は後よ? ヴァルカンはどうで勝てないでしょうけど、疲弊したあなたなら勝てる……戦いは頭を使わなきゃ」
 「メギストスはいいのか?」
 「まあ、ヴァルカンに無理やり連れてこられただけだから別に―。あ、ルーンベル、ポウカーやりましょお酒飲みながら♪」
 「オッケー。……てかあんた本当に【王】なの?」

 メモリーは果実酒を所望しながらルーンベルと勝負を始める。

 「まあ、騒がれないのは助かるが。いや、使えるか……?」
 
 ヴァルカンもメモリーも俺ほど強くはないが、訓練には最適だ。
 ファムを強化するのにメモリー相手は面白いかもしれん――
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