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その70 ムーンライト
しおりを挟む――夕食を終えて山登りの疲れを癒しながら山頂で談笑をしつつ俺達はムーンライトが採れる石が照らされるのをじっと待っていた。
しかし月が頂点に達した瞬間と言うのは夜中に該当するので黛やネーラ、フローレ達はすでにテントで寝入り、俺もうとうとしていた。
あ、これ寝るなと思った瞬間――
「来たぁぁぁぁぁ!」
「みゅー!?」
「みゃぁぁ!?」
「うおおおお!?」
急にグランガスさんの大声が山にこだまし、子ネコ達がびっくりして俺の下にやってきて粗相をした。
「おお、怖かったな……ほら、お尻を見せろ拭き取ってやる」
「みゅー……」
「みゃみゃ!」
「こら、キサラギ暴れるな」
驚いたショックのせいかキサラギが少し鳴き声が変わった気がする。それはさておき、子ネコを眠っている黛の懐へ入れて落ち着かせてやると、つるはしを持ったグランガスさんと数人のドワーフのいるところへ近づく。
「ふあ……グランガスさん、もしかしてムーンライトが?」
「うむ! 雲が無く純度の高いものが採れるぞ……多分!」
「いや、そんな不確定なことを力強く言われても……なにか手伝うか? オーガ達は周辺の警戒で近くに居ないから俺しか手伝えないけど」
すると若いドワーフが石を細かくしながら俺に言う。
「スミタカさんは待っていてください! 俺達の集落はスミタカさんのおかげで野菜が潤っています。ここで少しでも恩返しをしますので、お待ちを!」
「すでに僕たちの間ではスミタカは敬う存在だから仕方ありませんよ。さ、夜食を作りましょうか」
エルフの男もそんなことを言い、俺はとりあえず頬をかきながらグランガスさん達の作業が終わるのを座って待つ。
そして――
「――い、おい、スミタカ殿」
「ん、んん……? ふが……グランガスさん? あれ、俺は……寝てたのか……」
「うむ。ぐっすりじゃったわ。いや、それより、求めていたものが手に入ったぞ!」
その言葉に俺は眠気が飛び、グランガスさんに詰め寄ると歯を見せて笑いながら手に持っていた鉱石を見せてきた。
その石は白く、ほんのり輝いているように見える。角度を変えると黄色っぽくも見えるので不思議な石だと感嘆の息が出てしまう。
「こりゃ神々しいな……確かにこの杖に使えそうだ。というか適当に流していたけど、本当に神様の道具なのかねえ?」
「まあ精霊ってことならありそうだが、どうした? 神様信じていないのか?」
「俺の世界にはガチでそういう存在を信じている人も居ればそうでない人もいる。実際に見たことが無いからそんなもんだ」
「ふうん、俺達は神様に感謝しているけどなあ」
グランガスさんがそう言ったことに、俺はふと思っていることを口にする。
「ふうん、神様が居るならエルフやドワーフ達は人間に迫害されなかったんじゃないかなって俺は思うけどな。俺の両親が死んだときも、助かるか五分ってところだったけど結局亡くなっちまった。神様なんて俺達を助けてはくれないもんなんだよ」
「……」
「ん? どうしたんだグランガスさん、アホみたいに口を開けて……いてっ!?」
「やかましいわ。……そういう考え方もあるかと思っただけだ。なるほど、お主はこの世界に来るべくして来たのかもしれんな」
「どういうことだ?」
「いや、なんでもない。下山は体力を使うからしっかり寝よう」
「あ、ああ……」
グランガスさんは何故か優しい目をして俺を見た後、寝どこへ。気にはなったものの、眠気が限界が来ていたので黛の隣に横たわり眠りについた――
そこで俺は不思議なことに、両親の夢を見る。見慣れたふたりの、すでに懐かしいその姿を――
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