178 / 253
第七章:常闇と魔王の真実編
第百七十話 繋がる線
しおりを挟むレヴナントが俺の首を絞めたまま(ヘッドロック)語り出す。……何気に正体を現す前に比べて胸のボリュームが増している……
「私が300年前に召喚されたのは、アウロラの意向によるものみたい。というより、たまたま未来の世界にチャンネルが繋がった……そんな感じと聞いているわ。で、カケルさん」
「なんだ?」
レヴナントが俺を放し、上目づかいで聞いてくる。
「カケルさんはこの世界へ来るとき、アウロラから何かもらったわよね?」
「アウロラから……ああ、『回復魔王』のスキルとかのことか? 俺は回復魔法が欲しかったんだけどな……」
俺がぼやくと、レヴナントがニコリと笑い、人差し指を立てて言う。やっぱりこの顔……どこかで……
「そう、スキル。私達も送り込まれる前にスキルを貰ったの。エアモルベーゼと戦うことは決まっていたから、みんな戦闘系スキルをもらっていたの。そんな中、私がもらったスキルは二つ」
「二つ……やはりカッコいいスキルですよね?」
ティリアがぐっと拳を握り言うが、レヴナントは困った顔をして続ける。
「私は『不老不死』と『偽装』の二つを貰ったわ。あの時は破壊神と戦うなんて怖くて仕方なかった……死にたくないという思いから不老不死を選んだわ」
「ふむ……思い切った選択じゃが、破壊神を倒すにはこの上ないスキルじゃな。死なないのだからいつか必ず倒せるしのう」
「……そんないいものじゃ無かったけどね。痛みはあるし、腕を切断されたらきちんと治療しないと再生するわけじゃないし」
やけに生々しいが、もしかするとエアモルベーゼとの戦いは相当激しかったのかもしれない。すると今度はルルカが質問をする。
「それじゃあ『偽装』はどうして?」
「……言い方は悪いけど、万が一勝てなかった時のことを考えたから」
「どういうことだ?」
「さっきメリーヌさんも言っていたけど、私は死なない。もし負けてしまった場合、私以外は必ず消える。だけど、鍛え上げることさえできればきっと倒すことができる……そう考えて、元の姿を隠し通せる能力が欲しかったの。まあ、あまり元の姿で旅をしたくないってのもあったけど」
「光の勇者にしてはネガティブな……」
リファが呆れたように言うと、レヴナントは肩を竦めて反論する。
「平和な時代に生きている学生がいきなり『破壊神を倒せ』なんてゲームみたいなこと出来る訳ないでしょ? もしリファさんが剣士でなくて、お姫様として魔物達を相手にできる? まして破壊神よ?」
「う、確かに……」
「生き延びるために、いつか帰れると信じて頑張ったのよ」
何故かドヤ顔でリファに勝ち誇るレヴナント。そこで俺はさっきの言葉で違和感を感じ、尋ねてみる。
「待てよ、平和な時代に生きている学生だったとすると、お前は俺と違って死んでからここに来たわけじゃないのか?」
俺が疑問に思った事を口にすると、レヴナントの表情が曇る。
「あ、うん……私は、私達は死んでからじゃないわ。カケルさんは死んでから、なの?」
「ああ。ダンプに轢かれてあえなく……だな。目が覚めたらアウロラが俺をどこかに落とそうとしていたから慌てて張り倒して説明させたが……」
「落とすのはよく分からないけど、そうなのね……やっぱりアウロラは……」
「どうした?」
「……カケルさん、スマホ持ってる?」
何かを警戒し出したレヴナントが俺にスマホを要求する。ポケットからスマホを取り出し、渡すと電源をOFFにした。
「?」
「これでもちょっと心配だけど……カケルさん、みんな。今から私が言うことはここにいる人間と魔王と呼ばれる者達以外に話してはダメよ?」
『いい?』と神妙な顔をして口に指を当てるので、俺達はコクリと頷いた。
「カケルさんを送り込んだアウロラは恐らく偽物。それもただの偽物じゃないわ。中身は……今、ヘルーガ教徒が封印を解いて回っている、エアモルベーゼ本人よ」
「んな……!?」
「そ、そんなはずはないじゃろ!? じゃ、じゃあ封印されているのは一体なんだと言うのじゃ!?」
珍しく師匠も慌てる。それほど、矛盾と荒唐無稽な話だからだ。しかし、レヴナントは確信しているらしく、俺の手を握ってから申し訳なさそうに告げてくる。
「……そしてカケルさんが死んだのは偶然じゃない……ね、私のこと、覚えてない?」
「いや、どこかで見た気がするんだけど……」
「ちょ、ちょっと! レヴナントさん急にどうしたの? カケルさんを口説くならまずボクを通してよね!」
ルルカが謎の主張をするが、ティリアとリファに抑えられていた。じっと顔を見るが、やはり思い出せない。
「カケルさんにとって私は敵も同じだったかもしれないから記憶から消しているのかも……なら……私の名前が分かれば思い出せるかも」
「名前……」
俺が間抜けな呟きをすると同時に、レヴナントは手を強く握って決意したように言う。
「私の名前は月島……『月島 芙蓉」
「月島……? そんな知り合い俺には……」
名前を聞いても分からない……と思っていたが、俺はあることを思い出す。
「月島……月島だと……!? 俺が殺した教祖の男、そいつが確か月島って名前だった……!」
「何だって!? じゃ、じゃあもしかしてレヴナントは……!」
俺の過去を知っているクロウが椅子から立ち上がって叫ぶ。そうだ、この子は……芙蓉は……!
「教祖……月島 影人の妹……!?」
俺が叫ぶと、レヴナント……芙蓉は寂しい笑いを見せながら……涙を流した。
「久しぶりね。あの人を殺してくれたあの日から、私は私になれたんだよ」
◆ ◇ ◆
<あの世>
『……スマホの電源が落ちた? いや、落とされたかしら。まさか、あの盗賊娘が元・光の勇者だったなんてね』
ヘッドセットを取りながら、トロピカルジュースに口をつけるアウロラ。パチンと指を鳴らしてビーチチェアを出して寝そべる。
『これくらいの力じゃこれが限度ね。あの娘、余計なことを言いそうだけど……ま、どっちにしてもカケルさん達は封印を解かざるを得ないだろうし、私の計画は変わらないわ。全ての力を取り戻したら今度は必ず始末してみせる』
アウロラはズズズ……と、ジュースを飲みきってから上半身を起こす。
『……そろそろあの男にも動いてもらいましょうか。そのためにカケルさんをこの世界に呼んだのだから……』
アウロラは再度ヘッドセットを取り、どこかへ通信を繋げた――
10
あなたにおすすめの小説
リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~
灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」
魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。
彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。
遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。
歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか?
己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。
そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。
そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。
例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。
過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る!
異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕!
――なろう・カクヨムでも連載中――
ReBirth 上位世界から下位世界へ
小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは――
※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。
1~4巻発売中です。
Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜
橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?
うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました
akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」
帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。
謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。
しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。
勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!?
転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。
※9月16日
タイトル変更致しました。
前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。
仲間を強くして無双していく話です。
『小説家になろう』様でも公開しています。
美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます
網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。
異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。
宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。
セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。
チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~
黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」
女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。
この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。
『勇者道化師ベルキッド、追放される』
『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。
異世界に転生したら?(改)
まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。
そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。
物語はまさに、その時に起きる!
横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。
そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。
◇
5年前の作品の改稿板になります。
少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。
生暖かい目で見て下されば幸いです。
老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!
菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは
「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。
同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと
アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう
最初の武器は木の棒!?
そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。
何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら
困難に立ち向かっていく。
チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!
異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。
話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい!
****** 完結まで必ず続けます *****
****** 毎日更新もします *****
他サイトへ重複投稿しています!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる