俺のスキルが回復魔『法』じゃなくて、回復魔『王』なんですけど?

八神 凪

文字の大きさ
186 / 253
第七章:常闇と魔王の真実編

第百七十八話 カケルの疑念

しおりを挟む

 「ほう、見事なドラゴンじゃ。小僧が飼っておるのか?」

 「いや、そう言う訳じゃないんだが……おいファライディ、立派だってよ」

 【ガオル(そいつはどうも! って、男が増えましたね……)】

 外に出てファライディと合流すると、爺さんとベアグラートを見て割とハッキリ不満を表した。ブレないやつである。

 「ドラゴンさん、いっぱい乗せられるかな?」

 「いけるか? ファライディ?」

 アニスがコテンと首を傾げながら、そう言うと、ファライディは咆哮をあげた。

 【ガオルルル! (そりゃもうお嬢さんのためならどんとこいでさぁ! ささ、乗った乗った!)】

 本当にブレないやつである……

 総計10人+一匹がファライディの背に乗り、大きく羽ばたきだす。若干ゆっくりだが……

 「やっぱきついんじゃないか?」

 【ガ、ガル……! (だ、大丈夫でさあ! ちょっとバランスが悪いからおちねぇでくだせぇよ!)】

 「最悪、私は飛びますから言ってくださいね」

 ティリアがポンポンと背中を撫でると、ファライディは力強く羽ばたき、浮きはじめる。眼下ではベアグラートと一緒に神殿を守っていた狼達が遠吠えをし、見送ってくれていた。


 ◆ ◇ ◆


 <ゼンゼの城>


 「戻ったぞ、皆の者!!」

 ファライディが最初にいた屋上へ再び着陸し、ベアグラートを先頭に城の広間へと足を運ぶ。ベアグラートが大声をあげると、近くに居た者がわっと集まってくる。あるものは人を呼びにと、わちゃくちゃな状況になり、獣人達が泣いたり笑ったり、抱き合ったりしている中、ドタドタとドルバックさんが広間へと駆けつけてきた。

 「王! ご無事でしたか! 魔王様方と一緒と言うことは……」

 「うむ。彼等に助けられた」

 「やはりそうでしたか! 城を奪還しただけでなく、王まで救出していただけるとは……わおん……」

 おいおいと泣きはじめるドルバッグさん。泣き方は犬なんだな……

 「ベアグラートを見つけたのはたまたまだし、そんなに気にしなくていいよ。封印も何とかなったし、これでこの国は大丈夫だろう」

 俺が言うと、芙蓉がぴょんと前に出て言葉を続ける。

 「そうね。ヘルーガ教ももう用は無いだろうし、来ないとは思うわ。念のため、普段見かけない人には注意してね?」

 「初代がそう言うならそうしよう。今回は俺の油断が招いたこと、皆苦しい思いをさせてすまなかった」

 ベアグラートが頭を下げる。きちんと反省でき、部下たちに頭を下げることができるのはできる上司だと思った。城の誰もが恨みごとなど言わず「助かって良かったとしましょう」と、笑っていた。

 「獣人は気の良い者が多いのう。人間はちと欲深くていかんわい」

 師匠がそう呟くと、リファが思い出したかのように口を開いた。

 「そうだ、あの捕えた者達はどうするんだ? 基本的に王の一存で決めていいことになっているが」

 「少しあいつらには聞きたいことがある。特にギルドラにな。それと、今度こそティリアに『真実の水晶』を使ってもらおうと思う」

 「え? そういえば使う使うって言ってて、全然暇がありませんでしたね! もちろん大丈夫ですよ!」

 「……」

 ティリアはどんと(無い)胸を叩いて、ドヤ顔だった。何故かいつも使おうとすると何かに巻き込まれて使えていなかったからだ。芙蓉は特に何も言わず、俺の顔をじっと見ていた。……何だ?

 <あれじゃないですか、フェロモン! きっと芙蓉さんもカケルさんに惚れたのでは?>

 いや、それは無いと思う……向こうの世界でもあまり顔を合わせていないし、どちらかといえばあの教祖に対する同盟者みたいなものだと思うんだよ。

 <ハーレムの夢が……>

 何故お前がそんなことを……


 ナルレアのどうでもいい呟きはさておき、俺はドルバッグさんに、封印の洞窟にヘルーガ教徒が数人目を回していることを伝え、引っ張ってきて欲しいことを告げる。ロープで縛り、狼達が見張っているのでそうそう逃げられないと思うが、迷惑をかけてくれた相応の礼はせねばなるまい?
 
 そして作戦会議室なる広めの部屋を借り、俺とクロウ、ベアグラートと爺さんで牢へ赴き、捕えたイグニスタ達やヘルーガ教の面々をおしこめ床に座らせる。片腕を失くしたイグニスタが若干痛々しいが、これも自業自得だろう。まあ、ちょっとだけ救済してやろうと思うが……

 「さて、諸君。気分はどうだ? 少しは反省したか?」

 俺が前へ出てそう告げると、早速イグニスタが悪態をついた。

 「ケッ……てめえの顔を見て最悪になったぜ」

 「チャーさん」

 「承知」

 バリバリバリ!

 「ぎゃぁぁ!? く、クソ猫が……! あ、こら!? 止めやがれ!?」

 「チャーさん、止め」

 「フシャァァァ! ……了解した」

 「ひぃ!?」

 顔が軽くスプラッタ化したイグニスタを見て、騎士達が引いた。そしてギルドラが俺に尋ねてくる。

 「……そこの爺さんはまさか、破壊神の力ではないか……?」

 「お、それに気付くのか? そう、お前達が見つけてくれた封印は間違いなく本物だった。お前達の悲願だった封印解除を代わりにやっておいたから」

 「お、おう……あれ?」

 動揺するギルドラに俺が続けて話をする。

 「ちょっと確かめたいことがあってな。ギルドラ、あんた見たところ幹部……ガリウスと同じか近いクラスだと思うがあっているか?」

 「む……ガリウス大司教を知っているのか。そうだな、私は一つ下だがさほど階級に差はない。それがどうした?」

 「幹部クラスなら分かるかと思ってな。エアモルベーゼが封印されたのは300年前だろ? その間封印を解こうとしたヤツは居なかったのか? 解こうとしなかったという前提でもう一つ。どうして今になって封印を解こうとしているんだ? これは芙蓉にも聞いておきたいとこなんだが……」

 俺がギルドラに質問しつつ、芙蓉にも尋ねる。するとクロウがポンと手を打って気付いた。

 「あ、そう言われれば確かに。芙蓉さんが封印して、さらに300年生きているなら、そういう騒動がどこかであってもおかしくないのか。僕もデヴァイン教に居た時は封印の話までは聞いていないね」

 それっぽい書物はあった。ちぐはぐだけど関する話もあった。ピースはバラバラだが、空白の期間はいったいなんなのか? それを知る必要があると思ったのだ。するとギルドラがポツリと口を開いた。

 「……封印を解くつもりがあるなら話してやろう……我等ヘルーガ教は基本的に差別や追放、捨てられた者達が集まってできた宗教で、300年前エアモルベーゼ様が封印された時の戦いにも協力したとおとぎ話として代々語り継がれている。しかし、封印されたエアモルベーゼ様を助ける方法は伝わっていなかったのだ。そんな時――」

 「エアモルベーゼ様から神託があったの」

 「アニス……!?」

 いいところをアニスが奪った。

 神託……そういえばそんなことを誰かが言ってたような……? 俺がそんなことを考えていると、芙蓉がふうと息を吐いて語り出した。

 「そう。ヘルーガ教は封印の解除までは知らない。というか、上層部は私達がほとんど倒したから知る人は居ないの。それに規模も相当小さくなっていたし、一応私が目を光らせていたからその辺りは大丈夫だったのよ。ほら、私って変装できるから」

 なるほど、300年生きていたのは伊達じゃないってことか。しかし、その後に『ただ』と続いた。

 「私達が『魔王』と呼ばれるようになったのは私も分からない。とりあえず今は神託について教えてくれる? アニスちゃん」

 「うん」

 アニスが頷き、ギルドラが「あれ? 私は?」と困惑していた。

 そんなことよりエアモルベーゼの神託とは……?
しおりを挟む
感想 586

あなたにおすすめの小説

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

リヴァイヴ・ヒーロー ~異世界転生に侵略された世界に、英雄は再び現れる~

灰色キャット
ファンタジー
「君に今の時代に生まれ変わって欲しいんだ」 魔物の王を討伐した古き英雄グレリア・ファルトは死後、突然白い世界に呼び出され、神にそう言われてしまった。 彼は生まれ変わるという言葉に孫の言葉を思い出し、新しい人生を生きることを決意した。 遥か昔に生きていた世界がどう変わっているか、発展しているか期待をしながら700年後の時代に転生した彼を待ち受けていたのは……『英雄召喚』と呼ばれる魔法でやってきた異世界人の手によって破壊され発展した――変貌した世界だった。 歴史すら捻じ曲げられた世界で、グレリアは何を求め、知り……世界を生きるのだろうか? 己の心のままに生き、今を知るために、彼は再び歴史を紡ぐ。 そして……主人公はもう一人――『勇者』、『英雄』の定義すら薄くなった世界でそれらに憧れ、近づきたいと願う少年、セイル・シルドニアは学園での入学試験で一人の男と出会う。 そのことをきっかけにしてセイルは本当の意味で『勇者』というものを考え、『英雄』と呼ばれる存在になるためにもがき、苦しむことになるだろう。 例えどんな困難な道であっても、光が照らす道へと……己の力で進むと誓った、その限りを尽くして。 過去の英雄と現代の英雄(の卵)が交差し、歴史を作る! 異世界転生型アンチ異世界転生ファンタジー、ここに開幕! ――なろう・カクヨムでも連載中――

Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

美女エルフの異世界道具屋で宝石職人してます

網野ホウ
ファンタジー
小説家になろうで先行投稿してます。 異世界から飛ばされてきた美しいエルフのセレナ=ミッフィール。彼女がその先で出会った人物は、石の力を見分けることが出来る宝石職人。 宝石職人でありながら法具店の店主の役職に就いている彼の力を借りて、一緒に故郷へ帰還できた彼女は彼と一緒に自分の店を思いつく。 セレナや冒険者である客達に振り回されながらも、その力を大いに発揮して宝石職人として活躍していく物語。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す

紅月シン
ファンタジー
 七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。  才能限界0。  それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。  レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。  つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。  だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。  その結果として実家の公爵家を追放されたことも。  同日に前世の記憶を思い出したことも。  一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。  その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。  スキル。  そして、自らのスキルである限界突破。  やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。 ※小説家になろう様にも投稿しています

チートツール×フールライフ!~女神から貰った能力で勇者選抜されたので頑張ってラスダン前まで来たら勇者にパーティ追放されたので復讐します~

黒片大豆
ファンタジー
「お前、追放な。田舎に帰ってゆっくりしてろ」 女神の信託を受け、勇者のひとりとして迎えられた『アイサック=ベルキッド』。 この日、勇者リーダーにより追放が宣告され、そのゴシップニュースは箝口令解除を待って、世界中にバラまかれることとなった。 『勇者道化師ベルキッド、追放される』 『サック』は田舎への帰り道、野党に襲われる少女『二オーレ』を助け、お礼に施しを受ける。しかしその家族には大きな秘密があり、サックの今後の運命を左右することとなった。二オーレとの出会いにより、新たに『女神への復讐』の選択肢が生まれたサックは、女神へのコンタクト方法を探る旅に目的を変更し、その道中、ゴシップ記事を飛ばした記者や、暗殺者の少女、元勇者の同僚との出会いを重ね、魔王との決戦時に女神が現れることを知る。そして一度は追放された身でありながら、彼は元仲間たちの元へむかう。本気で女神を一発ぶん殴る──ただそれだけのために。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

処理中です...