転生のお供にぜひニワトリと一緒に異世界を救ってくれって頼まれたけどパーティを追い出されたので神を殴りたい

八神 凪

文字の大きさ
2 / 10
始まりはいつも唐突

EX-2 屋敷内部の探索

しおりを挟む
 「……静かね……」

 「コケッコ」

 廊下に出たルーナとベティちゃん、そして狼親子。内部はよく見かける貴族の屋敷のようだが、静か過ぎると辺りを見回す。
 ベティちゃんがこっちだとルーナの突いて歩き出す。

 「ガウ」

 「わん!」「きゅんきゅん」

 普段なら餌候補のニワトリだが、ベティちゃんのただならぬ気配に狼達は一目を置いていた。先導はベティちゃんに任せ、ルーナを守るように一緒に歩くレジナ達。

 「うう……明るいんだけど不気味ね……レイドさんとかフレーレもどこかに居ないかしら……」

 ルーナの居た部屋は二階の角。そこから長い廊下を歩いているが、どこかに到着する気配が無い。途中の部屋には鍵がかかっていて、入ることは出来なかった。何度か十字路やT字路があり、そこをテクテクとベティちゃんが歩いていく。
 ちゃんと前へ進んでいるか不安になるが、ベティちゃんが迷いなく歩いていくのでそれに着いて行くしかなかった。

 「コケコ!」
 「……ガウ!」
 
 一羽と一匹が一気に駆け出し、角を曲がったのでルーナも慌てて駆け出した。

 「どうしたのレジナ!」

 ルーナが追いつくと、天井が高いホールのような場所に出ていた。一階を見ると正面玄関のようなものがありルーナの目が輝く。

 「おお! でかしたわベティちゃん、レジナ! って階段が……!?」

 ルーナが階段へ近づくと何と階段が途中から真っ二つになっており、無くなっていた。下までの高さはそれなりにあるため、飛び降りるかどうか思案していた。

 「うーん……レジナ達ならいけると思うけど……」

 「コケー」

 下を見ながら腕を組んで考えているとベティちゃんが自分なら飛べる、みたいなジェスチャーをしていた。
 ルーナが何か一階にロープが無いか探してもらおうと頼もうとした時、どこからか話し声が聞こえてきた……。


 ---------------------------------------------------


 「ふむ……怪しい所はない、か。どちらかと言えば怪しいのは……」

 サクヤは後ろを歩く綾香をチラリと見て呟く。だがそれも無理は無い、先程から綾香はずっとゲームのコントローラーに向かって喋りかけているからだ

 「ねえ、ローラ! 聞こえていたら返事をして! 陽でもいいわ、むしろそっちがいい。フィリアは……もってないからダメか……ローラ!」

 「……なあ、さっきから何をしているんだ? それってプレイドリーム……PD4のコントローラーじゃなかったっけ?」

 「ん? ああ、そうよ。異世界での私の武器なの。これ端末になっていて神様達と交信ができたり、オペレータが入っていたりするの。このさいルア様でもいいからでてくださいー!」

 「コントローラが武器? なんだそりゃ……って、今ルアって言ったか!? ルアって女神の赤い髪?」

 「何か順番がおかしいけど……そうね、確かに髪は赤かったわ。知ってるの?」

 「ああ、俺が異世界に行くよう手配したのがルアなんだよ。まさか知ってるやつがいるとは……」

 サクヤが呻くように呟くと、綾香がコントローラーに声をかけるのを止めて口を開く。

 「あたし達はとある神様が、それこそルアさん達が作った世界に刺客を送り込んで、なんだっけ……そう、主人公を殺して世界を破滅させようとしているのを食い止めるためにあっちこっちに派遣されているの。ルア様が関わっているならもしかしたらいつか会えるかもしれないわね?」

 「世界の破滅か。俺もそういうのと戦ったけど主人公って居るんだな。俺よりもハードかもしれないな、そっちの方が」

 「まあ一応終わったら褒美をくれるらしいから頑張ってはいるのよ。それとその悪い神があたしに目をつけてねー。負けたらそいつのものになるのよ」

 「マジか。知らない顔じゃないし、手助けできればいいんだけどな。ルアにあったら聞いておいてくれ」

 「分かった、ありがと……っと、広場に出たわね」

 綾香が指差した先には正面玄関らしき扉が見えていた。サクヤ達は一階の奥から適当に歩いてきたのだがなんとなく辿り着いた様だ。

 「ん? どっかでベティちゃんの鳴き声がするな……? どこだ?」
 
 サクヤがキョロキョロと見渡すと、頭上から……。

 ---------------------------------------------------

 「見事に何も無いな」

 レイドが前を歩きその後ろをクリスが歩く。こちらも手がかりが無く歩くが、出てきた場所はやはり似たような廊下だった。

 「魔物も居ないし、俺達がここに連れてこられた目的が分からんな……おいオルコス! もし見てたら何か言え!」

 クリスは叫ぶがいつもならこういう時スイッチが入るのに、今はまるで反応が無かった。

 「……あいつのせいでもないのか? ん? このドア、開くぞ」

 「本当か! ……どうする? 向こうへ行ってみるか?」

 「そうだな。先に入るのは俺でいい、身体は丈夫だからな」

 「どういうことだ?」

 それを聞いたレイドは眉をひそめてからクリスへその意図を尋ねていた。さっきも身体が丈夫、とは聞いたが病気をしにくいみたいなものだと思っていたからだ。

 「文字通り身体が丈夫でな。剣とか鈍器、ドラゴンの渾身の蹴りでも俺は死なないんだ。俺は死んである男に報復をしたんだけどな……」

 「さっきのオルコス、とかいうヤツか? 神ならこっちの神に聞いて何とかしてもらう手もあるかもしれないな」

 「はは、その時は頼むよ……行くぞ?」

 コクリと頷き、レイドは武器を構える。クリスが扉を開けながら一気に躍り出ると、すぐにレイドが駆け込む!
 
 グルルルル……

 「チッ! ハズレか! 頼んだ!」

 部屋の中には大きなハンマーを持った鬼、オーガが居た。それも三匹。クリス達を見るや、急に襲い掛かってきたのだ!

 「グワオゥ!!」

 「危ない!?」

 レイドが叫ぶが遅かった。クリスの後頭部にオーガのハンマーが突き刺さり、レイドは慌てて斬りかかる。
 
 「いや、だから大丈夫なんだって。よっと!」

 「グオゥ!?」

 そのままレイドと入れ違いになるクリス。オーガは確かに頭を砕いたはず、と、自分のハンマーを見て驚きを隠せなかった。そしてその隙を見逃さないレイドがオーガの眉間から顎にかけて切り裂いていた。

 「次!」

 トドメを刺した感触があり、姿を見ることなく目の前のオーガは絶命したと判断して次のオーガへと向かう。決着はすぐについた。

 「すげぇな、流石は冒険者ってやつか?」

 「これで飯を食ってるわけだからな。それにしても……平気、なのか……?」

 「ああ、問題ない。この通りだ」

 コキコキと首を鳴らして無事をアピールするクリス。レイドは呆れ顔でそれを見ると噴き出した。

 「フッ、その頑丈さがあればあの時の戦いも楽だったかもしれないな」

 「あの時……? お、オーガが消えていく……」

 戦いについて尋ねようとしたが、オーガ達が消えたことによりそちらに意識が向いた。オーガが消えた後の床に光るものを発見してそれを拾う。

 「カギか……」

 「一応持って行くか。何か手がかりになるかもしれん」

 他の扉を開けるものかもしれないとオーガの部屋を後にした二人だった。

 その頃、陽とフレーレはというと……。

 「何も無いのが怪しいけどな……」

 「とりあえず行ける所まで行きましょう。いざとなれば屋敷を破壊して……」

 「物騒だな!? 綾香といい勝負!?」

 何故かやる気満々のフレーレにひっかきまわされていたのだった。
しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

異世界転生してしまった。どうせ死ぬのに。

あんど もあ
ファンタジー
好きな人と結婚して初めてのクリスマスに事故で亡くなった私。異世界に転生したけど、どうせ死ぬなら幸せになんてなりたくない。そう思って生きてきたのだけど……。

処理中です...