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第五十一話
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「そろそろ終わるか……!」
「聖女様、後は我々が!」
オーガとの戦闘はこちらに優勢で残り三体。このままこいつらを倒せばこの依頼は終了で、後は祝杯でもあげてお疲れさんってところだ。
「エルゴ、そっちで一体頼む。二体は俺とノルムで殺る」
「……! 任せろ……!」
イフリーにそう言われてエルゴさんが前傾姿勢で足を踏み込み前へ出る。中々さまになっていて、いつもの情けない感じとは打って変わってカッコいい。
「おー、これで終わるかな?」
「こら、言葉遣いに気を付けてください。誰が聞いているか分かりませんよ」
「大丈夫よ……多分」
「テキトーだなあー」
あたし達はそんな話をしながら敵から目を離さずに行く末を確認する。エルゴさんに次いで冒険者達が取り囲むようにオーガへ仕掛ける。
イフリーの方は一体を斬り伏せていたのであっちはもう一体。これで終わりになるかと安心していた。
そこであたしは背筋に寒いものが走り、嫌な気配を感じた。これは冒険者の勘というやつだろうか?
気配を辿ると青い肌をしたオーガがさらに二体、目に入った。大木を構えてエルゴさん達のパーティへと突っ込んでいく。
「まずい……!?」
「どうしたのー?」
「エルゴさん達、逃げろ! ……チッ、聞こえないか!」
「あ、お待ちなさい!」
シルファー達は気づいていないらしく、あたしが走り出したことに困惑していた。だけど、事態は一刻を争うため説明している暇はない。
「ガァァァァ!」
「な、ブルーオーガ!?」
「そこ!」
青いオーガ、そのまんまブルーオーガって名前だけど通常の赤茶けた通常のオーガより力が強い。いわゆる上位種というやつなのだ。
ホブゴブリンと戦ったことが記憶に新しいけどあいつみたいな感じだな。
それはともかく、隠していたダガーを抜いてブルーオーガの足元へ投げつけた。
「グォ……!」
「せ、聖女様、凄い精度だ……!?」
狙い通りブルーオーガの足止めが出来た。こっちに気を取られたのが運のつき――
「ゴガァァァ!」
「うわ、みんな避けて!」
「うおおおお!?」
瞬間、二体目のブルーオーガが手にしていた岩石を投げつけて来た。あたしが声をかけると、冒険者達はその場を一斉に飛びのいた。
「グガァァ!」
「くっ……!」
「エルゴさん!」
「こ、こっちは俺一人でやる! みんなはイフリーが援護に来るまで牽制をしてくれ!」
「わかりました!」
最初に戦っていたオーガを一人で戦うとエルゴさんは冷や汗をかきながら告げる。ブルーオーガ二体は流石に無理だと判断したみたい。
その判断は間違っておらず、この戦力なら冒険者達はブルーオーガの牽制に回ってイフリー達に期待したい。
だけどその前に頼めるところがあるので、あたしは岩石を投げたブルーオーガにファイアアローの魔法を放ちながら声を上げた。
「シルファー、ディーネ! 冒険者達の加勢を!」
「……! う、うん!」
「仕方ありませんね」
あたしの動きに呆然としていた精霊二人を呼んで手助けを促した。この二人が参戦すればブルーオーガならなんとでもなるはず。
「よーっし! 〈ウインドガード〉! これで一撃で死ぬことはないと思うよー」
「ありがとうございます!」
シルファーの防御魔法で冒険者達の守りが強固になり、正面からぶつかってもなんとかなりそうだ。
そのまま続けてディーネが両手を前に突き出して魔法を撃ち出した。
「〈アイスブロック〉!」
「グッ……!」
「フフフ、オーガがこの魔法を止めることはできないでしょう?」
ディーネは氷の塊をぶつける魔法を撃ち出し、大木を持ったブルーオーガを止めた。
致命傷にはならないけど、攻撃をする隙を作れたのは大きい。
そこで気づいた冒険者が側面から斬りかかっていった。
「たぁぁぁぁ!」
「ゴガァ!」
「くっ……硬い! 流石にやる……!」
「無理しないように! ……っと!」
ファイアアローを撃っていたあたしに岩石ブルーオーガは苛立ちながら突っ込んで来た。
連射しても突っ込んで来たってことは魔法耐性が高いか。
ブルーオーガとの戦いはこれが初めてなので聞いた知識のみ。それほど出てくる個体でもないから運が悪いと言えばそうかもしれないな。
「あんまり時間をかけていられないし、これで行くか」
「ガァァァァ!」
意外と素早く動きやがるな……! 岩を握ったまま太い腕を振り回してくる。シーフのあたしで少し余裕がある程度なので戦士なら厳しいと思う。
どうせこっちのダガーじゃダメージは取れないだろう。そう思って一気に距離を離す。
「悪いけどこいつでトドメだ! 〈エクスプロード〉!」
「あ!」
シルファーの焦った声が聞こえて来たけど、そのまま魔力を収束させて向かって来るブルーオーガへぶっ放した。そして轟音と共に白い閃光と熱が奔る。
「う、おおおおおおあ!?」
「せ、聖女様!?」
冒険者達が驚愕の声を上げるのが聞こえて来た。訓練の成果もあり、疲弊していないのでよく聞こえてくる。
「ガ……!?」
こちらを見ていたブルーオーガもぎょっとした顔をする。もちろん、先程まで居たはずの仲間が跡形もなく消えていたからに他ならない。
「……! 今だ!」
「ギャ――」
その隙を逃さず、大剣を持った冒険者の一人が背後から首を狙って一撃を振るう。
油断したブルーオーガは血を噴き出させながら膝をついてそのまま倒れ込んだ。
「はあ……はあ……や、やった……」
「エルゴさんは!」
あたしが振り返ると、ちょうどオーガの胸にバトルアクスが食い込んだところだった。こちらも血を流しながら仰向けに倒れ込んだ。
「ふう……な、なんとか……」
「いやあ、凄かったねー。というかエクスプロードを使って、大丈夫だったのー?」
「ぜーんぜん平気だよ。やっぱり訓練したらだいぶ変わるな」
「いえ……あなたが特殊なだけですけど……」
ディーネが呆れた声であたしを見ながら言う。ちょっとくらいじゃここまで魔力量は上がらないのだとか。
「うおおおお! 倒した……! オーガ達を倒したぞ!」
「聖女様達が居てくれたおかげだ……!」
「それでも……俺達も頑張ったぜ……ふう……」
あたし達をよそに冒険者達はハイタッチをしたり、肩を組んだりと喜び合っていた。
格下と言われていたらしいし、オーガ退治はかなりの活躍だと思う。
「あ、そういやイフリーとノルム爺さんは?」
「そういえばオーガ二体と戦っている割には長いねー」
そう思ってシルファーと二人が向かったところへ行くと――
「「ああ!?」」
「ん? おお、アリアにシルファーじゃねえか。いやあ、オーガ二体だと思ったらブルーオーガが出て来てよ。ちと手間取った」
「まあ、これくらいは余裕じゃがな。そっちはどうじゃ」
「ああ、うん。なんとか……」
あたしはそれだけ言うのが精一杯だった。なぜなら彼等の周囲にはブルーオーガの死体が七体もあったからである……
ま、ひとまずこれで片付いたかな?
「聖女様、後は我々が!」
オーガとの戦闘はこちらに優勢で残り三体。このままこいつらを倒せばこの依頼は終了で、後は祝杯でもあげてお疲れさんってところだ。
「エルゴ、そっちで一体頼む。二体は俺とノルムで殺る」
「……! 任せろ……!」
イフリーにそう言われてエルゴさんが前傾姿勢で足を踏み込み前へ出る。中々さまになっていて、いつもの情けない感じとは打って変わってカッコいい。
「おー、これで終わるかな?」
「こら、言葉遣いに気を付けてください。誰が聞いているか分かりませんよ」
「大丈夫よ……多分」
「テキトーだなあー」
あたし達はそんな話をしながら敵から目を離さずに行く末を確認する。エルゴさんに次いで冒険者達が取り囲むようにオーガへ仕掛ける。
イフリーの方は一体を斬り伏せていたのであっちはもう一体。これで終わりになるかと安心していた。
そこであたしは背筋に寒いものが走り、嫌な気配を感じた。これは冒険者の勘というやつだろうか?
気配を辿ると青い肌をしたオーガがさらに二体、目に入った。大木を構えてエルゴさん達のパーティへと突っ込んでいく。
「まずい……!?」
「どうしたのー?」
「エルゴさん達、逃げろ! ……チッ、聞こえないか!」
「あ、お待ちなさい!」
シルファー達は気づいていないらしく、あたしが走り出したことに困惑していた。だけど、事態は一刻を争うため説明している暇はない。
「ガァァァァ!」
「な、ブルーオーガ!?」
「そこ!」
青いオーガ、そのまんまブルーオーガって名前だけど通常の赤茶けた通常のオーガより力が強い。いわゆる上位種というやつなのだ。
ホブゴブリンと戦ったことが記憶に新しいけどあいつみたいな感じだな。
それはともかく、隠していたダガーを抜いてブルーオーガの足元へ投げつけた。
「グォ……!」
「せ、聖女様、凄い精度だ……!?」
狙い通りブルーオーガの足止めが出来た。こっちに気を取られたのが運のつき――
「ゴガァァァ!」
「うわ、みんな避けて!」
「うおおおお!?」
瞬間、二体目のブルーオーガが手にしていた岩石を投げつけて来た。あたしが声をかけると、冒険者達はその場を一斉に飛びのいた。
「グガァァ!」
「くっ……!」
「エルゴさん!」
「こ、こっちは俺一人でやる! みんなはイフリーが援護に来るまで牽制をしてくれ!」
「わかりました!」
最初に戦っていたオーガを一人で戦うとエルゴさんは冷や汗をかきながら告げる。ブルーオーガ二体は流石に無理だと判断したみたい。
その判断は間違っておらず、この戦力なら冒険者達はブルーオーガの牽制に回ってイフリー達に期待したい。
だけどその前に頼めるところがあるので、あたしは岩石を投げたブルーオーガにファイアアローの魔法を放ちながら声を上げた。
「シルファー、ディーネ! 冒険者達の加勢を!」
「……! う、うん!」
「仕方ありませんね」
あたしの動きに呆然としていた精霊二人を呼んで手助けを促した。この二人が参戦すればブルーオーガならなんとでもなるはず。
「よーっし! 〈ウインドガード〉! これで一撃で死ぬことはないと思うよー」
「ありがとうございます!」
シルファーの防御魔法で冒険者達の守りが強固になり、正面からぶつかってもなんとかなりそうだ。
そのまま続けてディーネが両手を前に突き出して魔法を撃ち出した。
「〈アイスブロック〉!」
「グッ……!」
「フフフ、オーガがこの魔法を止めることはできないでしょう?」
ディーネは氷の塊をぶつける魔法を撃ち出し、大木を持ったブルーオーガを止めた。
致命傷にはならないけど、攻撃をする隙を作れたのは大きい。
そこで気づいた冒険者が側面から斬りかかっていった。
「たぁぁぁぁ!」
「ゴガァ!」
「くっ……硬い! 流石にやる……!」
「無理しないように! ……っと!」
ファイアアローを撃っていたあたしに岩石ブルーオーガは苛立ちながら突っ込んで来た。
連射しても突っ込んで来たってことは魔法耐性が高いか。
ブルーオーガとの戦いはこれが初めてなので聞いた知識のみ。それほど出てくる個体でもないから運が悪いと言えばそうかもしれないな。
「あんまり時間をかけていられないし、これで行くか」
「ガァァァァ!」
意外と素早く動きやがるな……! 岩を握ったまま太い腕を振り回してくる。シーフのあたしで少し余裕がある程度なので戦士なら厳しいと思う。
どうせこっちのダガーじゃダメージは取れないだろう。そう思って一気に距離を離す。
「悪いけどこいつでトドメだ! 〈エクスプロード〉!」
「あ!」
シルファーの焦った声が聞こえて来たけど、そのまま魔力を収束させて向かって来るブルーオーガへぶっ放した。そして轟音と共に白い閃光と熱が奔る。
「う、おおおおおおあ!?」
「せ、聖女様!?」
冒険者達が驚愕の声を上げるのが聞こえて来た。訓練の成果もあり、疲弊していないのでよく聞こえてくる。
「ガ……!?」
こちらを見ていたブルーオーガもぎょっとした顔をする。もちろん、先程まで居たはずの仲間が跡形もなく消えていたからに他ならない。
「……! 今だ!」
「ギャ――」
その隙を逃さず、大剣を持った冒険者の一人が背後から首を狙って一撃を振るう。
油断したブルーオーガは血を噴き出させながら膝をついてそのまま倒れ込んだ。
「はあ……はあ……や、やった……」
「エルゴさんは!」
あたしが振り返ると、ちょうどオーガの胸にバトルアクスが食い込んだところだった。こちらも血を流しながら仰向けに倒れ込んだ。
「ふう……な、なんとか……」
「いやあ、凄かったねー。というかエクスプロードを使って、大丈夫だったのー?」
「ぜーんぜん平気だよ。やっぱり訓練したらだいぶ変わるな」
「いえ……あなたが特殊なだけですけど……」
ディーネが呆れた声であたしを見ながら言う。ちょっとくらいじゃここまで魔力量は上がらないのだとか。
「うおおおお! 倒した……! オーガ達を倒したぞ!」
「聖女様達が居てくれたおかげだ……!」
「それでも……俺達も頑張ったぜ……ふう……」
あたし達をよそに冒険者達はハイタッチをしたり、肩を組んだりと喜び合っていた。
格下と言われていたらしいし、オーガ退治はかなりの活躍だと思う。
「あ、そういやイフリーとノルム爺さんは?」
「そういえばオーガ二体と戦っている割には長いねー」
そう思ってシルファーと二人が向かったところへ行くと――
「「ああ!?」」
「ん? おお、アリアにシルファーじゃねえか。いやあ、オーガ二体だと思ったらブルーオーガが出て来てよ。ちと手間取った」
「まあ、これくらいは余裕じゃがな。そっちはどうじゃ」
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あたしはそれだけ言うのが精一杯だった。なぜなら彼等の周囲にはブルーオーガの死体が七体もあったからである……
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