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第三十八話
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「ふご……!」
「体がでかいだけで有利だが、こっちは数が居るからな」
「よし、動きが鈍くなってきたね」
ランキーとジャネット、そしてフランツの攻撃でブルグラップは徐々に疲弊してきたようで、距離を取るために走る動きが鈍くなってきた。
ブルグラップからすれば三人が動いていると狙いを定めにくいため、追い詰められてしまう感じである。
このまま倒せるであろうと思った瞬間、ブルグラップに変化があった。
「つあぁぁぁ!」
「ふご!」
「む……!」
ランキーやジャネットを無視し、フランツへ狙いを絞ったのだ。
実際、二人の攻撃では簡単に傷がついておらず、一番重い攻撃はフランツだと気づいたからだ。
こいつを倒せば逃げることが出来るかもしれないと、魔物の本能でそう判断した。
「くっ、こいつ……!」
「フランツ!」
「だい、大丈夫です! この程度なら慣れていますから」
フランツが突進を回避しながら叫ぶ。彼も少し掠った形だ。そんなブルグラップはそのままターンし、再びフランツへ突撃していく。
「このまま串刺しにするか……可哀想だが、迷惑をかけるなら――」
「ふごぉぉぉ!」
「フランツ君!」
フランツが両手で構えを取り、迎え撃つ体勢になる。これでトドメを刺すと集中していたところで、それは起きた。
「この! フランツには行かせないわよ!」
「ええ!?」
「ふご!」
建物の陰からアリアが飛び出してきたのだ。ブルグラップはそのことに気づいたが、勢いがついているので視線だけ一瞬向けた後、加速する。
「これでも食らいなさいな!」
アリアも止まらずダッシュをかけて手にしたなにかをブルグラップの足元に投げた。
勢いよくロープ状のものが飛んでいき、魔物とフランツの距離が半分ほどのところで、追いついた。
「ぶふ……!?」
「おお!」
投げつけたのはロープの両端に石を括りつけたものだった。それがブルグラップの足に絡まったのだ。
巨体は有利だが、転んだ時の反動は大きく、派手に滑っていた。そこへアリアが追い付き、左手をかざしてブルグラップの腹へ魔法を撃ち込んだ。
「〈フレイムアロー〉!」
「ふごご……!?」
フランツの前に滑って来たブルグラップが魔法を浴びて焼けていく。それを呆然と見ていた三人だったが、フランツはハッとしてから倒れている魔物の頭へ剣を刺し貫く。
「これで……!」
「ごぶ……」
「〈ファイアアロー〉!」
骨を突き破り、ゴキリという鈍い音がしてフランツの剣は頭部を貫いた。地面にじわりと血が滲んでいく中、アリアはまだ魔法を撃っていた。
「フレイム――」
「アリア、終わったよ!?」
フランツは尚もブルグラップへ魔法を撃ちこもうとしているアリアの手を慌てて止めた。
アリアはその瞬間、お腹が黒焦げになったブルグラップを見てハッとなる。
「あ、お、終わった、の?」
「ああ。いや、まさかあんたが飛び掛かるとは思わなかったぜ。魔法、使えたんだな」
「凄かったねえ! 下がっていて良かったのに」
「あ、えっと……フランツが怪我をしていたから……」
「おお、愛の力ね♪」
困惑しているアリアは無我夢中だったが、フランツのためにと口にする。ジャネットがそれを聞くと口笛を吹いてウインクしていた。
そこでフランツがしゃがんでからアリアへ尋ねる。
「というかこの足を引っかけた道具、持っていたのかい?」
「ううん、さっき作ったの。ちょっと畑で使う道具を借りた感じ」
「へえ……」
フランツはそのことを聞いて意外だと言った感じで返していた。以前なら普通に終わるのを待っていたはずだと。
「ロープで引っかけるのは考えていた。だけどパーティ戦だったから止めておいたんだ。しかし、偶然とは言え、フランツを巻き込まず、見事だったぜ」
「あ、なるほど。余計なことをしちゃったかしら……」
「いやいや、機転が利いて良かったと思うわよ? まあ、派手に転んだ時、フランツが巻き込まれたら危なかったけど、次は気を付ければいいんじゃない?」
ランキーとジャネットの評価は高く、初めて依頼を受けて役に立ったので良かったのではとそれぞれ言っていた。
「ま、リアは魔法を使えないから他の人間が居る依頼なんかの時は気をつけた方がいいわ。アタシ達はいいけど、困るのはあなた達なんだし」
「ええ、そうね。気を付けるわ」
「よし! 話はともかく、とりあえずこいつの血抜きをしてから一休みだ。朝になったら報告して終わり!」
「そうですね。アリア、ありがとう」
「ううん! 私達、これからこういう風に仕事をしていかないとだもんね」
「はは、頼もしいね」
「ははは! 油断だけはしないでくれよ? さ、それじゃもう一仕事といこう――」
ランキーがそう言って話を締め、和やかな雰囲気のまま作業を進め、ひとまずブルグラップの遺体は広場へ出して夜を明かした。
◆ ◇ ◆
「おお……もう討伐していただけたとは……」
「運が良かったですね、初日で出現したのでそのまま狩りました。何日か食べさせていたので警戒をしていなかったと見ていい」
「なるほど……村人が手を出さなかったのは良かったのですな」
翌朝、血抜きをして広場に置いていたブルグラップに村人たちが集まっていた。
村長がアリア達に『もう終わったのか』と驚きつつも、安堵した顔をしていた。
ランキーが説明すると、下手に手を出せなくて良かったとため息を吐く。
「でけぇ……!」
「冒険者は凄いな、これに勝てるんだから」
村人はそれぞれブルグラップを見ながら感嘆の声を上げたり震え上がったりしていた。
そんな中、子供たちがアリア達のところへ来て笑顔で話しかけてきた。
「お姉ちゃん達も戦ったの? 凄いや!」
「そ、そうね!」
「ふふ、このお姉さんがトドメを刺したのよ?」
「ちょっとジャネットさん!?」
「えー! すげえ!」
「お姉ちゃんかっこいい!」
「え、ええ? そう? えへへ……」
「はは、子供たちに大人気だね」
子供に囲まれてアリアが困惑している中、フランツは少しだけ自然な笑みを見せるのだった。
それから四人は依頼完了を告げ、ブルグラップを運んで村を後にする。
「うーん! 終わった!」
「お疲れ様! ギルドに戻って報酬を貰ったら解体屋にこいつを引き渡して後はゆっくり休むよ!」
アリアが荷台で背伸びをしているとジャネットがサムズアップをして言う。
「依頼は受けないのね?」
「よほどお金に困ってない限り連続では受けないんだ。体調を整えるのも仕事の内ってことだな。美味いもんでも食おうぜ」
ランキーは荷台にぎっちり乗っているブルグラップを見ながらアリアの質問に答えた。
依頼を受けるならまた明日で今日はゆっくり休もうと口にする。
「フランツ、どこかレストランにでも行きましょうよ」
「僕達、追われている身だからね……」
アリアの言葉にフランツが呆れた笑いを見せていた。
「体がでかいだけで有利だが、こっちは数が居るからな」
「よし、動きが鈍くなってきたね」
ランキーとジャネット、そしてフランツの攻撃でブルグラップは徐々に疲弊してきたようで、距離を取るために走る動きが鈍くなってきた。
ブルグラップからすれば三人が動いていると狙いを定めにくいため、追い詰められてしまう感じである。
このまま倒せるであろうと思った瞬間、ブルグラップに変化があった。
「つあぁぁぁ!」
「ふご!」
「む……!」
ランキーやジャネットを無視し、フランツへ狙いを絞ったのだ。
実際、二人の攻撃では簡単に傷がついておらず、一番重い攻撃はフランツだと気づいたからだ。
こいつを倒せば逃げることが出来るかもしれないと、魔物の本能でそう判断した。
「くっ、こいつ……!」
「フランツ!」
「だい、大丈夫です! この程度なら慣れていますから」
フランツが突進を回避しながら叫ぶ。彼も少し掠った形だ。そんなブルグラップはそのままターンし、再びフランツへ突撃していく。
「このまま串刺しにするか……可哀想だが、迷惑をかけるなら――」
「ふごぉぉぉ!」
「フランツ君!」
フランツが両手で構えを取り、迎え撃つ体勢になる。これでトドメを刺すと集中していたところで、それは起きた。
「この! フランツには行かせないわよ!」
「ええ!?」
「ふご!」
建物の陰からアリアが飛び出してきたのだ。ブルグラップはそのことに気づいたが、勢いがついているので視線だけ一瞬向けた後、加速する。
「これでも食らいなさいな!」
アリアも止まらずダッシュをかけて手にしたなにかをブルグラップの足元に投げた。
勢いよくロープ状のものが飛んでいき、魔物とフランツの距離が半分ほどのところで、追いついた。
「ぶふ……!?」
「おお!」
投げつけたのはロープの両端に石を括りつけたものだった。それがブルグラップの足に絡まったのだ。
巨体は有利だが、転んだ時の反動は大きく、派手に滑っていた。そこへアリアが追い付き、左手をかざしてブルグラップの腹へ魔法を撃ち込んだ。
「〈フレイムアロー〉!」
「ふごご……!?」
フランツの前に滑って来たブルグラップが魔法を浴びて焼けていく。それを呆然と見ていた三人だったが、フランツはハッとしてから倒れている魔物の頭へ剣を刺し貫く。
「これで……!」
「ごぶ……」
「〈ファイアアロー〉!」
骨を突き破り、ゴキリという鈍い音がしてフランツの剣は頭部を貫いた。地面にじわりと血が滲んでいく中、アリアはまだ魔法を撃っていた。
「フレイム――」
「アリア、終わったよ!?」
フランツは尚もブルグラップへ魔法を撃ちこもうとしているアリアの手を慌てて止めた。
アリアはその瞬間、お腹が黒焦げになったブルグラップを見てハッとなる。
「あ、お、終わった、の?」
「ああ。いや、まさかあんたが飛び掛かるとは思わなかったぜ。魔法、使えたんだな」
「凄かったねえ! 下がっていて良かったのに」
「あ、えっと……フランツが怪我をしていたから……」
「おお、愛の力ね♪」
困惑しているアリアは無我夢中だったが、フランツのためにと口にする。ジャネットがそれを聞くと口笛を吹いてウインクしていた。
そこでフランツがしゃがんでからアリアへ尋ねる。
「というかこの足を引っかけた道具、持っていたのかい?」
「ううん、さっき作ったの。ちょっと畑で使う道具を借りた感じ」
「へえ……」
フランツはそのことを聞いて意外だと言った感じで返していた。以前なら普通に終わるのを待っていたはずだと。
「ロープで引っかけるのは考えていた。だけどパーティ戦だったから止めておいたんだ。しかし、偶然とは言え、フランツを巻き込まず、見事だったぜ」
「あ、なるほど。余計なことをしちゃったかしら……」
「いやいや、機転が利いて良かったと思うわよ? まあ、派手に転んだ時、フランツが巻き込まれたら危なかったけど、次は気を付ければいいんじゃない?」
ランキーとジャネットの評価は高く、初めて依頼を受けて役に立ったので良かったのではとそれぞれ言っていた。
「ま、リアは魔法を使えないから他の人間が居る依頼なんかの時は気をつけた方がいいわ。アタシ達はいいけど、困るのはあなた達なんだし」
「ええ、そうね。気を付けるわ」
「よし! 話はともかく、とりあえずこいつの血抜きをしてから一休みだ。朝になったら報告して終わり!」
「そうですね。アリア、ありがとう」
「ううん! 私達、これからこういう風に仕事をしていかないとだもんね」
「はは、頼もしいね」
「ははは! 油断だけはしないでくれよ? さ、それじゃもう一仕事といこう――」
ランキーがそう言って話を締め、和やかな雰囲気のまま作業を進め、ひとまずブルグラップの遺体は広場へ出して夜を明かした。
◆ ◇ ◆
「おお……もう討伐していただけたとは……」
「運が良かったですね、初日で出現したのでそのまま狩りました。何日か食べさせていたので警戒をしていなかったと見ていい」
「なるほど……村人が手を出さなかったのは良かったのですな」
翌朝、血抜きをして広場に置いていたブルグラップに村人たちが集まっていた。
村長がアリア達に『もう終わったのか』と驚きつつも、安堵した顔をしていた。
ランキーが説明すると、下手に手を出せなくて良かったとため息を吐く。
「でけぇ……!」
「冒険者は凄いな、これに勝てるんだから」
村人はそれぞれブルグラップを見ながら感嘆の声を上げたり震え上がったりしていた。
そんな中、子供たちがアリア達のところへ来て笑顔で話しかけてきた。
「お姉ちゃん達も戦ったの? 凄いや!」
「そ、そうね!」
「ふふ、このお姉さんがトドメを刺したのよ?」
「ちょっとジャネットさん!?」
「えー! すげえ!」
「お姉ちゃんかっこいい!」
「え、ええ? そう? えへへ……」
「はは、子供たちに大人気だね」
子供に囲まれてアリアが困惑している中、フランツは少しだけ自然な笑みを見せるのだった。
それから四人は依頼完了を告げ、ブルグラップを運んで村を後にする。
「うーん! 終わった!」
「お疲れ様! ギルドに戻って報酬を貰ったら解体屋にこいつを引き渡して後はゆっくり休むよ!」
アリアが荷台で背伸びをしているとジャネットがサムズアップをして言う。
「依頼は受けないのね?」
「よほどお金に困ってない限り連続では受けないんだ。体調を整えるのも仕事の内ってことだな。美味いもんでも食おうぜ」
ランキーは荷台にぎっちり乗っているブルグラップを見ながらアリアの質問に答えた。
依頼を受けるならまた明日で今日はゆっくり休もうと口にする。
「フランツ、どこかレストランにでも行きましょうよ」
「僕達、追われている身だからね……」
アリアの言葉にフランツが呆れた笑いを見せていた。
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