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第四章:ひとまずの解決
その62 我儘ドラゴン
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「ありがとうございますマトリアさん。材料を集めたら持ってくればいいですか?」
「それでええぞ。息子の命を救うために協力させておくれ。この歳でドラゴンの素材は厳しいからのう。旦那も強者の部類じゃったが同じく寄る年波にゃ勝てん」
「あれでか……?」
庭に戻ると、シルバードラゴンの足をガンガン殴りつけているおっさんの姿があった。
もちろんデイルさんである。
<はっはっは、やはり素手は無理だろう>
「得物がいるなこりゃ! いい経験をさせてもらった!」
血が出ていないので拳が相当かてえんだろうなと推測できる。
デイルさんがシルバードラゴンの足をバシバシ叩きながら笑うのを見て熟練の冒険者はやべぇなと戦慄する俺であった。
<む、戻ったかヒサトラ>
「おう、王都へ戻るぞ! 次の休みは海に行くぞ」
「なに? ゴルフではないのか!?」
「あー……じゃあ一日はゴルフにしますか」
なにがそんなにソリッド様を引き付けるのかわからないが、俺の要望や色々としてくれている手前、一日くらいはいいかと頷くと満面の笑みで口を開く。
「おお! それはありがたい、ようやくこいつの使い道が分かるのだな」
「ソリッド様、ごるふとはなんですかな?」
「よくぞ聞いてくれたデイル殿。ここに居る異世界人のヒサトラ君の世界にあるスポーツだそうだ。……よっと……こいつを使うらしい」
「ふむ、珍しい形をした武器ですな」
「武器じゃねえ。とりあえず帰ったらどういうものか図で説明しますよ。場所は王都の外にある草原にしましょうか」
今はその話題をする必要はないとソリッド様に告げる。
すると
「異世界だと?」
「ああ、俺はこの世界の人間じゃねえんだ。ソリッド様達にはよくしてもらってるけどな」
「ほう……興味深いな」
「人数がいてもいいらしいから、私が会得して面白かったらローデリア国王も呼んでみるか」
「多分そっちの興味じゃねえと思いますよ? それとあまり広げないでくださいよ」
トライドさん辺りは呼ばれそうだなと思うが、コースがなければそんない面白いものではない。せいぜいパターゴルフが関の山だろう。
「えっと、もう帰られるんですか? 食事などご用意しますけど」
「今日は遠慮しておくよ、シルバードラゴンと騎士数十人はちょっと重いからな」
「あはは、そうかもしれませんね。みなさん、本当にありがとうございました。別の形でお礼に参りますのでよろしくお願いします!」
「待っておるぞ異世界の勇者よ」
「ちげぇから」
マトリアさんにツッコミを入れてからトラックに乗り込み、余裕そうだった老夫婦が目を丸くしてトラックが動くことに驚いていた。
「ちょ、ワシも乗ってみたい!!」
「俺もだ! あ、あああああ行くのかぁぁぁ!?」
夫婦を振り切って町を出る。
どこまでついてくるつもりかわからないが、しばらく戻ってこないから乗せるわけにいくか!
<ワシは空からお主らを追うぞ。楽しみじゃのう>
シルバードラゴンは上昇して雲の中へ消えるが、ダイトいわくしっかり追従しているらしい。
焼き鳥でも食わせば満足してくれるか? 魚はまだ冷凍庫にあったっけか……?
マグロはまた次回になりそうだなと思いつつ、俺達は王都へと凱旋した。
◆ ◇ ◆
<……では、さらばだ>
「うむ、楽しかったぞ」
「また遊びに行きますね」
<次はいつになるか分からんがな>
<わんわん!>
ソリッド様やサリア、ダイトがそれぞれ別れの挨拶をするが俺は腕を組んだまま口をへの字にしてそれを見ていた。なぜならば――
「早く行けよ!? そのやりとりもう10回目だぞ!」
<う……わ、わかっとる! しかし、焼き鳥丼と炭火焼サバの味が忘れられんのじゃ!>
「あれは美味いからな」
うんうんと頷くソリッド様の態度に顔を綻ばせるシルバードラゴン。
俺はその様子を見て、足を拳で殴ってやる。
「そいつは嬉しいけど、ここにお前が居たら迷惑になるだろうが! ほら、巣に戻れよ」
<痛い!? うう、老い先短い者に辛い仕打ち……>
「後400年位生きるんだろうが」
その言葉にそっぽを向く。
昨日は楽しそうだったから嫌がる気持ちは分からんでもないが、この巨体はベヒーモスのダイトに比べたら相当デカいしさすがに王都に居場所はない。残念だがここはお帰りいただく他ないのだ。
<近くに棲めば……>
「あ、息子さんじゃないですか?」
サリアが空に目を向けたので全員がそちらを見ると、青い鱗のドラゴンが降下しているところだった。
もちろん大騒ぎ……にはならず、すでにシルバードラゴンが居るので『ああ、あそこね』みたいな反応のようだ。おかしくね?
<父さん、巣に居ないと思ったら……!! ほら、帰るよ、もう歳なんだから狩られちゃうだろ>
<嫌だぁぁぁ!? ワシここに住むんじゃぁぁぁぁ!>
「駄々っ子か!?」
威風のあるシルバードラゴンも息子には勝てないようで背中をがっしり掴まれて上昇していく。
<すみません父が。また会いに来てくれると嬉しいです>
「ああ、またな! 魚を持って行くぜ!」
<あああああああ!?>
ばっさばっさと翼をはためかせてドラゴン二頭は遠ざかって行った……。
「可愛いお爺さんでしたねー」
「まあ悪い気はしないんだが、もうすでにデカいのがいるからなあ」
<?>
「お前のことだよ!」
<きゅーん♪>
ダイトの背中を叩いていると、アロンが俺の背中によじ登って来た。とりあえず魔物はこいつらだけで十分だよ。
そう思いながら小さくなっていくドラゴンを見送るのだった。
……ちなみにオミロボンの素材である竜の牙は酔った勢いで爺さんが孫にお年玉をやるような気軽さでくれた。
とりあえずゴルフが終わったらまたオールシャンの港町へ行かないとな
目的はサンゴとマグロだが、俺はデッドリーベアの蜜について少し考えていることがあった――
「それでええぞ。息子の命を救うために協力させておくれ。この歳でドラゴンの素材は厳しいからのう。旦那も強者の部類じゃったが同じく寄る年波にゃ勝てん」
「あれでか……?」
庭に戻ると、シルバードラゴンの足をガンガン殴りつけているおっさんの姿があった。
もちろんデイルさんである。
<はっはっは、やはり素手は無理だろう>
「得物がいるなこりゃ! いい経験をさせてもらった!」
血が出ていないので拳が相当かてえんだろうなと推測できる。
デイルさんがシルバードラゴンの足をバシバシ叩きながら笑うのを見て熟練の冒険者はやべぇなと戦慄する俺であった。
<む、戻ったかヒサトラ>
「おう、王都へ戻るぞ! 次の休みは海に行くぞ」
「なに? ゴルフではないのか!?」
「あー……じゃあ一日はゴルフにしますか」
なにがそんなにソリッド様を引き付けるのかわからないが、俺の要望や色々としてくれている手前、一日くらいはいいかと頷くと満面の笑みで口を開く。
「おお! それはありがたい、ようやくこいつの使い道が分かるのだな」
「ソリッド様、ごるふとはなんですかな?」
「よくぞ聞いてくれたデイル殿。ここに居る異世界人のヒサトラ君の世界にあるスポーツだそうだ。……よっと……こいつを使うらしい」
「ふむ、珍しい形をした武器ですな」
「武器じゃねえ。とりあえず帰ったらどういうものか図で説明しますよ。場所は王都の外にある草原にしましょうか」
今はその話題をする必要はないとソリッド様に告げる。
すると
「異世界だと?」
「ああ、俺はこの世界の人間じゃねえんだ。ソリッド様達にはよくしてもらってるけどな」
「ほう……興味深いな」
「人数がいてもいいらしいから、私が会得して面白かったらローデリア国王も呼んでみるか」
「多分そっちの興味じゃねえと思いますよ? それとあまり広げないでくださいよ」
トライドさん辺りは呼ばれそうだなと思うが、コースがなければそんない面白いものではない。せいぜいパターゴルフが関の山だろう。
「えっと、もう帰られるんですか? 食事などご用意しますけど」
「今日は遠慮しておくよ、シルバードラゴンと騎士数十人はちょっと重いからな」
「あはは、そうかもしれませんね。みなさん、本当にありがとうございました。別の形でお礼に参りますのでよろしくお願いします!」
「待っておるぞ異世界の勇者よ」
「ちげぇから」
マトリアさんにツッコミを入れてからトラックに乗り込み、余裕そうだった老夫婦が目を丸くしてトラックが動くことに驚いていた。
「ちょ、ワシも乗ってみたい!!」
「俺もだ! あ、あああああ行くのかぁぁぁ!?」
夫婦を振り切って町を出る。
どこまでついてくるつもりかわからないが、しばらく戻ってこないから乗せるわけにいくか!
<ワシは空からお主らを追うぞ。楽しみじゃのう>
シルバードラゴンは上昇して雲の中へ消えるが、ダイトいわくしっかり追従しているらしい。
焼き鳥でも食わせば満足してくれるか? 魚はまだ冷凍庫にあったっけか……?
マグロはまた次回になりそうだなと思いつつ、俺達は王都へと凱旋した。
◆ ◇ ◆
<……では、さらばだ>
「うむ、楽しかったぞ」
「また遊びに行きますね」
<次はいつになるか分からんがな>
<わんわん!>
ソリッド様やサリア、ダイトがそれぞれ別れの挨拶をするが俺は腕を組んだまま口をへの字にしてそれを見ていた。なぜならば――
「早く行けよ!? そのやりとりもう10回目だぞ!」
<う……わ、わかっとる! しかし、焼き鳥丼と炭火焼サバの味が忘れられんのじゃ!>
「あれは美味いからな」
うんうんと頷くソリッド様の態度に顔を綻ばせるシルバードラゴン。
俺はその様子を見て、足を拳で殴ってやる。
「そいつは嬉しいけど、ここにお前が居たら迷惑になるだろうが! ほら、巣に戻れよ」
<痛い!? うう、老い先短い者に辛い仕打ち……>
「後400年位生きるんだろうが」
その言葉にそっぽを向く。
昨日は楽しそうだったから嫌がる気持ちは分からんでもないが、この巨体はベヒーモスのダイトに比べたら相当デカいしさすがに王都に居場所はない。残念だがここはお帰りいただく他ないのだ。
<近くに棲めば……>
「あ、息子さんじゃないですか?」
サリアが空に目を向けたので全員がそちらを見ると、青い鱗のドラゴンが降下しているところだった。
もちろん大騒ぎ……にはならず、すでにシルバードラゴンが居るので『ああ、あそこね』みたいな反応のようだ。おかしくね?
<父さん、巣に居ないと思ったら……!! ほら、帰るよ、もう歳なんだから狩られちゃうだろ>
<嫌だぁぁぁ!? ワシここに住むんじゃぁぁぁぁ!>
「駄々っ子か!?」
威風のあるシルバードラゴンも息子には勝てないようで背中をがっしり掴まれて上昇していく。
<すみません父が。また会いに来てくれると嬉しいです>
「ああ、またな! 魚を持って行くぜ!」
<あああああああ!?>
ばっさばっさと翼をはためかせてドラゴン二頭は遠ざかって行った……。
「可愛いお爺さんでしたねー」
「まあ悪い気はしないんだが、もうすでにデカいのがいるからなあ」
<?>
「お前のことだよ!」
<きゅーん♪>
ダイトの背中を叩いていると、アロンが俺の背中によじ登って来た。とりあえず魔物はこいつらだけで十分だよ。
そう思いながら小さくなっていくドラゴンを見送るのだった。
……ちなみにオミロボンの素材である竜の牙は酔った勢いで爺さんが孫にお年玉をやるような気軽さでくれた。
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