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しおりを挟む中に入ると懐かしい景色が目に入る、物の位置や飾られている花は昔と違うけれど、14年間家族と過ごしたこの場所に未練も寂しさも無いはずなのに胸がグッと締め付けられた気がした。
リターさんについて行きながら、懐かしさにキョロキョロしているとリターさんは頭を撫でてくれる。「緊張してる?」と心配そうに微笑んでくれる。リターさんは、お兄ちゃん系だなぁ。優しさにキュンキュンくるよ。
「どこに向かってるんですか?」
「執務室だよ」
誰のとは、聞かないでおこう。
聞いてしまうと後ろに走り逃げたくなってしまう気がする。
ピタッとリターがドアの前で動きを止める。
コンコンとノックをする部屋は私の父が使っていた仕事部屋だ。
嫌な予感に、冷や汗が出る。
「リター・スペリーンただいま戻りました。
入ってもよろしいでしょうか。」
「入れ」
短く凛とした声に、背筋が自然と伸びる。
リターさんがドアを開くと、私に先にどうぞと手で合図してきた。
それに従い緊張しながら入る。声がかかるまで頭を下げていると、リターさんも隣で頭を下げているのがわかった。
自分より、偉い方には声がかかるまで顔を上げてはいけないと言う皇帝国の決まりに従って頭を下げたが間違ってなかったようだ。
「頭を上げていいぞ。」
許しを得て、恐る恐る顔をあげるとヒョウのように力強い赤い瞳に紫がかった紫黒な髪スラット長い手足。むせ返るような色気にポーと見惚れてしまう。
「想像していたより、小さいな…。」
顎を押さえながら色気ムンムンで、彼は言う想像とは私の見た目のことだろう。
小さいは余計だ!皇帝国の人達が身長が高いだけだ。
私の国の人々より約10センチは男女関係なく高い。
「エキュハちゃん、可愛いでしょ?」
リターさんは目の前の彼の反応に何故か満足してるようだ。
「あぁ、可愛いな」
少し照れた様な、恥ずかしそうに呟く彼に私は思わず頬を染める。色気のあるイケメンさんの方が何倍も可愛い気がする。
「エキュハと言ったか?君にお願いがあって今日読んだのだ。」
「私の名前はルルと言います。エキュハはリターさんが勝手に読んでるだけです。お願いとは何でしょう?」
因みに本名はルルシャ・シャールトと言う。
名前を言うと正体がバレてしまうので、呼ばれても反応できる様にルルと名乗っている。
「私も自己紹介していなかった。私はファンディ・ガルボニアだ。ルル、君のプリンを食べさせてもらった。君のお菓子はどの国にも無い魔法の様だ。そんな君のお菓子を今度開かれるパーティに出したい。お願い出来るか?」
「魔法のよう…。」
魔法のようなんて嬉しい!前世の記憶を頼りに作っているからずるしてるみたいに思っていたけれど…。美味しいって言われて単純に嬉しい!!
「君はそんな表情もできるんだな」
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長くなるのでわけます。明日の昼に配信します。
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