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2話 正面突破
しおりを挟むその時だった.........
衝突の直前、紅一は自転車のハンドルに右足をかけ、両手を振り上げながら上後方に跳んだ。そしてバク転の要領で手を地に着け、ヒラリと綺麗に屈んで着地した。
騎手を失った自転車はまさに荒れ馬のようにゾンビの群れに突進し、ボウリングのように倒してしまった。
「ざまーみろッ! 無駄に重ぇママチャリで助かったぜ!」
叫びながら紅一は、家の塀と電柱の間をマリオのように三角跳びをし、塀を越えてまたがる。
──そういえば運動神経良かったなアイツ
「アオイ!! 来いッッッ!」
紅一はこちらを向いて右手を伸ばしている。
蒼もスピードを上げる。しかし紅一のような曲芸じみた降り方はできない。
ゾンビは立ち上がり始めている。
──どうする
「アオイ!!」
「あぁクソっ! どうにかなれ!!」
蒼は、最高速に達した自転車を家側の塀に寄せ、 ハンドルから両手を離す。
──ゾンビとの距離約5メートル
蒼は離した左手でサドルの後ろをつかみ、右足をハンドルとサドルの間の自転車フレームに乗せる。
そして──
「跳んだ!?」紅一は驚いて叫ぶ。
蒼は自転車から塀を背にグワッと跳び、綺麗な放物線を描いて塀を越えた。ゾンビはまたもや自転車に倒される。
塀の内側では ドシャッ と衝突音が響く
「いっっでぇ!背骨折れたっ」
塀を飛び越した蒼は、背中を強かに地面で打った
「そーいえばお前陸上で高跳びやってたなぁ?」
紅一はそう言って大笑いしながら塀から飛び降りる。
「おれんちの庭が芝生で良かったな!」
まだ笑いが収まらない紅一が言う。
「ありがてぇけど十分痛えよ........」
蒼は若干涙目だ。それを見て紅一はまた笑う。
「いつまで笑ってんだ.......ってオイ!! 早く玄関開けろ!ヤツら、門を乗り越えるつもりだ!」
紅一が振り返ると、ゾンビ達は門をガシャンガシャンと激しく揺らし、折り重なって門を超えようとしていた。
「やっべぇな! すぐ開ける! 開ける... 開け...る...…」
「オイどうしたコウ! 早くしろ!」
焦る蒼は庭のほうきでゾンビをつつきながら、紅一の背中をバンバン叩く
「すまんアオイ。鍵無くしたわ。」
「.…..は???」
「いやすまん。よく無くすんだ。」
言いながら紅一はインターホンを連打している。
「『よく無くすんだ』じゃねぇよ!! 今家に誰かいねぇの!?」
「いや~両親どっちも自衛官だから、こんな時に帰って来んだろうし、妹もたぶん今中学校だろうな。」
ゾンビ達は先程より高く積み重なり、今にも塀を越そうとしている。
「ざッッけんなアアア!!」
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