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私たちはふもとに戻り、熱烈な歓迎を受けた。レオは必死に違うと説明していたけれど、私たちはこれからドラゴンスレイヤーと呼ばれてしまうらしい。恥ずかしい。
どんちゃん騒ぎは夜中まで続いた。町に来て、山に登って古竜と戦って、下山して、それからパーティーってどんな体力してんのと思う。
「冷静に考えて、俺たちめちゃくちゃアホだったよな」
「ごめん」
話は単純で。私と同じく「相手」がいなかったので、王子様のレオナルドは権力争いとは無縁で、放任されていた。それで、お供のジャスティンとリープを連れて、余所の国で冒険者になることにした。
その途中で見つけた私のことがどうにも気になったけれど、うまく自分のことを言い出せないまま時は過ぎ、やがて母国から「神託が降りてきたので戻ってこい」と呼び戻される。慌てたレオは、とりあえず先のことは考えないで私を連れて行こうと思ったけれど(本当にどうするか何も考えていなかったらしい)振られて、失意のうちに国へ戻った。
レオナルドは、あきらめて「アトリア」を待とうと思ったけれど、一応どんな人かは気になるので、ジャスティンを護衛隊に合流させた。
もちろんそこで弓使いは全ての真実に気が付いたけれど、彼は「劇的な再会」の方が美しいと思って、黙っていた。そもそも私がそんなことをするような人間だと思っていなかったのだと言う。
私が逃走した後、晴れて? 再び自由の身になったレオは、同じメンバーで傷心の旅に出ることにした。彼らの話し合いの中で、「リアはレオがレオナルドだと気がついたけれど、それでも逃げた。貴族が嫌いなので」と言うことになったらしい。そんな馬鹿な。
それで、途中で仲間を増やしつつ冒険の旅をしているうちに、今日の事件が起こったと言うわけだ。
話にすると、信じられないぐらい馬鹿な話で、私たちは離れ離れになって、死にかけたのだ。
「……なんか、本当ごめん。だって、私なんかがついて行ったら迷惑だし、そもそも好かれてるのかどうかもいまいち不明だったし、王子様がレオとかそんなことわからなかったし……」
神に誓った通り、私はこれからは素直になるつもりだ。意地っ張りは損をする。これまでの人生で、その事を痛いほどに理解した。
「いやー、あの時再会していれば、今頃王宮で暮らしてただろうな」
「王子様に戻りたかった?」
「全く」
レオは私に、お妃様になりたいか?と聞いた。答えは「いいえ」だ。貴族なんて、まっぴらごめんだ。お金と戦闘力のある平民が1番いい。優しくて、私の事を好きでいてくれたらもっといい。
レオが私の頬に触れてきた。恥ずかしくなったので上を向く。星がきれいだ。
「『アトリア』って、どれ?」
「あれ」
レオは一つの星を指さした。なんだ、だいたいいつも見えてるあいつじゃん。あまりにもしょーもなさすぎて、私は返事ができなかった。
レオはなんだか、私が感極まっていると思ったらしい。違うけど。
月がきれいだった。あの夜よりずっと、きれいだった。
「月がきれいだね」
しょーもない。レオは、王子様で、S級冒険者で、ドラゴンスレイヤーなんて称号までもらったのに、私と同レベルの感性しか持っていないのだ。
こんなに広い世界で、レオのことを好きな女なんてそれこそ星の数ほどいるだろうに、私で妥協してくるような、女を見る目のないやつなのだ。
つまりそれって、ものすごく、とてつもなく、私は運が良いってことになる。
いわゆるハッピーエンドだと思うのだが、私は泣いた。まあ、嬉し泣きってやつだ。
どんちゃん騒ぎは夜中まで続いた。町に来て、山に登って古竜と戦って、下山して、それからパーティーってどんな体力してんのと思う。
「冷静に考えて、俺たちめちゃくちゃアホだったよな」
「ごめん」
話は単純で。私と同じく「相手」がいなかったので、王子様のレオナルドは権力争いとは無縁で、放任されていた。それで、お供のジャスティンとリープを連れて、余所の国で冒険者になることにした。
その途中で見つけた私のことがどうにも気になったけれど、うまく自分のことを言い出せないまま時は過ぎ、やがて母国から「神託が降りてきたので戻ってこい」と呼び戻される。慌てたレオは、とりあえず先のことは考えないで私を連れて行こうと思ったけれど(本当にどうするか何も考えていなかったらしい)振られて、失意のうちに国へ戻った。
レオナルドは、あきらめて「アトリア」を待とうと思ったけれど、一応どんな人かは気になるので、ジャスティンを護衛隊に合流させた。
もちろんそこで弓使いは全ての真実に気が付いたけれど、彼は「劇的な再会」の方が美しいと思って、黙っていた。そもそも私がそんなことをするような人間だと思っていなかったのだと言う。
私が逃走した後、晴れて? 再び自由の身になったレオは、同じメンバーで傷心の旅に出ることにした。彼らの話し合いの中で、「リアはレオがレオナルドだと気がついたけれど、それでも逃げた。貴族が嫌いなので」と言うことになったらしい。そんな馬鹿な。
それで、途中で仲間を増やしつつ冒険の旅をしているうちに、今日の事件が起こったと言うわけだ。
話にすると、信じられないぐらい馬鹿な話で、私たちは離れ離れになって、死にかけたのだ。
「……なんか、本当ごめん。だって、私なんかがついて行ったら迷惑だし、そもそも好かれてるのかどうかもいまいち不明だったし、王子様がレオとかそんなことわからなかったし……」
神に誓った通り、私はこれからは素直になるつもりだ。意地っ張りは損をする。これまでの人生で、その事を痛いほどに理解した。
「いやー、あの時再会していれば、今頃王宮で暮らしてただろうな」
「王子様に戻りたかった?」
「全く」
レオは私に、お妃様になりたいか?と聞いた。答えは「いいえ」だ。貴族なんて、まっぴらごめんだ。お金と戦闘力のある平民が1番いい。優しくて、私の事を好きでいてくれたらもっといい。
レオが私の頬に触れてきた。恥ずかしくなったので上を向く。星がきれいだ。
「『アトリア』って、どれ?」
「あれ」
レオは一つの星を指さした。なんだ、だいたいいつも見えてるあいつじゃん。あまりにもしょーもなさすぎて、私は返事ができなかった。
レオはなんだか、私が感極まっていると思ったらしい。違うけど。
月がきれいだった。あの夜よりずっと、きれいだった。
「月がきれいだね」
しょーもない。レオは、王子様で、S級冒険者で、ドラゴンスレイヤーなんて称号までもらったのに、私と同レベルの感性しか持っていないのだ。
こんなに広い世界で、レオのことを好きな女なんてそれこそ星の数ほどいるだろうに、私で妥協してくるような、女を見る目のないやつなのだ。
つまりそれって、ものすごく、とてつもなく、私は運が良いってことになる。
いわゆるハッピーエンドだと思うのだが、私は泣いた。まあ、嬉し泣きってやつだ。
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