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kaoru

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第三章 節約生活

五十一話

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「えっ、光輝は、行かないの?」

 学校の帰り道、夏休みに保の家に行かないと言ったら、瑞樹に驚かれた。

「うん、後半は行くかもしれないけど、前半は、ちょっと、やりたいことあるから、やめておく」

「やりたい事って?」

「ちょっとな、それでさ、ダリルくんに相談があるんだけど」

「なんでしょうか?」

 今日は、ダリルくんもついてきていて、瑞樹の右肩にいる。学校では、見つからないように、バッグや机の中にいてもらい、行きと帰りは肩の上、俺達は、ちゃんと見えるし、話も出来る。でも、誰も気がつかないのが、不思議でしょうがないけど、慣れはじめている。

「キルさんを、早めに呼び戻せないかな?」

「キルが出てしまうと、変化することが、いけないのですよね?」

「そう、特に今は日本で、展示中だから、何かあれば、国際問題に発展しかねないからって、言ってた」

「そうですか…せっかく良いルビーだったのに、光輝様の物に出来ないのが残念です。キルだけでよければ、僕が、迎えに行ってみます。もしかしたら、直ぐに連れてこられるかもしれないので」

「本当?助かるよ」

「えっと、では、光輝様の力を少し借りますね」

 そう言うと、瑞樹の肩から、俺の肩に移ったと思ったら直ぐに、消えてしまった。

「えっ?」

「光輝様とキルの繋がりを利用して、キルの元にいったんですよ」

「へぇ、契約してるからか、精霊同士は繋がりはないの?」

「気配は感じることが出来ますが、主になった者との繋がりの方が、ハッキリと見えますので、見つけやすいです」

 「そうなんだ。ところで、アルフさんにも、ちょっと、お願いがあるんだけど、いい?」

「瑞樹様が、よければ」

 おっ、キルさんもだったけど、ブレてないなぁ…

「へ?俺?何、させるんだよ」

「ちょっと、保存食作りをしようと思って、昨日のファラムじゃないけど、普通に干すと、花粉やら排気ガスが気になって今まで出来なかったけど、精霊達の力を借りたら、気にせず作れるかなぁと思って」

「そういえば、田舎じゃ、ばあちゃんとよく、なんか干していたのに、こっちに来てからやってなかったよなぁ、場所的に出来ないのかと思っていたけど違うんだ」

「うん、出来るけど、車の量とか考えるとな…」

「俺はあまり気にならないけど、光輝は、排気ガスの臭いとか、タバコの臭いとかに敏感だもんなぁ、ついでに、バッグの中の匂いも気にしてくれてたら良かったのに…」

「ハハ…自分の物だから分かりづらいんだよ。悪かった。まぁ、基本、太陽の光で殺菌効果はあるみたいなんだけどさ、春先の車に着いた花粉だか、黄砂だかを見ると作る気しなくなるんだよなぁ」

「ああ、確かに、黒い車がうっすら黄色に見えるもんな、あれ見ると、マスクしないといけないかなって思う。花粉症ではないけど」

「でも、そういったものも、寄せ付けないようにしてもらっているんだよねー」

「はい!任せて下さい。大気の汚れは寄せ付けません!しかも、ファラムの力も合わせると、マイナスイオンも発生させることが出来ると、ダリルが言っていたので、昨夜から、ファラムと協力してお二人に同じ結界を張っています。そうすることで、ファラムの負担も減ったんですよ」

「「はぁ?あっ…」」

 アルフさんの説明を聞いて、瑞樹と二人、思わず変な声をあげてしまった。慌てて、回りを見回したが、数メートル先に、歩いている人がいるだけで、別に、変な目で見られる事はなかった。

「マイナスイオンって?」

「あれ?知らないんですか?なんでも、人間の精神安定に役立つとかなんとか、ダリルが言ってましたけど?あたしからしたら、ファラムの仲間としか見えないんですが?何が、違うんでしょう?」

「えっと、俺も、よくは知らないけど…
確か、滝とか、雨の日みたいに、水が打ち付けられた時に、発生してるとかなんとか、聞いた覚えが…」

「植物にも良いとかいって、イオン水とかあるけど、イオンって、電気を帯びた原子だっけ?」

「そうなのか?じゃぁ、マイナスイオンは、マイナスの電気を持った何らかの物質?」

「…身体にいいなら、難しいことはいいや、二人ともありがとね。これからも、よろしく」

「「はい!」」

 うん、科学者でもないし、何が良いのかもわからないや、でも、そうだな、精霊達に任せよう。
 

 
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