異世界人拾っちゃいました…

kaoru

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アレルギー対策

ビスト

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 時折、リョウに質問して来るが、ほとんど放置状態のせいか、緊張が解け、リョウの腹がグゥ~と鳴り出した。

「あっ…」

 リョウは、腹をさすりながら、顔を赤くしてる。
   気づかぬフリをするかどうしようかと思っていると、メリロット反応した。

「そういえば…一昨日、こっちに来たのよねぇ?鑑定もまだだったし…もしかして、今まで何も食べてないの?」

「いや、用心してビストを食べさせてた」

「ああ、ビストね。あれ?じゃぁ、ビストみたいな加工したものなら、食べられるってこと?」

「そうだね。特に、具合が悪くなったりしてないよなぁ」

「う、うん。全然なんともないよ。それより、お腹空いた。ビストも食べちゃダメなの?」

 その言葉で、確認しようかと、集まっていた人達に顔を向けると、全員が、こちらを見ていた。

「えーと、どうしました?」

「その子、この世界もの、食べたのかい?」

「ええ、一昨日の夕食から、ビストを食べながら、ここまで来ました」

「何か、状態異常は?」

「特に出てないと…思います」

 みんなが、次々に質問してきた。少し怖いと思いつつ、答えていく。そんな中、通信機が運ばれて来て、俺達の前に置かれた。水晶板の通信機には、黒い目に、白髪混じりの黒髪をオールバックにし、転移者が広めたスーツという服を着た男の人族が写し出されていた。
   その人は、タクマ・オオニシと名乗った。外見から、リョウと同じニホン人なのかもしれない。
 その人が質問したい事があるという。
 それは、何故、鑑定もしてない者でもビストなら食べても良いと思ったのかというものだった。
 これには、俺の方が混乱してしまった。この世界では、全種族が食せるモノと認識しているからだ。それを、話すとタクマさんは、驚いた。
 どうやら、転移者の間でビストは単に保存のきく携帯食という認識で、他の食材と一緒で、ちゃんと自分に合ったモノを作らないといけないと思っていたらしいのだ。

「違うのかい?」

「はい、ビストは、元々、残飯処理の過程でうまれた子供のおやつだったんです」

「残飯処理?どういう事だね?」

 そこで、ビストの作り方を説明する。

 ビストは、エルフ族の各家庭で、植物油を絞った後の木の実や穀物、ジュースを絞った後の果実を、みじん切りして混ぜて低温で焼き上げたお菓子だ。
 
 昔、多種族が集まった冒険者パーティーが、どういう経緯でかは知らないが、全員でビストを食べ、何も起こらなかったのが話題になり、それを聞いた街の植物油加工店が、ビストを作り売り出すようになって、世界中に広まったものだ。

「成る程、栄養素が薄いから、症状がでないということなのかな?」

「さぁ?よくわからないですけど、リョウがビストを食べても、特になんの症状も出なかったです」

「それは、買ったものかい?それとも、手作り?」

「手作りです。旅に出るために大量に作っていたモノです」

「では、市販のモノでも食べられるのか調べて見た方がいいのか、もし食べれたのなら、それと似たような作り方をすれば食べられるのかもしれない。そうなると、こちらの世界に来て、生食がダメな体質になった者と似ているのかもしれないな」

「生食がダメ?」

「ああ、生野菜は勿論、絞ったジュース、刺身、生のハーブティーなんかも摂取すると、喘息やじんま疹が出る転移者が何人かいるんだよ」

「うわっ、大変ですね」

「ああ、でも、鑑定でちゃんと表示されるから対応出来ている。しかし、その子の場合は、鑑定に表れてないからなぁ。手探りで、一つ一つ確めていかないと駄目なのかもしれない」

 こうして、リョウに対する対策が決まった。


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