異世界人拾っちゃいました…

kaoru

文字の大きさ
上 下
14 / 149
アレルギー対策

魔法創作

しおりを挟む
 冒険者になり一週間が過ぎた。
 依頼は、ウィル族の森で採れるものを優先に受けて、部族の利で点数と収入を増やしている。

 今日も、森の固有種であるアサツゲ鳥の羽五枚と、香辛料のラディスを三株という依頼を見つけたので、受けてきた。
 アサツゲ鳥の羽は、地味な焦げ茶色なのだが、サボンの液で洗うと色素が抜け真っ白になる。そして、その後、染料で染めて帽子などの飾りに使われる。
 これは、生息地を知っているので、そこで、ちょっと大きめの音を立てると驚いて一旦逃げ出すので、風の精を使い抜け落ちた羽を集めれば良いだけだ。
 ラディスも群生地を知っているので、楽勝だ。しかも、ラディスの根は、食料の保存料にもなるので、自分用にも採っておく。
 更に、増えすぎには注意が必要な、鼠系の魔獣も何匹か仕留め、解体した。雑食で腐肉を好むので、肉は美味しくないが、皮は加工がしやすく、重宝するのだ。ギルドで売るのもいいが、今日のは、リョウの鞄を作ることにする。

 ギルドで報酬を貰い、社宅に帰ってきたら、リョウが上機嫌で向かえてくれた。

「なんだ?どうしたんだ?そんな、嬉しそうな顔してぇ」

「フッフッフッ、遂に、覚えたんだ鑑定魔法!」

 両手を腰にあて胸をそらし自慢げにそう言った後、右手の人差し指と中指を立てこちらにつきだしてきた。
 何か、意味のあるポーズなのだろうか?

「?…いきなりだなぁ、昨日まで『全然ダメ~』とか言って、しょげてたのに」

「それが、タリクさんが、行き詰まっているのを見かねて、スキルである魔法創作の方の等級上げの方をしてみようと提案してくれたんだ。それで、向こうで見たりしていたアニメやマンガのマネしたら、それが、ちゃんと魔法として発動したから、その流れで、いろいろやったら出来ちゃった」

「はぁ?出来ちゃったって、お前…それって、お前が新しく鑑定魔法を作ったってことか?」

「んー、どうだろ?アニメやマンガのマネだから、僕より先に来た人が似たようなことしてるかも…」

「そっ、そうかもしれないが…」

 マネといっても…魔法は詠唱により魔方陣を構築し発動するものだ。等級が上がれば魔法の威力も上がる…が、リョウの言い方だと、攻撃魔法とは限らないのか?…と、いうことは、本来なら魔術創作になるのか、ただ魔法と言えば攻撃魔法と言ってあったが、リョウはそういう認識がなかったんだな。
 魔法創作のスキルに関してはちょっと心配していたのだ。攻撃魔法は冒険者としてあってもいいが、あまり強力なのを作った場合どう対処すればいいのか、俺の精霊魔法で抑えられればいいが、異世界人の知識で作られる魔法がどういうものになるのか分からないので、出来ることなら、使わずにいてもらいたいと思っていたのだが…なんだ、攻撃限定じゃなかったんだな。良かった…と、思うことにする。

「どうしたの?」

 考え込んだ俺を心配そうにみて聞いてきた。

「いやぁ、魔法創作というスキルは、最近発見されたモノで、転移者限定スキルらしいんだ。だから、色々分からないことがあったんだが、攻撃魔法限定じゃないんだな」

「攻撃魔法?えー、室内でそんな魔法使えないでしょ?」

 う、まぁ、そうか…認識の違い、認識の違いっと…

「まぁ、そうなんだけど、じゃぁ、魔法創作って、色々な魔法を作れるってことでいいんだな」

「ん?ああ、そうか、魔法っていったら攻撃魔法の事になるんだっけ?忘れてた。でも、タクマさんも、自分より若い転移者の方が魔法に馴染むのが早くて、便利な魔法編み出してるって言ってたような…魔術と魔法の使い分けよく分からないや」

「タクマさん?何か連絡あったのか?」

「うん。今回のことで、面白いことが分かったから、こっちにも知らせたいんだって。それで、えーと、明日の午後、関係者を集めて発表会やるから、ディルにも来てほしいって、メリロットさんが言ってたよ」

 
しおりを挟む

処理中です...