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花嫁修業?その前に…
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「それでだ。お前のことはなんて、呼べばいいんだ?」
「か、神部くん、そうじゃないでしょ」
「え?」
「ああ、もう!九頭竜様、人として生活する上での呼び名はお持ちではないですか?」
『以前化けておった時は、九頭と名のっておったぞ』
「まんまだな。いっそのことクズで良くないですか?」
「神部くん!」
「…はい。暫く黙ってますよ」
神に対して不敬すぎる神部を社長の久志が止めて、話を進める。
昔と違い今の世の中は個人を特定する書類が必要になってくる。しかも、近年では、ナンバーまでつけられているので、何処からともなく現れ出た竜神を馴染ませる為の作戦がたてられる。
「まぁ、もしもの時の書類は、松原さんにお願いするからいいとして、この集落の中だけでしたら問題ないですが、充くんの側にとなるとちょっと厄介ですね」
「総二郎さんの甥っ子ってことで良いんじゃないの?」
「たまになら良いですが、度々目撃されるようになると、あれこれ詮索する人がいそうですよ」
「外見が良いから、芸能人と間違えられたり、SNSで写真や情報流されたりしそうだよね」
「!、あっ、そうでした。久しく人として生活する方が居ませんでしたからね。インターネットとかは、どうなっているのか調べないといけませんね」
「社長、ちょっと、質問なんですけどぉ」
皆から少し離れて。存在感をなくしていた辻が、軽く右手を上げて発言した。
「辻くん、どうしました?」
「妖怪や神様って、デジカメとかで撮れるんですか?」
「撮られる側の能力によりますが、昔のカメラより、デジカメの方が写りやすいですね」
「え?逆じゃないんですか?」
「え?何故です?」
「い、いや、解りませんけど、なんとなく…」
「ハハ、心霊写真とかの影響ですかね?まぁ、こうしてお姿が見えているから、我々と同じ肉体を持っているように見えますが、ちょっと違うんですよ、ですので、ハッキリとした姿は、意識してもらわないと撮れませんが、3D映像みたいな感じでは撮れますよ」
「いやいやいや、それは、ヤバイですよ!透けて写るってことでしょ。普通の人間が透けて写ってたら騒ぎになりますよ!」
「…あ、そうでしたね。それは、どうしましょうか?」
う~ん…
皆で考えるが良い案が出てこない。
「あぁ、もう、無理だ無理!今の世の中、ここ以外で、妖怪や神が人として住める場所なんてないんだから、ここで生活して、充くんを見守るだけにしろ!」
しびれを切らした神部が提案してきた。
『それでは、今までと変わらんではないか、また、虫がついたらどうする気だ― ふん!このまま、雨を降ら続けてもよいのだな』
スパコーン
「それを止めろって言ってんだよ。この辺の農家を破産させる気か!」
『くぅ~~、お主、さっきから、痛いではないか!ワレを呼んだということは、ワレを迎える準備が出来たから呼んだのではないのか?それなのに、神に対して、不敬過ぎないか?』
「話がしたかっただけだ。誰もこっちで生活したいなんて言い出すとは思ってなかったんだよ。ああ、そういえば、神は神でも、邪神だったな。いっそのこと、退治してやるか?」
不敬な神部に対してついに竜神が怒ったと思ったが、邪神と言われたとたん、竜神が目を泳がせ狼狽える。
『な、何を言ってる?お主は。何を知っているのだ』
「俺じゃないよ。綾姫様だ」
そう言うと、神部の隣に紅い着物を着た少女が現れた。そして、竜神を正面から見据える。
「妾は聞いておるぞ。おぬしが昔、北の大陸からこの地の平安の為に遣わされたのに、悪鬼共と一緒に暴れまわったとな」
『ど、どうしてそれを…』
「ととさまが、話してくれた。ととさまも生まれたばかりで、ハッキリとは思い出せなかったが、おぬしの姿はしっかりと覚えておいでだったのだ。そこで、いろいろな方々に教えてもらい、妾に報せてくれたのじゃ。おぬし、大層暴れまわって、この地の全てのモノから疎まれたらしいのう」
『……』
「長いこと独り取り残されたおぬしは、随分ひねくれた者になり、やがて、自分を卑下して地に隠れたそうだな。しかも、迷惑な事に、毒を撒き散らし、誰も寄せ付けないようにしておったそうではないか?」
『……』
「か、神部くん、そうじゃないでしょ」
「え?」
「ああ、もう!九頭竜様、人として生活する上での呼び名はお持ちではないですか?」
『以前化けておった時は、九頭と名のっておったぞ』
「まんまだな。いっそのことクズで良くないですか?」
「神部くん!」
「…はい。暫く黙ってますよ」
神に対して不敬すぎる神部を社長の久志が止めて、話を進める。
昔と違い今の世の中は個人を特定する書類が必要になってくる。しかも、近年では、ナンバーまでつけられているので、何処からともなく現れ出た竜神を馴染ませる為の作戦がたてられる。
「まぁ、もしもの時の書類は、松原さんにお願いするからいいとして、この集落の中だけでしたら問題ないですが、充くんの側にとなるとちょっと厄介ですね」
「総二郎さんの甥っ子ってことで良いんじゃないの?」
「たまになら良いですが、度々目撃されるようになると、あれこれ詮索する人がいそうですよ」
「外見が良いから、芸能人と間違えられたり、SNSで写真や情報流されたりしそうだよね」
「!、あっ、そうでした。久しく人として生活する方が居ませんでしたからね。インターネットとかは、どうなっているのか調べないといけませんね」
「社長、ちょっと、質問なんですけどぉ」
皆から少し離れて。存在感をなくしていた辻が、軽く右手を上げて発言した。
「辻くん、どうしました?」
「妖怪や神様って、デジカメとかで撮れるんですか?」
「撮られる側の能力によりますが、昔のカメラより、デジカメの方が写りやすいですね」
「え?逆じゃないんですか?」
「え?何故です?」
「い、いや、解りませんけど、なんとなく…」
「ハハ、心霊写真とかの影響ですかね?まぁ、こうしてお姿が見えているから、我々と同じ肉体を持っているように見えますが、ちょっと違うんですよ、ですので、ハッキリとした姿は、意識してもらわないと撮れませんが、3D映像みたいな感じでは撮れますよ」
「いやいやいや、それは、ヤバイですよ!透けて写るってことでしょ。普通の人間が透けて写ってたら騒ぎになりますよ!」
「…あ、そうでしたね。それは、どうしましょうか?」
う~ん…
皆で考えるが良い案が出てこない。
「あぁ、もう、無理だ無理!今の世の中、ここ以外で、妖怪や神が人として住める場所なんてないんだから、ここで生活して、充くんを見守るだけにしろ!」
しびれを切らした神部が提案してきた。
『それでは、今までと変わらんではないか、また、虫がついたらどうする気だ― ふん!このまま、雨を降ら続けてもよいのだな』
スパコーン
「それを止めろって言ってんだよ。この辺の農家を破産させる気か!」
『くぅ~~、お主、さっきから、痛いではないか!ワレを呼んだということは、ワレを迎える準備が出来たから呼んだのではないのか?それなのに、神に対して、不敬過ぎないか?』
「話がしたかっただけだ。誰もこっちで生活したいなんて言い出すとは思ってなかったんだよ。ああ、そういえば、神は神でも、邪神だったな。いっそのこと、退治してやるか?」
不敬な神部に対してついに竜神が怒ったと思ったが、邪神と言われたとたん、竜神が目を泳がせ狼狽える。
『な、何を言ってる?お主は。何を知っているのだ』
「俺じゃないよ。綾姫様だ」
そう言うと、神部の隣に紅い着物を着た少女が現れた。そして、竜神を正面から見据える。
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『ど、どうしてそれを…』
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『……』
「長いこと独り取り残されたおぬしは、随分ひねくれた者になり、やがて、自分を卑下して地に隠れたそうだな。しかも、迷惑な事に、毒を撒き散らし、誰も寄せ付けないようにしておったそうではないか?」
『……』
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