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第二部〜オールディス公爵家〜
【閲覧御礼SS】私のかわいい子どもたち
しおりを挟むね、アドルフ様。
今日はね、いいお天気だったからカトリーナのとこへ行ってみたの。
……ふふ、そしたらね。
私たちの孫が、色々教えてくれたのよ。
カトリーナの旦那様の話から始まって、カトリーナの事、二人の仲の良さ、あと弟もいるんですって。
三人とも男の子って、カトリーナ大丈夫かしら?
……あのお家、とっても温かいからきっと大丈夫ね。
あなたの事も言ってたわ。
まだあの王太子と仲良しなのね。
国王になったのだったかしら?あの時の記憶は曖昧だわ。
時間が流れるのは早いわね……。
そう言えば孫たちのうち、誰かを養子に貰うって聞いたけど、貴方、私が死んでから誰ともいい関係にならなかったの……?
……バカね。
私の事なんて、忘れて。
誰かと結婚すれば良かったのに……………。
……ほんと
やだわ、貴方が独りぼっちなのに、私、案外ホッとしてる。嫌な女ね。
ね、どの子が来てくれるかしら?
今から楽しみね。
ん~~私はランちゃんかな。
だって、ふふふ。
アドルフと、ランドルフ。
親子みたい!偶然かしら。どちらが名付けたのかしらね。
それに、男の子だったら、って考えてた名前。
覚えてる?
貴方の差し金かと思っちゃったわ。
ジークハルトは騎士を目指しているらしいわ。
ヴェルナーも可愛いわよね。
誰でも可愛い孫だから、きっと楽しそうね。
あれから時間が過ぎて。
カトリーナに女の子が産まれたの!
あ~、カトリーナと一緒に色々してあげたかったなぁ。
でも、あの子そっくり。将来美人さんになるわ。
双子のイザークくんはお義父様似かしら?
みんな、将来が楽しみで仕方ないわね。
アドルフ様。
私はね、死んでしまってとても悲しかったわ。
貴方に会えなくなるのも、カトリーナを残していくのも、不安で堪らなかった。
貴方ったらカトリーナを放ってるんだもの。
ずっと貴方を見てるのに、貴方ったら誰も映さないで。
結局カトリーナが背中を向けてからしかあの子に向かないんだもの。
何度あなたの後頭部を蹴りたかったか。
蹴りたいと言えばあの王太子の子!
ああ、国王だったわね。
あの子が婚約破棄なんかした時、ほんっと蹴りたかったわ!
でも、そのおかげで今の旦那様に会えたのよね。
最初はどうなるかと思ったけど、二人が惹かれ合うのを見てて思わずにやけてしまったわ。
ダメね、仮にも公爵夫人だったのに。
でも仕方ないのよ、嬉しいのは嬉しいのだもの。
アドルフ様、愛しているわ。
こんなに、愛していても、あなたに触れられないなんて。
死ぬもんじゃないわね。
べ、別に。
あなたにそんなに触れたいわけじゃないのよ。
ほんのちょっと。
ほんの少し、手を繋いだりぬくもりを感じたりしたかったの。
…………ほんとよ。
でもね、まだ来るのは早いですからね。
そうね、せめて養子に来た子の子を見るまでは頑張って!
……どうしても寂しくなったら、待ってるから。
焦らず、ゆっくり来てね。
ねえ、アドルフ様。
私は嬉しいわ。
私が生きていた証を、カトリーナが受け継いで、その子たちが繋いでいく。
そう思ったら、頑張って生きて良かったな、って思うの。
きっとそうして、過去から今、今から未来へと繋がっていくのね。
私はそれを見てるのがとても楽しいわ。
私に幸せを、カトリーナを授けてくれて、ありがとう。
愛しているわ。
応援ありがとうございます!
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