俺がペットでペットがご主人さまで~転生者の殺戮場~

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第3章

ワン・リー野望の謎

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 薄暗く、何処ともわからない部屋の中で『アリルアンヌ大国』の王女であるリーシア・アリルアンヌは目を覚ます。
 わずかに射す月光が明かりをともす。自分がどういう状況にあるかということはわかった。手足に装着された手枷や足枷。魔術的無効化の効力を供えられたその枷を装着された今の自分は捕虜であることだ。部屋全体も監房のように岩壁でできた材質。じめっとした空気や床に付着した血の汚れ。それらが監房であることを証明づける。

「どうして……こんな場所にいるのでしたっけ……」

 頭痛を堪えて決死に思い出そうとする。
 体感で少し前まではサッカリア帝国にいた記憶があった。

「そうよ、サッカリア帝国で傭兵に取り押さえられて……」
「やっと目を覚ましたか、ふっ」

 反射的に眼前を振りむいた。激昂によって明らかとなる目の前の景色は一つの扉で閉ざされている。扉の向こうから人の気配を感じた。

「そう殺気をほとばしらせたところでどうにもできんぞ、ふっ」
「私がアリルアンヌ大国王女と知っての狼藉ですの?」
「お前がアリルアンヌ大国の王女だから捕えたのだ、ふっ」
「王女だから? どういういみですの?」

 すると、扉の向こうにいる人物は自己紹介をした。
 自らが亡国の王であることを語ったのだ。
 今は亡き国、バンギッシュ皇国、皇子ワン・リー。数十年前の大きな戦争により滅びた国の最後の皇子。その存在は知り得ており彼の名前も小耳程度なら聞き及んでいたリーシアは息をのんだ。
 当たり前のようにその真相を受け入れ彼へ今後の自分の扱いを問いただす。

「貴様を殺しはしない。吾は世界に受け入れられた力をもつ者を釣るだけだ。昔からアリルアンヌ大国には目をつけておったがやっと、つい最近になってアリルアンヌ大国の『転生者』を見つけ出せた、アリルアンヌ大国に落ちた光。ふっ、あははは」
「てんせいしゃ?」

 数年前にも言っていたその言葉は意味不明過ぎた。
 内容に困惑をする。それはどんな意味を要するのか。どのような存在であるのか。
 なんで、そこまでして欲するのか。

「転生者ってなんですの! 私の親を殺しておいてまだそのようなものを我が国にいると思っていますの! いいかげん、私や私の国にかかわらないでくださいまし!」

 訴えた。そのような訴えが、通用する相手ではないとわかりきっていたとしても訴えずにはいられない。

「それは無理だな。吾の思想を成し遂げるためにも貴様の国には今後もかかわらせてもらうさ。いや、全世界に吾はかかわるぞ。転生者が現れるたびに吾は殺すために戦争をするのだ」
「っ! 思想って何をするつもりですの? 世界でも支配するつもりですの?」
「元の世界に帰還するのだよ」
「え?」
「貴様にはわからぬ言葉さ。このような腐敗に満ちた世界などいらぬのでな」
「?」
「吾の言う意味など転生者にしか分からぬか」

 小馬鹿にされたのか。リーシアはそう思った。だが、彼の態度はそういう風なものではなく明らかにリーシアと言う彼女は関係のないようなことをかった説明口調だった。

「では、私を殺しませんの? てっきり私の親のように殺すのだと思いましたけどね外道の皇子様は」
「殺す? そんなことをしたところで吾にメリットはない」
「ならば、なんで国を毎度滅ぼすのですの?」
「『転生者』を探すための犠牲だ。それに吾の邪魔をしたからそうしたまでだ」

 またしても出てくる『てんせいしゃ』なる用語に過剰なストレスがたまっていく。
 彼の目的はただの世界征服ではなかったのか。
 よくわからない。

「吾が『転生者』を殺し、願いの力を手に入れれば貴様らの国のことなどどうでもよい。ふっ。まぁ、しかし、願いの力が手に入らなかった場合はまた戦争をせねばなるまいな」
「願いの力?」

 ついには『願いの力』という異様な単語まで聞かされた。
 ワン・リーは大仰に笑う。

「その『てんせいしゃ』とは碑文に書かれた他世界の者たちのことですわよね? でも、願いってなんですの?」

 思い当たることをまとめて口に出した。しかし、ワンは答えずにほくそ笑んだだけで話を打ち止めにするつもりのようだった。

「もともとのこの世界の住民は知らぬようだが知ってるものは知ってる真実はこの世界にある。この世界の在り方。そして、この世界の理さ。貴様の親もまたその一人であったが」
「え? どういうことですの!」
「わからぬのならそれでよいのだ、ふははは」

 ひたすらに混乱した思考を回転させ、今までの彼の会話を頭の中で集束していく。
(ワン・リー。数年前に突如として悪行をはじめた亡国の皇子。彼のせいで多くの民が死んでいきましたわ。その要因が『転生者』の捜索。落ちた光? 戦争……謎ですわ)

 ある二人の男女の顔が思い浮かぶ。
 彼にとっての狙いがあの二人にあることはわかるがあの二人が彼にとってのそれほどまでの価値を生むのか。いや、生まないはずだ。それより何よりも彼と彼女は来てしまわない方がいい。

「お願いですわよ、二人とも来てはいけませんわ」

 その一言を口にしながら天井を見上げた。
 その時に息をのんだ。頭上にはシルクハットの帽子をかぶった男の姿をした思念が天井にクモのように張り付いていた。

「きゃぁあああああああ!」

 リーシアが叫ぶも誰かが助けに来てくれるはずはなくその青年の手がリーシアに伸び
 そのまま首筋に何かを撃たれ意識が薄れゆく。

「誰か助け……」

 そのままリーシアは意識を失った。
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